こんにちは。GMOプライム・ストラテジーの相馬理紗です。

今回は、2026年7月30日~8月5日に報告があったWordPressの脆弱性のうち、WordPressのプラグイン・テーマの脆弱性情報を公開しているWordfence が公開しているデータフィードより、以下の条件を満たすものを紹介します。

  • WordPress.orgにおける“Active installations"が10万以上である
  • 日本語の翻訳に対応している
  • WordPress関連で40件の脆弱性が報告された

    WordPress関連で40件の脆弱性が報告された

今回のポイント

  • WordPress関連で40件の脆弱性が報告
  • 40件中20件は認証されていない攻撃者から悪用される可能性
  • AI Engineで新規管理者アカウントを作成される可能性
  • Loco Translateで任意のPHPコード実行
  • ProfilePressで高権限ロールによる不正登録の可能性
  • W3 Total Cacheで認証不要のパストラバーサル
  • AI Engine、Kirki、Tutor LMSなど同一プラグインで複数の脆弱性

今すぐ対応すべき脆弱性

  • AI Engine:管理者アカウントの不正作成
  • Loco Translate:任意PHPコード実行
  • Paid Membership Plugin(ProfilePress):権限昇格
  • W3 Total Cache:認証不要のパストラバーサル
  • Kirki:任意ファイル書き込みからRCEへ発展する可能性
  • WP 2FA:他ユーザーのアカウントへのアクセス
  • WooCommerce PayPal Payments:顧客の請求情報へのアクセス
  • Fluent Forms:支払い領収書データへの不正アクセス

今回危険だった攻撃パターン

AI Engineで管理者アカウントを作成される可能性

今回特に注意したいのが、AI Engineで報告された脆弱性です。

AI Engine 3.6.5までのバージョンには、「reauthforauthorize」関数におけるnonce検証の不備によるCSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)の脆弱性があります。

認証されていない攻撃者が管理者を不正な操作へ誘導することで、攻撃者の認証情報を持つ新たな管理者アカウントを作成できる可能性があります。

攻撃には管理者による操作が必要ですが、成功するとWordPressサイトの管理権限を攻撃者に取得されるおそれがあります。該当する場合は3.6.6以降への更新を優先したいところです。

AI Engineではこのほかにも複数の脆弱性が報告されています。3.5.4までのバージョンでは、編集者以上の権限を持つユーザーがディレクトリトラバーサルを悪用して任意のファイルを書き込み、リモートコード実行(RCE)へ発展させることが可能です。

Loco Translateでは任意のPHPコード実行

Loco Translate 2.8.5までのバージョンでは、「execTemplate」関数におけるnonce検証の不備によるCSRFの脆弱性が報告されています。

認証されていない攻撃者が管理者を悪意のあるリンクのクリックなどに誘導することで、任意のPHPコードを実行できる可能性があります。

攻撃には管理者の操作が必要になるものの、PHPコードの実行に成功した場合、サイトやサーバの侵害につながるおそれがあります。2.8.6で修正されているため、利用している場合は更新を優先してください。

ProfilePressでは条件次第で未認証から権限昇格

Paid Membership Plugin(ProfilePress)4.16.17までのバージョンでは、登録フォームの設定によっては、認証されていない攻撃者が高い権限を持つロールでユーザー登録できる脆弱性が報告されています。

悪用には登録フォームが特定の状態に設定されている必要がありますが、条件を満たすサイトでは、外部の攻撃者による権限昇格につながる可能性があります。

4.16.18への更新に加えて、会員登録を利用しているサイトでは、登録フォームで割り当て可能なユーザーロールに問題がないか確認しておくことが重要です。

最近増えている傾向

40件の半数が「認証不要」

今回報告された40件の脆弱性のうち、20件は認証されていない攻撃者から影響を受ける可能性があるものでした。

認証不要の脆弱性には、管理者アカウントの作成や権限昇格だけでなく、XSS、パストラバーサル、情報漏えい、サービス拒否などさまざまな種類があります。

W3 Total Cacheでは、認証されていない攻撃者がパストラバーサル処理の検証不足を悪用し、本来想定されているディレクトリの外にあるファイルを読み取るなどの操作が可能です。

WooCommerce PayPal Paymentsでは、攻撃者が注文キーを取得することで、WooCommerce Store API経由で顧客の請求情報へアクセスできる可能性があります。ただし、悪用できるのは注文作成から10分以内という条件があります。

Fluent Formsでも、条件を満たした場合に認証されていない攻撃者が他のユーザーの支払い領収書データへアクセスできる問題が報告されています。

ログインが必要ない脆弱性は外部から攻撃を受ける可能性があるため、利用しているプラグインに該当するものがないか優先して確認したいところです。

同じプラグインで複数の脆弱性

今回は、同じプラグインで複数の脆弱性が報告されたケースも目立ちました。

AI Engine、Kirki、Tutor LMSではそれぞれ4件、Fluent Formsでは3件の脆弱性が報告されています。

AI Engineでは、管理者アカウントを作成できるCSRFのほか、任意ファイルの書き込みからRCEへ発展する問題、保存型XSS、他ユーザーのチャットボットの会話記録へアクセスできる問題が確認されています。

Kirkiでは、認証不要のSSRF(サーバサイドリクエストフォージェリ)のほか、ZIPファイル展開時のパス検証不備を悪用して任意の場所へファイルを書き込み、RCEへ発展させることが可能な脆弱性などが報告されています。

同じプラグインに複数の問題が見つかった場合、一部の脆弱性だけを個別に回避するのではなく、修正版が提供されている場合はプラグインそのものを最新バージョンへ更新することが重要です。

WordPress運用の落とし穴

「セキュリティ機能だから安全」とは限らない

今回特徴的なのが、二要素認証を提供するWP 2FAで報告された脆弱性です。

WP 2FA 3.1.1.1までのバージョンでは、購読者以上の権限を持つユーザーが、二要素認証登録時のメール検証の不備を悪用し、別のユーザーの検証を完了させ、そのアカウントへアクセスできる可能性があります。

二要素認証はWordPressサイトの安全性を高める重要な対策ですが、そのためのプラグイン自体に脆弱性が存在する可能性もあります。

セキュリティ対策用のプラグインだから更新を後回しにしてよいわけではありません。利用しているプラグインの更新状況と、二要素認証の登録状況に不審な点がないか確認しておきたいところです。

ファイル操作が可能なプラグインは特に注意

WordPress上からファイルを操作できるプラグインについても注意が必要です。

File Manager、Advanced File Manager、File Manager Pro - Filester、FileOrganizerでは、管理者以上の権限を持つ認証済みユーザーによるリモートコード実行の脆弱性が報告されています。

管理者権限が必要なため、外部から直接攻撃できる脆弱性ではありませんが、管理者アカウントが侵害された場合などには、サーバ上でコードを実行する手段として悪用される可能性があります。

また、AI EngineやKirkiでも、任意の場所へのファイル書き込みからRCEへ発展する可能性のある問題が報告されています。

WordPress管理画面からサーバ上のファイルを操作できる機能は便利な一方、侵害時の影響も大きくなります。利用していないファイルマネージャ系プラグインがある場合は、導入そのものが必要かも含めて見直すことをおすすめします。

決済・フォーム関連では個人情報の漏えいにも注意

今回、WooCommerce PayPal PaymentsやFluent Formsなど、決済やフォームに関連するプラグインでも情報漏えいにつながる可能性のある脆弱性が報告されています。

WooCommerce PayPal Paymentsでは顧客の請求情報、Fluent Formsでは支払い領収書データへの不正アクセスが可能になるケースがあります。

また、Relevanssiでは寄稿者以上の権限を持つユーザーによる時間ベースのブラインドSQLインジェクションが報告されており、データベースから情報を抽出される可能性があります。

WordPressサイトで決済や会員登録、問い合わせフォームを利用している場合、サイトそのものの改ざんだけではなく、顧客や利用者の情報が漏えいする可能性も考慮する必要があります。

プラグインの更新とあわせて、不審なアクセスや決済情報へのアクセス履歴なども確認しておきたいところです。

7月30日~8月5日に報告があった主な脆弱性一覧

特に注意したい脆弱性:8件

プラグイン 対象バージョン 修正バージョン 内容 詳細
AI Engine ~3.6.5 3.6.6 管理者アカウントの不正作成 [①]
Loco Translate ~2.8.5 2.8.6 任意PHPコード実行 [②]
Paid Membership Plugin(ProfilePress) ~4.16.17 4.16.18 権限昇格 [③]
W3 Total Cache ~2.10.2 - パストラバーサル [④]
Kirki ~6.0.13 - 任意ファイル書き込み・RCE [⑤]
WP 2FA ~3.1.1.1 - 他ユーザーのアカウントへのアクセス [⑥]
WooCommerce PayPal Payments ~3.3.2 - 顧客の請求情報へのアクセス [⑦]
Fluent Forms ~6.2.8 - 支払い領収書データへの不正アクセス [⑧]

その他の主な脆弱性

プラグイン 対象バージョン 内容 詳細
AI Engine ~3.5.4 任意ファイル書き込み・RCE [⑨]
Kirki ~6.0.11 SSRF [⑩]
File Manager系4プラグイン 各対象バージョン 管理者権限からのRCE [⑪]
Autoptimizeほか 各対象バージョン 認証不要の保存型XSS [⑫]
FluentSMTP ~2.2.95 認証不要の保存型XSS [⑬]
AI Engine ~3.6.8 認証不要の保存型XSS [⑭]
GiveWP ~4.16.5 認証不要の保存型XSS [⑮]
Rank Math SEO ~1.0.274.1 認証不要の保存型XSS [⑯]
Forminator Forms ~1.56.1 認証不要の保存型XSS [⑰]
Relevanssi ~4.27.1ほか ブラインドSQLインジェクション [⑱]
Conditional Fields for Contact Form 7 ~2.7.2 サービス拒否 [⑲]
All-in-One WP Migration and Backup ~7.105 任意位置へのログ書き込み [⑳]

① 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/45816c45-42bc-4163-b700-a1e913f32c97

② 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/241d7a82-5fa5-40e3-9336-823644ca17f0

③ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/f53f35c4-6825-448f-a101-1439fdd63cfe

④ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/60878165-d4cc-4ea1-acf7-9bb6fd48795b

⑤ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/4ccd1314-b9b9-4f63-820c-2817a4932ee8

⑥ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/f3063e92-e152-440d-bf02-b852ff87e319

⑦ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/a2919bbc-c4c2-4b52-90ec-2471218cd7d1

⑧ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/565980d7-8dc9-42a4-90c5-2f75af52fb8e

⑨ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/ea838c4c-d362-4653-8dc1-5c4dbec19eca

⑩ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/cf346e71-9baa-473b-8a65-1f22dae8118f

⑪ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/487185ed-d5ff-4658-9210-958e3ba2fe91

⑫ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/44fde2c8-8012-4ede-8455-08b8e744ba36

⑬ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/4ad3ed6b-19d4-47c7-a56c-54092c767fe9

⑭ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/6713c2dc-fc7f-4992-bde7-cfb94c383664

⑮ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/82ff0450-5a76-453e-bb27-45c11fff7419

⑯ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/90c4441e-3578-4bb0-befe-cfedcb5c1a71

⑰ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/fd9a81eb-2211-42e9-a456-fb60f3ca2c0f

⑱ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/4f96b87a-1405-4cf6-b903-ad0c7c8e2826

⑲ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/773e2c1f-cebb-46b8-a073-98814c274b8f

⑳ 詳細: https://www.wordfence.com/threat-intel/vulnerabilities/id/95cb607f-f110-416b-b9e4-87a68710f230

※今回報告された40件から、サイト侵害、権限昇格、情報漏えい、認証不要攻撃など、影響が大きいと考えられるものを中心に掲載しています。

総括

7月30日~8月5日に報告されたWordPress関連の脆弱性は40件に上り、このうち20件は認証されていない攻撃者から影響を受ける可能性があるものでした。

特に注意したいのは、AI Engineで報告されたCSRFの脆弱性です。認証されていない攻撃者が管理者を不正な操作へ誘導することで、攻撃者の認証情報を持つ新しい管理者アカウントを作成できる可能性があります。また、Loco Translateでは管理者を誘導することで任意のPHPコードを実行できる問題、ProfilePressでは設定次第で高い権限を持つロールによる不正なユーザー登録が可能になる問題が報告されました。

情報漏えいにつながる問題も複数確認されています。W3 Total Cacheでは認証不要のパストラバーサル、WooCommerce PayPal Paymentsでは顧客の請求情報へのアクセス、Fluent Formsでは支払い領収書データへのアクセスが可能になるケースがあります。

また今回は、AI Engine、Kirki、Tutor LMSでそれぞれ4件、Fluent Formsで3件と、同一プラグインに複数の脆弱性が集中したことも特徴です。

該当するプラグインを利用している場合は、修正版への更新を速やかに実施してください。あわせて、管理者や編集者などのユーザーアカウント、会員登録フォームのロール設定、二要素認証の登録状況、決済・フォーム関連のアクセス状況などに不審な点がないか確認することも重要です。

また、利用していないプラグインは無効化・削除し、特にサーバー上のファイルを直接操作できるファイルマネージャ系プラグインについては、導入の必要性そのものを定期的に見直すことをおすすめします。

著者プロフィール

相馬理紗


WordPressのリーディングカンパニー「GMOプライム・ストラテジー株式会社」でマーケティングをしています。趣味は、お酒、サイクリング、ウェイトトレーニングです。当社はWordPressのプラグイン・テーマの脆弱性の情報をSecurity Advisory for WordPressでお伝えしています。