この半導体ニュースのまとめ

・第30回WSCが開催され、6極の半導体企業CEOと政府当局者が政策対話を実施
・2025年の世界半導体売上高は7956億ドル、前年比26.2%増でAI関連需要がけん引
・人材不足やPFAS規制、WTOモラトリアム失効など業界横断の課題について方針を確認

電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会は6月15日、6月11日にスイス・ジュネーブで開催された第30回世界半導体会議(WSC)の結果を公表した。日本、欧州、米国、韓国、台湾、中国の6極の半導体企業および半導体工業会からCEOクラスが参加し、各極の政府・当局者や在ジュネーブ大使との政策対話が行われたという。

2025年の世界半導体売上高は7956億ドル、AI需要がけん引

WSCで報告されたマーケットレポートによると、2025年の世界半導体売上高は7956億ドルとなり、前年比26.2%増を記録した。成長をけん引したのはAI関連需要で、特にデータセンターやHPC向けが拡大した。

地域別では、アジア太平洋地域およびその他の地域が45.4%増、米州が31.4%増、韓国が24.1%増、台湾が22.7%増、中国が17.9%増と軒並み成長した。一方、欧州は6.7%増にとどまり、日本は4.3%減となった。製品別ではMOSメモリが39.0%増、MOSロジックが38.8%増と大きく伸長した。

WTOモラトリアム失効、復活と恒久化を働きかけへ

通商課題としては、WTOの電子的送信への関税不賦課モラトリアムが取り上げられた。半導体の研究・設計データやソフトウェアの国際流通を支える重要な枠組みであるこのモラトリアムは、第14回WTO閣僚会議(MC14)で合意に至らず、2026年4月1日に失効している。WSCでは、モラトリアムの復活および恒久化に向けて各国政府への働きかけを継続する方針を確認している。

WIPOとの直接対話で知財課題を議論

知的財産分野では、WSC会議に先立つ6月8日に世界知的所有権機関(WIPO)との直接対話が実施されたという。WIPO側から11名、WSC側のJSTC知的財産委員会から34名が参加し、特許品質指標、標準必須特許(SEP)、営業秘密などについて意見交換が行われたほか、WSC会議本体でも、特許の質とWIPOとの協力、特許訴訟情報の透明性、特許訴訟の濫用および模倣半導体について報告がなされたとする。

PFAS規制では慎重な制度設計を各国政府に要請

環境対策としては、PFASを含む化学物質規制について、半導体産業の技術的・事業的実態を考慮した慎重な制度設計を各国政府に求めたとする。また水資源分野では、水再利用率や水使用量に関する共通指標の整備を進め、業界横断での効率化に取り組んでいるとしている。WSCは環境保全と持続可能な半導体産業の発展を両立するため、各国政府との協力を引き続き強化していく方針だ。

2030年までに100万人超の追加人材が必要

人材育成については、産業全体で世界的な半導体人材不足が深刻化しており、2030年までに100万人超の追加人材が必要と見込まれているとの認識が共有された。各地域は、若年層向け教育、高齢人材の活用、海外人材の受け入れ、AI活用による人材不足への対応に関する施策を報告した。

WSCはGAMS(Governments/Authorities Meeting on Semiconductors、6極の半導体に関する政府・当局会合)に対し、移民制度の柔軟化、産学連携の推進および国際的人材交流の促進を働きかけていく方針で、女性人材の参画拡大やシニア人材の再活用を含む多様な人材確保にも取り組むことを確認した。大学と産業界の連携強化やSTEM教育の拡充を通じた半導体分野への人材供給拡大の重要性についても一致している。

サプライチェーンの相互依存と国際協力の重要性を再確認

このほか、半導体サプライチェーンが地域間で深く相互依存しており、単独の国・地域では完結できないことを改めて確認した。AI需要の拡大を背景に大規模な半導体投資が計画される一方で、人材不足や材料供給制約、貿易摩擦などが課題となっている。サプライチェーンの強靭化には透明性向上、データ共有、国際協力の強化が不可欠であるとの認識で一致し、WSCは今後もGAMSと連携して、開放的で信頼性の高いグローバル半導体サプライチェーンの維持・強化を目指すとしている。

なお、今回の結果として共同声明(英文)が採択されており、後日WSCのWebサイトに掲載される予定。次回のWSCは2027年5月に中国・上海で開催される。