この半導体ニュースのまとめ
・リードテックとNext Semiconductorが高出力GaNパワー半導体向けスイッチング評価装置を開発
・モジュールと駆動回路を組み合わせた状態でダブルパルス法で評価を実施可能
・1号機を大分大学に設置、研究機関やデバイス・モジュールメーカーなどに提案へ
リードテックと大分大学発のベンチャー企業であるNext Semiconductorは9月1日、GaNパワー半導体に対応したスイッチング評価装置「ダブルパルステスター」を共同開発したことを発表した。
GaNパワー半導体のみならず、パワーモジュールと駆動回路を組み合わせた状態でのスイッチング特性を評価でき、測定した波形の解析にも対応する。すでに1号機は大分大学に設置され、研究開発に活用されているという。
高出力GaNの実装・評価環境を製品化
パワー半導体では、従来のSiに加え、SiCやGaNといったワイドバンドギャップ半導体の利用が広がっている。GaNは高速なスイッチング動作を特徴とし、スマートフォンやPC向け充電器などの低出力用途では実用化が進んでいる。
一方、EVや産業システムなどで求められる650V/300A級の高出力領域では、デバイスの性能だけでなく、モジュールの構造やゲート駆動回路、配線に含まれるインダクタンスなどがスイッチング波形に影響するため、デバイス単体の測定だけでは、実際の電力変換回路に組み込んだ際の挙動を十分に把握できない場合がある。
今回開発した装置は、Next Semiconductorが高出力GaNパワーモジュールの研究開発で構築してきた実験環境を基に、リードテックが測定装置として製品化したものとなる。
ダブルパルス法でスイッチング特性を評価
ダブルパルス法は、パワー半導体に意図的に2回のパルス信号を入力し、ターンオンおよびターンオフ時の電圧や電流の波形から、スイッチング損失やサージ電圧などを評価する手法である。
GaNのスイッチング速度はSi MOSFETの約10倍、IGBTの100倍とされ、ターンオン時間などは数ナノ秒となるが、スイッチング速度が速くなるほど、回路内のわずかな寄生インダクタンスやゲート駆動条件が評価結果を左右するようになる。そのため、デバイス単体の特性が良かったとしても、特に高出力GaNでは、実際に使用するパワーモジュールや駆動回路を含めた状態で評価し、回路全体を最適化することが重要となる。
ダブルパルステスターは、こうしたモジュールと駆動回路を組み合わせた評価に対応することで、高出力GaNのデバイス開発からモジュール化、電力変換装置への適用までを支援することを目指して開発されたものだという。
装置開発とGaN評価の知見を組み合わせ
共同開発の役割分担としては、リードテックがSiCデバイス量産におけるテスター&ハンドラーの製造実績を基に、GaNパワー半導体向け測定装置の設計、製造、製品化、搬入、立ち上げ、保守を担当。一方のNext Semiconductorは、高出力GaNの評価に必要な要件定義、パワーモジュールと駆動回路を含む評価条件の設計、実機を用いた検証を担当したという。大学発ベンチャーらしく、大学の研究者を中核に据え、パワーデバイス、パワーモジュール、駆動回路、電力変換装置を1チームで設計できる体制を構築していく中で、実験室で構成してきた測定環境を製品に落とし込んだとする。
なお、両社は今後、研究機関やパワーデバイス、パワーモジュール、インバータなどのメーカーに向けて同装置の提案を図っていくとともに、高出力GaNパワーモジュールの研究開発を進めていくとしており、装置の詳細仕様と提供体制については、準備が整い次第改めて公表する予定としている。
