この半導体ニュースのまとめ

・タイ政府が半導体産業向け人材を5年間で1万人育成する計画を始動
・大学教育、研究開発、技能訓練を企業の人材需要へ結び付ける体制を構築
・2027年度は1000人の人材育成を目指す

タイの労働省と高等教育・科学・研究・イノベーション省(MHESI)は9月14日、半導体産業の成長を支える人材育成に向けた協力を開始したことを明らかにした。

両省は同日、バンコクでキックオフイベントと覚書の署名式を開催。教育機関、技能開発機関、半導体関連企業が連携し、技術者や研究者だけでなく、製造現場を支える技能者やオペレーターを含め、今後5年間で1万人を育成する計画を示した。

大学教育と産業界の人材需要を一体化

タイ政府は、半導体がスマートフォン、コンピュータ、医療機器、電気自動車(EV)など幅広い製品を支える重要産業となる一方、持続的な産業成長には技術力と専門知識を持つ人材が欠かせないと説明する。

人材育成としては、単に大学が業界に卒業生を送り出すだけでなく、半導体業界で実際に求められる知識や技能を教育・訓練へ反映することを目指すとする。

MHESIでは、大学教育、研究、技術、イノベーションを通じ、技術者、科学者、専門家、研究者などの育成を担うことを目指すとしている。一方の労働省は、企業が必要とする職種や技能を把握し、既存労働者の能力向上や職業訓練、雇用との接続を担う。両省の機能を連携させることで、教育機関による人材供給と企業の採用需要を一体的に管理できる体制の構築を目指す。

技術者から製造現場の技能者まで育成

育成対象には、大学で半導体関連技術を学ぶ学生や研究者に加え、工場で設備を操作・保守する技能者、技術者、科学者、専門家などを含める。

半導体産業では、回路や半導体製品を設計する人材だけでなく、半導体製造装置の運用、設備保全、品質管理、プロセス管理、材料管理などを担う人材も必要となる。

タイはこれまで、電子部品や電気・電子機器、自動車などの生産拠点を形成してきた。半導体関連の投資を呼び込むには、そうした既存の産業基盤に加え、前工程を含む工場の立ち上げや量産を支える専門人材を確保、供給できる体制を構築することが重要となる。

そのため両省では、新たな卒業生の育成だけでなく、すでに企業で働いている人材のアップスキリングとリスキリングにも取り組むとしており、既存の製造業人材へ新たな技能を加え、半導体およびスマートエレクトロニクス産業への移行も促していくとする。

2027年度に1000人の人材育成へ

なお、5年間で1万人を育成する計画に向け、タイ労働省の技能開発局は2027年度に「スマートエレクトロニクス産業技術に対応する労働力の能力向上プロジェクト」を実施する。

同年度は1000人を対象に技能開発を進め、その中で半導体産業に携わる人材の能力向上にも取り組む。

研修を実施するには、教育施設や指導者に加え、実際の産業現場で使用される技術や設備も必要になる。このため、MHESIが持つ技術、人材、教育・研究施設を活用し、労働省の技能訓練と組み合わせる。

両省は、半導体関連企業や専門家からも意見を集め、市場で必要とされる職種、技能、技術動向を反映した人材育成計画を策定する方針である。