この半導体ニュースのまとめ

・台湾の李長栄先進材料が中部科学園区の中科工場を拡張し、高純度IPAの年産能力を6万トンへ引き上げ
・2027年第3四半期から供給開始予定で、TSMCなど台湾の先端半導体・先端パッケージング需要に対応
・二重循環リサイクルやエージェンティックAI、デジタルツインを導入し、スマート製造と低炭素化も推進

中部科学園区で先端半導体向け薬液工場を拡張

台湾の電子材料大手である李長栄先進材料はこのほど、中科工場(雲林県虎尾鎮、中部科学工業園区内)を拡張する起工式を行ったと発表した。先端プロセスに対応する洗浄剤のイソプロパノール(IPA)の供給能力を大幅に増やし、年産6万トン体制にする。

  • 李長栄先進材料の中部科学園区工場の拡張工事

    李長栄先進材料の中部科学園区工場の拡張工事着工の様子。左から順に、李長栄先進材料の蕭毓玲 技術長、同 劉文龍 取締役、中部科学園区管理局の王俊傑 副局長、李長栄グループの楊賽芬 副総裁、李長栄先進材料の趙繁明 会長、雲林県消防局第二大隊の陳世明 副大隊長、李長栄先進材料の方建智 副総経理、翰発工程の葉文政 総経理 (出所:李長栄)

高純度IPAの年産能力を6万トンへ、2027年第3四半期に供給開始

台湾ではTSMCが最先端プロセス半導体の新工場を次々に立ち上げ、高純度の電子材料の需要が急増している。イソプロピルアルコールともよばれるIPAもそのひとつで、トクヤマと台湾塑膠工業(台湾プラスチック)との合弁会社(高雄市)も年産能力を6万トンに倍増、2028年秋から運転をはじめると5月に発表したばかりである。

李長栄も工場拡張によって同規模の生産能力になるが、供給開始の予定は2027年第3四半期からと一足早い。高雄・林園工場の豊富な運営ノウハウと技術力を全面的に統合することで台湾唯一の垂直統合型の一貫生産によって高純度IPAの生産拠点になる。また二重循環リサイクルによって使用済みの化学物質を回収し、再び半導体製造向けに利用する台湾初の材料会社にもなる。

エージェンティックAIとデジタルツインでスマート製造を推進

中科工場ではIPAだけではなく、先端プロセス用配合剤も生産しており、半導体や先端パッケージング工程における研磨・エッチング、仮接合洗浄などのカスタムニーズに対応している。拡張は増産だけではなく、生産効率を高めるためにエージェンティックAIとデジタルツインを導入した、スマート製造を構築するための出発点という役割も担い、3D高精細シミュレーションモデルを構築してトレンド予測やシナリオシミュレーションを行っていく。

仮想世界でリスクを事前に確認することで、早期の警告と意思決定の最適化も図っていくことを活用し、将来的には工場敷地内の安全、品質、エネルギー消費の管理を従来の人手依存から、システムによる24時間管理体制へと変更する。

また、2030年までに炭素排出量を42%削減し、ネットゼロを目指す材料サプライチェーンの構築も推進し、RE85、2035年までにRE100という再生可能エネルギー目標の達成に取り組むともしている。

グループ全体として半導体材料の強化を図る李長栄

李長栄先進材料は、化学大手の李長栄(LCYグループ)から分社した半導体材料メーカー。グループである李長栄化学は4月、JSRと華立グループと提携して電子材料製造の合弁会社「台湾捷時雅先進製造」を設立すると発表するなど、半導体分野に注力する方針を示している。