ヤマハ発動機は6月29日、公立小松大学、静岡大学、ホンジュラス国立自治大学が共同で行う中米ホンジュラスの「コパン遺跡」調査プロジェクトに協力すると発表した。同社の森林デジタル化サービス「RINTO」を活用し、遺跡周辺の森林および地形を計測・解析することで、未確認の文化遺産・自然遺産の調査・記録に貢献するという。
コパン遺跡は、ホンジュラス西部のコパン・ルイナス市に位置し、ユネスコの世界遺産にも登録されたマヤ文明の重要遺跡。40年以上にわたって同遺跡を調査し、世界的発見をしてきた公立小松大学次世代考古学研究センターの中村誠一特別招聘教授らが、ホンジュラスの研究者とともに調査を続けている。遺跡中心部周辺の森林の中にも未確認の遺跡が眠っている可能性が高いものの、広大な面積と地表を覆う草木により、地域の遺跡の全体像を探ることは困難となっていたという。
今回のプロジェクトでは、コパン遺跡周辺の森林を含むエリアを対象に「RINTO」を活用し、詳細な地形および森林データの取得を目指す。2026年4月には、本格調査に先立ち、無人航空機を用いた上空からのレーザ計測をコパン遺跡の一部で実施。取得した高密度点群データから、森林および遺跡の3次元デジタルデータを作成した。
この調査により、森林内部の構造や、地表面における50cm規模の微細な起伏まで可視化できたという。その結果、マウンドと呼ばれる地表面に残る盛り上がりなど、人の手が加わった可能性を示す地形を多数確認したとしている。
遺跡の発掘調査では、周辺樹木を伐採するなど、調査地域の自然環境に影響が生じる場合がある。後年に調査前の自然環境や景観を正確に再現・確認することは難しい。そのため、発掘調査前の状況をデジタルツインとして記録・保存することは、文化財の調査記録を補完するとともに、地域の歴史・環境を将来へ継承する取り組みとして意義を有するという。
今後は、公立小松大学などによる、古代都市コパン全体の遺跡が広がるコパン谷約2500haの本格調査に着手できるよう、検討・分析を進める。あわせて、静岡大学などが計画する市民と協働した遺産の価値調査により、森林を含む自然遺産の保全などにおけるデータ活用を探索していくとしている。なお、コパン地方考古博物館の展示やエコミュージアム事業においては、静岡大学情報学部の村野正景准教授が協力している。
「RINTO」は、高度なレーザ計測技術などを用い、森林の現況を3次元デジタルデータ化するサービス。自動航行機能や高い航続性能を備える同社製の産業用無人ヘリコプターなどに高解像度LiDARを搭載し、森林の上空から1秒間に最大240万回のレーザを照射する。取得した高密度な点群データから、樹木の位置や樹高、直径を解析し、森林資源情報や地形情報などを可視化する。この技術により、国内外の文化遺産や自然遺産調査などへの活用の幅を広げていく計画だ。



