この半導体ニュースのまとめ
・シノプシスとAmazonが総額10億ドル超の戦略的な複数年契約を締結
・Amazonが半導体IP、EDA、シミュレーション&解析、エージェント型AIの利用を拡大
・TrainiumとGraviton向けの最適化やAmazon EC2、Amazon Bedrockの活用でも協業
Synopsys(シノプシス)とAmazonは、AmazonのカスタムチップとAWSインフラの開発を加速するため、総額10億ドル超となる戦略的な複数年契約を締結した。
Amazonはシノプシスの半導体IPの利用をアプリケーション最適化型IPへ拡大するほか、EDA、シミュレーション&解析(S&A)、エージェント型AI技術の活用も広げる。両社は15年以上にわたって協業しており、今回の契約ではAmazonをリードカスタマーとして、シノプシスのIP事業拡大にも取り組む。
契約形態については、従来のライセンス料を中心とするモデルから、ライセンス料にチップの出荷数量に応じたロイヤルティを組み合わせるモデルへ移行する。Amazonによるカスタムチップの量産規模が拡大するほど、両社がメリットを得られる仕組みとする。
Nitro、Graviton、Trainiumの開発をIPやEDAで支援
Amazonは、クラウドセキュリティ、ネットワーク、ストレージ向けチップ「Nitro」、汎用コンピューティング向けプロセッサ「Graviton」、AIの学習および推論ワークロード向けアクセラレータ「Trainium」など、アプリケーション特化型チップの開発を進めている。
今回の契約により、Amazonはシノプシスが提供する半導体IP、AIベースEDA、シミュレーション&解析、エージェント型AIなどの利用を拡大し、カスタムチップとシステムの設計、解析、最適化、検証を効率化する。
シノプシスのAIベースEDAとフィジックスベースのシミュレーション、エージェント型AIを、シリコンからシステムに至るエンジニアリングワークフローへ適用する計画も進める。Amazonの開発チームが複雑なチップやシステムを効率的に開発できるよう、カスタムのエージェント型AI機能も共同で開発する。
TrainiumとGravitonにシノプシス製品を最適化
両社は、シノプシスのマルチフィジックス・ソリューションをAmazonのTrainiumおよびGraviton上で高速に実行できるよう共同で最適化する。
半導体や電子システムの開発では、回路設計だけでなく、電力、熱、電磁界、構造など複数の物理現象を横断して解析する必要がある。Amazonの自社開発プロセッサとアクセラレータにシノプシスのソリューションを最適化することで、大規模なシミュレーションと解析の処理を効率化し、製品開発期間の短縮につなげる。
Amazonはこれまでにも、Gravitonを搭載するAmazon EC2環境でシノプシスの機能検証ソリューションを活用してきた。今回の協業拡大では、半導体設計だけでなく、マルチフィジックス解析やAIを活用したエンジニアリングまで対象を広げる。
シノプシスもAmazon EC2とBedrockを研究開発へ活用
今回の契約は、Amazonによるシノプシス製品の採用拡大だけでなく、シノプシスによるAWSサービスの利用拡大も含む。
シノプシスは、自社の半導体IPおよびEDAツールの開発を加速するため、Amazon EC2とクラウドストレージを研究開発用のコンピューティングリソースとして活用する。また、基盤モデルを利用して生成AIアプリケーションを構築できる「Amazon Bedrock」を用いて、AIアプリケーションやAIエージェントを開発、運用する。
シノプシスは、AmazonのAIインフラおよびカスタムチップと、自社の半導体IP、EDA、マルチフィジックス・ソリューションを組み合わせることで、両社の開発チームの生産性を高め、AIを前提としたエンジニアリング環境の構築を進めるとしている。