この半導体ニュースのまとめ

・SEMIは2026年のメモリ向け300mmファブ製造装置投資額が前年比29%増の520億ドルとなり、初めて500億ドルを超えると予測
・DRAM製造装置投資はHBMやDDR5需要を背景に370億ドル、3D NAND向けはAIデータストレージ需要を背景に140億ドルへ拡大する見通し
・2024年から2029年までのメモリ向け300mm装置投資は年平均19%で成長し、2029年には800億ドルに近づくとみられる

AI需要で300mmメモリ装置投資が初の500億ドル超えへ

SEMIは6月29日(米国時間)、300mmウェハファブの投資動向調査レポート「300mm Fab Outlook」の最新版において、2026年の半導体メモリ分野における300mmファブ製造装置投資額が初めて500億ドルを超える見通しだと発表した。2026年の投資額は前年比29%増の520億ドルと予測されており、2027年にはさらに11%増の570億ドルへ拡大する見込みだという。

背景にあるのは、AIインフラ、データセンター、次世代コンピューティングシステム向けのメモリ需要拡大である。生成AIや大規模AIモデルの学習・推論では、GPUやAIアクセラレータに接続されるHBMに加え、DDR5、さらに大量データを保存するためのNANDフラッシュメモリの需要も高めている。SEMIのAjit Manocha CEOは、HBMをはじめとする先端メモリ技術への強い需要が、半導体サプライチェーン全体の投資優先順位を変えつつあると説明している。

  • 300mmファブ装置投資におけるメモリセグメント投資額推移グラフ

    300mmファブ装置投資におけるメモリセグメント投資額推移グラフ (出所:SEMI)

DRAM投資は370億ドル、HBMとDDR5がけん引

メモリ分野の中でも、DRAM向け製造装置投資は2026年に前年比29%増の370億ドルへ拡大すると見込まれている。成長を支えるのは、GPUやAIアクセラレータに不可欠なHBMと、サーバやクライアント向けで採用が進むDDR5である。AI処理におけるメモリ帯域幅の重要性が増す中、メモリメーカーは単純な容量拡大だけでなく、先端DRAMプロセスノードへの移行や積層技術の高度化にも投資を振り向けている。

一方、3D NAND向けの製造装置投資も2026年に前年比28%増の140億ドルへ拡大する見通しである。AI導入に伴い、データセンターでは学習データや推論ログ、生成コンテンツ、企業データを保存するためのストレージ需要が増加しており、エンタープライズSSD向けの高容量NAND需要を押し上げている。SEMIは、先端DRAM、HBM、高層化NANDへの移行が容量見通しを押し上げる一方で、プロセスの複雑化により実効的な供給能力の伸びは一定程度抑えられるとみている。

2029年に800億ドル近くへ、メモリ投資は新たな成長サイクルに

SEMIでは、メモリ分野における300mmファブ製造装置投資が2024年から2029年まで年平均成長率19%で拡大すると予測している。2026年に520億ドル、2027年に570億ドルへ拡大した後も、AI関連需要を背景に投資は増加基調を維持し、2029年には800億ドルに近づく見込みだ。

また、世界の300mmメモリ生産能力についても、2026年に月産410万ウェハ、2027年には同420万ウェハへ拡大すると予測している。今回の300mm Fab Outlook 2026年第2四半期版では、世界の413の施設およびラインを対象としており、2026年3月の前回発行以降、155件の更新と7件の新規ファブ/ライン計画の追加が反映されたという。

今回の見通しは、AI需要がメモリ投資を従来の景気循環型から、より構造的な成長サイクルへ押し上げつつあることを示している。HBMやDDR5、エンタープライズSSD向けNANDの需要は、AIサーバやクラウドサービスプロバイダの投資計画と連動しており、メモリメーカーにとっては生産能力と技術移行の両方を同時に進める必要が高まっている。製造装置メーカーにとっても、DRAMの先端プロセスノード化、HBM製造、高層3D NANDの量産に対応する装置需要が今後の市場拡大を支えることになりそうだ。