韓国政府が進めてきた超純水製造プラントの国産化が成功し、2024年の夏から韓国シリコンウェハメーカーの一部の工場で採用に踏み切る模様である。

韓国政府は、2019年の日本の経済産業省による半導体輸出の厳格化をきっかけに、半導体材料の国産化を推進してきた。日本の水処理企業(栗田工業や野村マイクロサイエンスなど)に頼り切っていた半導体製造用超純水についても国産技術で製造することを2021年に決定し、「超純水の国産化」を政府の重点課題に選定して、研究開発を進めていた。

韓国の環境部(日本の環境省に相当)は、傘下の韓国水資源公社および韓国環境産業技術院とともに、半導体用超純水製造技術の国産化に向けた第一歩として「超高純度工業用水(超純水)実証プラント」を、SK Siltronの構内に建設することとし、慶尚北道亀尾市のSK Siltron第2工場(200mmウェハ製造工場)隣接地で、2021年11月より純水製造プラント建設および超純水の試作を進めていた。

  • 韓国慶尚北道亀尾市のSK Siltron本社第2工場(200mmウェハ加工工場)

    韓国慶尚北道亀尾市のSK Siltron本社第2工場(200mmウェハ加工工場)。左奥の白い建物は200mm結晶成長を行っている第1工場、超純水製造プラントは第2工場の奥に設置されているが、写真では見えない (出所:SK Siltron)

そして、韓国水資源公社は2024年5月までに水質検査を終えて、8月ごろからSK Siltron第2工場でシリコンウェハ製造に実際に利用することにしている。これに伴い、下水・廃水処理など水に関する産業全般で韓国の技術力を高めることができるとしている。韓国環境部の韓和真(ハン・ファジン)長官は「超純水も他の半導体技術のように重要な素材だけに、超純水専門人材養成と研究・開発のための支援策を今年中に発表する」と語っているという。

なお、SK Siltronは、第1および第2工場以外に亀尾市内に最新鋭の第3工場(300mmシリコン結晶引き上げおよび加工工場)を所有しているが、こちらでは日系企業の韓国法人が管理する超純水プラントが今のところ稼働している。