この宇宙・航空ニュースのまとめ

  • 小惑星探査機「はやぶさ2」がめざす新たな小惑星・トリフネのフライバイ探査日時が、7月5日18時30分頃に決定
  • トリフネの中心からの距離1km程度を、相対速度約5km/sで通過・接近しながら観測する
  • 固定カメラを使った観測手法を改めて紹介

小惑星探査機「はやぶさ2」がめざす、新たな小惑星・トリフネ。そのフライバイ探査を行う日時が、2026年7月5日18時30分頃(日本時間)に決定した。トリフネの中心からの距離1km程度を、相対速度約5km/sで通過・接近しながら観測する。なお、前出の時刻は運用状況によって前後する場合がある。

  • 「はやぶさ2」の実物大模型。「第3回 SPEXA(スペクサ) - 【国際】宇宙ビジネス展 -」にて編集部撮影

    「はやぶさ2」の実物大模型。「第3回 SPEXA(スペクサ) - 【国際】宇宙ビジネス展 -」にて編集部撮影

宇宙航空研究開発機構(JAXA)による発表。2025年12月19日に宇宙科学研究所(ISAS)が軌道運用状況に基づき発表した時点ではフライバイ日のみ確定していたが、時刻はまだ決まっておらず、「フライバイ日が近づくタイミングでアナウンスする」としていた。今回、その時刻も正式に決まったかたちだ。

  • 小惑星トリフネをフライバイする「はやぶさ2」の想像図 (C)池下章裕 出所:JAXAニュースリリース

    小惑星トリフネをフライバイする「はやぶさ2」の想像図 (C)池下章裕 出所:JAXAニュースリリース

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はやぶさ2は、2014年12月にH-IIAロケット26号機によって打ち上げられ、2018年6月に小惑星「リュウグウ」に到着。世界で初めて小天体表面への人工クレーター形成などの成果を挙げたのち地球に帰還する軌道に乗り、2020年12月6日に小惑星リュウグウのサンプルが入ったカプセルを地球に届けたあと、地球圏を離脱。

現在は「はやぶさ2拡張ミッション」(はやぶさ2#)として運用が続いており、2026年の小惑星トリフネでのフライバイ探査と、2031年の小惑星1998 KY26へのランデブーが予定されている。こうした取り組みについてJAXAでは、「将来的な小惑星衝突リスク低減に貢献する『プラネタリーディフェンス』(地球防衛:地球に接近する小惑星などを早期に発見、監視して衝突の恐れがある場合には対策を講じて被害を未然に防ぐ取り組みのこと)の観点からも、重要な役割を担うものだ」と説明している。

  • 「はやぶさ2拡張ミッション」のシナリオ 出所:ISASニュースリリース

    「はやぶさ2拡張ミッション」のシナリオ 出所:ISASニュースリリース

既報の通り、トリフネの自転周期は約5時間で、少し時間をずらせばトリフネの別の面が見えることになる。さらに、探査機との通信でどの地上局を使うかも重要で、はやぶさ2との通信は通常、日本にある2カ所の地上局(臼田宇宙空間観測所、美笹深宇宙探査用地上局)で行われているが、重要な運用の場合にはアメリカやオーストラリア、スペインなどにある米国の地上局も使われる。フライバイ時やその前後でどの地上局を使うかも、フライバイ時刻を決める重要な条件とされる。

トリフネの大きさは平均直径で約450mと推定されており、細長い形状と見られているものの、大きさや形が分かっていないこともあり、接近距離についても慎重な検討が重ねられた。はやぶさ2は小惑星になるべく接近して詳細な観測を行う設計で、望遠鏡など遠方から観測するような装置は積んでいないため、このような検討が行われている。

はやぶさ2のカメラは固定されているため、トリフネに対して探査機の姿勢(向き)を変えることで対応するが、短時間では姿勢を大きく変更できない。最接近距離が小さければ、接近していくときに探査機の姿勢を変えなくてもずっとカメラの視野にトリフネが入ることになる。観測は最接近の直前まで続けられ、最接近の前後では探査機の向きを大きく振ってトリフネを捉えられるとのこと。

  • 最接近距離の違いによる探査機の運用の説明図。(1)の軌道では、安全にフライバイできるが距離が遠いため解像度のよいデータが得られず、接近しながら探査機の向きを大きく変える必要もある。(3)の軌道では、探査機の向きを小惑星方向に固定したまま至近距離まで接近できるが、探査機が小惑星に衝突してしまう。(2)の軌道のように、できる限り小惑星に近いところを通過させると、解像度のよいデータが得られ、最接近の直前まで探査機の姿勢を大きく変更する必要がない。ただし、小惑星に近づきすぎると衝突の危険性がある 出所:ISASニュースリリース

    最接近距離の違いによる探査機の運用の説明図。(1)の軌道では、安全にフライバイできるが距離が遠いため解像度のよいデータが得られず、接近しながら探査機の向きを大きく変える必要もある。(3)の軌道では、探査機の向きを小惑星方向に固定したまま至近距離まで接近できるが、探査機が小惑星に衝突してしまう。(2)の軌道のように、できる限り小惑星に近いところを通過させると、解像度のよいデータが得られ、最接近の直前まで探査機の姿勢を大きく変更する必要がない。ただし、小惑星に近づきすぎると衝突の危険性がある 出所:ISASニュースリリース