AIブームが引き起こしたメモリチップの世界的な供給不足が、電子機器メーカーを直撃している。先日値上げを発表したAppleなど大手は製品価格の値上げで対応できる一方、中小メーカーは事業継続すら危ぶまれる事態に追い込まれているようだ。
需要の急増が価格の高騰を招く
需要の急増を背景に、DRAM価格は過去1年で劇的に上昇している。米半導体大手のMicronは6月25日の決算で、DRAMの平均販売価格が前年同期比260%超上昇したと発表。
売上高は前年比4倍超、粗利益率も39%から85%近くと急増している。Micron株は決算発表後に16%急騰し、過去1年で約800%上昇している。
需要の急増が価格の高騰を招いており、Appleは6月26日にiPadやMacBookの値上げを発表した。Appleは「これほど急速にコンポーネント価格が上昇したことは過去になかった」と述べており、CEOのTim Cook氏は今回のメモリ不足について「100年に一度の洪水」と形容している。
Microsoftも同日、Xbox Series Sを100ドル値上げして約500ドルにすると発表。「コンソールのストレージおよびメモリ価格は2.5倍以上も上昇しており、2027年秋までにさらに2倍になると予測している」と値上げの要因を説明した。
中小メーカーはそもそもメモリを入手できない
しかし、より深刻な打撃を受けているのは資金力や調達力に乏しい中小メーカーだという。例えば、アクションカメラのGoProは、第1四半期末にメモリ価格が80~115%上昇したとして、事業継続への懸念を投資家に警告した。このほか、スピーカーメーカーのSonosの株価も年初来23%下落している。
ルータ開発キットを手がけるMono Technologiesは、Micronの8GB DRAMの調達コストが開発当初の35ドルから現在は300ドルにまで跳ね上がったという。同社は数人規模のスタートアップだ。
共同創業者のTomaž Zaman氏は、次回生産分の価格を3割以上引き上げるか、搭載メモリを75%削減した廉価モデルへの切り替えを迫られている。「900ドル、1000ドルの価格になってしまえば、同クラスのルーターとして割高感は否めない。それでも対応するしかないか、あるいは最低限の仕様に削るかだ」というコメントを出している。
IDCのアナリスト Nabila Popal氏の見解として、100ドル以下の端末を製造するローカルメーカーや中小規模のAndroidスマートフォンメーカーにとっては「絶対的な存亡の危機」と紹介している。
Popal氏は「メモリサプライヤーは大手からの注文にしか対応しておらず、中小メーカーはそもそもメモリを入手できない」と指摘したという。AI向けチップへのメモリ集中という構造的な問題が続く限り、大手と中小の間の格差はさらに拡大するとの見通しを示している。CNBCが6月27日付でレポートしている。