この半導体ニュースのまとめ
・シンタリング接合材市場は2035年に3026億円、2025年比7.6倍へ
・SiCパワー半導体向けを中心に銀シンタリング材の採用が拡大
・銀の価格高騰を背景に、2027年頃から銅シンタリング材の量産採用も進展へ
富士経済は、SiCパワー半導体で注目されるシンタリング接合材の世界市場を調査し、その結果を「SiCパワーデバイスで注目されるシンタリング接合の市場展望」としてまとめたことを発表した。同調査は、銀シンタリング材3品目と銅シンタリング材1品目の材料市場4品目に加え、シンタリング接合関連装置4品目の市場動向を分析したものだという。
2035年市場は3026億円、2025年比7.6倍へ
同社によると、シンタリング接合材の世界市場は2035年に3026億円となり、2025年比で7.6倍に拡大する見通しだ。シンタリング接合は、はんだ接合と比べて耐熱性や放熱性の面で優位性があり、SiCパワー半導体の普及に伴って採用が進んでいる。
中でも銀シンタリング材は、加圧タイプが主にSiCパワーモジュール向け、無加圧タイプとハイブリッドタイプが主にSiC-FETなどのディスクリート品向けで採用されている。足元ではSiCパワー半導体市況にやや停滞感があるものの、中国や欧州でははんだからの切り替えが進み、採用が標準化しつつあることから、市場拡大が続いているという。2026年の市場規模は、銀価格高騰の影響もあり、前年比2.2倍の856億円が見込まれている。
銀価格の高騰で銅シンタリング材にも採用拡大の可能性
現状では、加圧タイプの銀シンタリング材が市場の大半を占めており、当面も銀シンタリング材を中心に市場が拡大するとみられる。一方で、銀価格の高騰を背景に、銀シンタリング材から銅シンタリング材への置き換えを検討するパワー半導体メーカーも増えている。
銅シンタリング材は酸化しやすいため、接合時の雰囲気制御が必要となるものの、熱伝導率などの性能面では銀シンタリング材と遜色がなく、接合信頼性の面では銅の方が優位性があるとされる。特に中国では、銅シンタリング材の採用に積極的なパワー半導体メーカーが多く、2027年頃から量産品向けでの採用が進むと富士経済では予測している。
そのため銅シンタリング材の採用が今後増加し、2035年にはシンタリング接合材市場の約10%を占めるとみている。銀シンタリング材を中心とした市場成長に、銅シンタリング材の実用化拡大が加わることで、材料メーカーや装置メーカーにとっても新たな事業機会が生まれることになりそうだ。
関連装置は加圧装置や真空リフロー炉などを調査対象に
なお、今回の調査対象は、シンタリング接合材では、銀シンタリング材の加圧タイプ、無加圧タイプ、ハイブリッドタイプ、銅シンタリング材の4品目。シンタリング接合関連装置では、加圧装置、真空リフロー炉、ダイボンダ、インラインディスペンサの4品目となっている。
パワー半導体市場では、電気自動車(EV)や産業機器、エネルギー関連用途を中心に、SiCパワー半導体の中長期的な需要拡大が見込まれている。高温動作や高放熱が求められるSiCデバイスでは、接合材料の性能がモジュール全体の信頼性に直結するため、シンタリング接合材は後工程材料の中でも重要性が高まる領域となる。富士経済の予測は、SiCパワー半導体の普及に伴い、接合材料や関連装置の市場も拡大していく可能性を示す内容といえる。
