まとめ

・「人とくるまのテクノロジー展 2026 YOKOHAMA」にてアナログ・デバイセズはOpenGMSLのデモを公開
・SHARC DSPとA2Bを活用したエコーキャンセルデモも公開
・車載グレード対応のソレノイドドライバーを活用したデモも公開

2026年5月27日~29日にかけて神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて開催されているカーエレクトロニクスに関する展示会「人とくるまのテクノロジー展 2026 YOKOHAMA」にて、Analog Devices(ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズは、2025年より開始したOpenGMSL Association(OGA)に基づくパートナーシップを活用したデモなどを披露している。

ローデ・シュワルツと協力して日本でのGMSL普及を推進

ギガビット・マルチメディア・シリアルリンク(GMSL)技術は、次世代車載コネクティビティとしてADIによる実証済み高速SerDes伝送技術。すでに複数のOEM(自動車メーカー)やティア1サプライヤに採用された実績があるが、エンジニアコミュニティにおけるオープンスタンダードの活用の流れを受けてオープン標準化に舵を切った経緯がある。現在、ローデ・シュワルツを含む20社以上の企業がOGAに参加しており、中でもローデ・シュワルツは2026年1月に個別にアナログ・デバイセズとのパートナーシップ強化を発表している

今回のデモはこのパートナーシップに基づくもので、同社のベクトル・ネットワーク・アナライザ「R&S ZNB3000」を用いて、15mの第2世代GMSL(GMSL2)ケーブルおよびSerDes伝送路の特性評価を見ることができる。

  • 15mのGMSL2ケーブルの特性評価デモ

    ローデ・シュワルツのベクトル・ネットワーク・アナライザを用いた15mのGMSL2ケーブルの特性評価デモ

SHARC DSP+A2Bで自動車室内の音環境を改善

GMSLのほか、同社は自動車分野に向けて車載用オーディオバス「A2B(オートモーティブ・オーディオ・バス)」の推進も行っている。

そんな同社は今回、自社の音声・音響信号処理ソフトウェア・ソリューション「ADI LISTN」の1つである音響エコーキャンセラー(AEC:Acoustic Echo Canceler)とA2Bを組み合わせることで、車室内環境におけるハンズフリー通話時のスピーカー音声を話者のマイクが拾ってしまいエコーが発生する状況において、通話相手の声のエコーだけをキャンセルして、話者が聞きやすいようにするというデモを展示している。

  • 音響エコーキャンセルのデモ

    音響エコーキャンセルのデモ。スピーカーから通話相手の音声が発せられるが、それを話者のマイクが拾ってしまうことでエコーが発生する。その際の音声波形を取得し、逆位相の波形で打ち消す処理をDSPを用いて行うことで、話者はクリアな状態で音声のやり取りができるようになる

ちなみに、このソリューションは、パートナーであるネクスティ エレクトロニクスが提供しているものとのことである。

SHARC DSP+A2Bの組み合わせとしては、3軸加速度センサ「ADXL318」を活用したロードノイズの打ち消しデモも見ることができる。こちらは、3軸加速度センサが取得する振動データと、道路を走って生じるロードノイズとの相関の強い車体箇所に設置することで、加速度の状況をリアルタイムで把握、対応する逆位相の周波数を発することでロードノイズを打ち消すことを可能とするというものとなっている。

  • 加速度センサを活用したロードノイズの打ち消し処理のイメージ

    加速度センサを活用したロードノイズの打ち消し処理のイメージデモ。各タイヤ近傍の振動とノイズの相関性が高い箇所にセンサを設置。振動データからノイズ除去のための周波数を導き出し、ロードノイズの低減を図ることができるというものとなる。ちなみにデータと電力のやり取りはA2Bのケーブルのみで行うことができる

こちらもネクスティが独自に開発した評価環境とのこである。

自動車のソレノイド制御の最適化を提案

このほか、AEC-Q100グレード1認定を取得した車載半導体となるスマートソレノイドドライバー「MAX22216V」のデモも見ることができる。

ソレノイドは、電気を流すことで発生する電磁力を利用し、筒の中の鉄心(プランジャー)を直線運動させることで、スイッチを入れたり、油圧や空気の流れ(バルブ)を正確に制御したりする機能部品。同製品は、そうしたソレノイドのトルクを最適に調整することで、振動の最適化を果たし、消費電流の削減と発熱の抑制を実現するという。

デモの内容としては、「正常」、「ゴムをひっかけて負荷を高めた状態」、「固定した状態」、「焼損した状態」という4種類の異なる状態のプランジャーの動きをそれぞれ捕捉。プランジャーは負荷で波形が変わるため、そうした状態を把握し、不具合が生じているか否かをマイコン側にフィードバックさせることを知らせることを可能とするものとなっている。

  • スマートソレノイドドライバーを使った状態検知デモ
  • スマートソレノイドドライバーを使った状態検知デモ
  • スマートソレノイドドライバーを使った状態検知デモ
  • 車載グレードのスマートソレノイドドライバーを使った状態検知デモ。4種類の状態が異なるプランジャーのソレノイドを用意。それぞれで取得波形が異なり、異常値を検出した場合、コントロールを担うマイコンに異常を伝えるといったことができる。スマートソレノイドドライバー「MAX22216V」は右側の基板の中央のチップ

これまでAEC-Q100対応のソレノイドドライバーは提供してこなかったとのことで、同製品により、自動車分野での活用を積極的に提案していきたいとしている。