富士通は7月30日、2026年度第1四半期の決算を発表した。連結合計の売上収益は前年同期比3.9%増の7,793億円、調整後営業利益は同197億円増の549億円、調整後当期利益は同121億円増の418億円となった。
中心事業であるサービスソリューションの売上収益は前年同期比6.7%増の5,489億円、調整後営業利益は同31.3%増の628億円となった。Uvanceおよびモダナイゼーションが増収をけん引した。
サービスソリューションの採算性改善としては、78億円の効果を創出した。磯部氏は、このうちAIドリブンデリバリの効果は20億~30億円程度とし、今後さらに拡大できると説明した。
一方、ハードウェアソリューションはメモリ価格の上昇などの影響を受け、利益率が低下した。また、ユビキタスソリューションは概ね計画通りに推移した。
代表取締役副社長 CFO 磯部武司氏は、「成長ドライバーのサービスソリューションは増収増益が継続している。全体として計画通りに進捗しているため、連結業績見通しに変更はない」と述べた。
サービスソリューションが利益成長をけん引、Uvanceも31%増
磯部氏は、増収の要因について、「エンタープライズ、パブリックが堅調に売り上げを拡大している」と説明した。増収の背景には、国内受注が前年同期比10%増となったことがある。
エンタープライズの受注額は前年同期比1%増となった。製造業を中心に強い需要が継続しており、DXやモダナイゼーションなど付加価値の高い案件が増えているという。エンタープライズは、製造で強いデマンドが継続しており、DXやモダナイゼーションなどの付加価値の高い案件が増えているという。一方、パブリックの受注額は前年同期比14%増となり、金融、自治体、公営競技、防衛を中心に伸長した。
オファリング事業のUvanceの受注高は前年同期比増51%の1,933億円、売上収益は同31%増の1,922億円となり、サービスソリューションの売上の35%を占めている。年間計画では売上構成比34%を見込んでおり、第1四半期の35%は、年間計画の水準を上回った。磯部氏は「ファイナンス、リテールが好調であり、力強い成長となった。計画を上回る成長を期待している」と述べた。
また、モダナイゼーションの受注高は前年同期比増23%の916億円、売上収益は同29%増の949億円となった。年間計画では、前年同期比20%増を目指しており、こちらも計画通りに進んでいる。
AIドリブンデリバリで利益率改善へ
サービスソリューションでは、採算性改善も進んでおり、78億円の効果が出ている。磯部氏は、採算性改善のための主な取り組みとして「Oneデリバリ体制の進化」「AIドリブンデリバリ」「プライシング戦略」を挙げた。
磯部氏は、これらの中でも「AIドリブンデリバリ」を最も重要な取り組みと位置づけた。具体的には、ほぼすべてのSIプロジェクトにAIを活用するとともに、特定プロジェクトにハイスキル人材を集中投入する「AIトップガンプロジェクト」を進めている。さらに7月には、マルチAIと専門エンジニアの知見を組み合わせてシステム刷新を行う「AIドリブンモダナイゼーションサービス」を発表した。
現在、AIドリブンデリバリによる効果は20億~30億円程度だが、磯部氏は「トップガンプロジェクトで10~15%の工程短縮を狙っている。コーディングやテストは効果が出やすい。もっと拡大できる領域と考えている」と説明した。
「人月」から「価値」へ、AI時代のプライシングを模索
プライシング戦略においては、人月型から提供価値ベースプライシングへのシフトを進める。新たなプライシングの例としては、データ量やコード量に応じた従量型、成果報酬型などがある。
磯部氏は「これまで、コストをベースとしたプライシングを行ってきたが、AIを使うようになると変わってくる。アウトカムが価値と見なされるようになり、AIのコストも考慮しなければならない」と説明した。
富士通はAIを単体の製品として提供するのではなく、Uvanceやモダナイゼーションなどのサービスに組み込み、顧客価値として提供する戦略を進めている。AIによる開発効率向上と提供価値ベースのプライシングが定着すれば、サービス事業の利益率はさらに改善する可能性がある。AIを軸とした成長戦略をどこまで加速できるかが、今後の注目点となりそうだ。



