この半導体ニュースのまとめ

・IntelがIntel Foundryの先端パッケージ事業を専任体制で強化し、Seok-Hee Lee氏をEVPに起用
・Lee氏は先端パッケージ、システム統合、後工程技術開発、後工程製造を統括し、AI時代の異種集積対応を加速
・前工程はNaga Chandrasekaran氏が引き続き担い、Intel 18A、Intel 14Aの立ち上げを進める

先端パッケージを専任体制で強化、Lee氏が後工程を統括

Intelは6月18日、Intel Foundryの幹部人事として、Seok-Hee Lee(イ・ソクヒ:李碩熙)氏をIntel Foundry担当のExecutive Vice President(EVP)に起用すると発表した。Lee氏はCEOのLip-Bu Tan氏に直接レポートし、先端パッケージ、システム統合、後工程技術開発、後工程製造の全体を統括する。今回の人事に合わせ、Intelは先端パッケージを専任リーダーが率いる重点事業として位置付け直した。AIシステムで求められる性能、電力効率、異種集積の複雑さが高まる中、先端パッケージを単なる後工程ではなく、システムレベルの差別化要素として前面に出す構えだ。

  • Seok-Hee Lee

    Intel Foundry担当のExecutive Vice President(EVP)に指名されたSeok-Hee Lee(イ・ソクヒ:李碩熙)氏 (出所:Intel)

Lip-Bu Tan氏は、先端パッケージとシステム統合は次世代コンピューティングを左右する中核能力になりつつあると説明しており、Lee氏の大規模技術・製造組織の運営経験と実行力が、Intel Foundryのシステム統合能力強化に資すると強調する。Intelは、最先端ロジック、メモリ、ネットワークなどの部材を高密度に組み合わせるシステム志向を強めており、その中でEMIB-TやHBIといった先端パッケージ技術を顧客とパートナー向けに量産段階へ引き上げる考えだという。Intel Foundryを巡っては、AIブームへの対応で出遅れた後、Lip-Bu Tan体制のもとで製造事業の立て直しが進められており、今回の人事もその延長線上にあるといえる。

Lee氏は直近ではSKグループのバッテリーメーカーであるSK Onで社長兼CEOを務めていたほか、それ以前はSK hynixの社長兼CEOを務めていた。Intelは、同氏が半導体業界のベテランであり、過去にはIntelや学術分野でもエンジニアリングの指導的役割を担ってきたと説明している。Lee氏自身も、AIと高性能コンピューティングの広がりでシステムレベル統合の需要が加速する中、Intelは先端パッケージ分野で主導権を握れる独自の立場にあるとコメントし、技術力、製造能力、顧客への約束履行を前進させたい考えを示している。

Intel 18A/14Aは前工程が継続担当、運営モデルを再編

一方、Intel Foundry担当EVPのNaga Chandrasekaran氏は引き続きLip-Bu Tan氏にレポートし、前工程の技術開発と前工程製造を担当する。加えて、Intel 18A、Intel 14A、さらにその先のプロセス立ち上げを加速しながら、設計イネーブルメントとエンドツーエンドの顧客対応、事業イネーブルメント機能も継続して統括するとしている。つまり、前工程と後工程をより明確に分担しつつ、顧客視点では一体運営を維持する体制へ再編する格好だ。Intelはこの新たな運営モデルにより、技術開発と製造の実行エンジンを強化し、顧客やパートナーに対して、より速く、一貫性があり、予見可能な形で提供できるようにするとしている。

異種集積を差別化軸に、ファウンドリを総合提案型へ

先端パッケージング分野の強化は、AI時代の半導体競争でIntel Foundryの差別化軸になり得る。プロセスの微細化による性能向上に限界が見え始める中、複数ダイを高度に組み合わせる異種集積は、AIアクセラレータや高性能コンピューティングで重要性を増している。Intelは4月にもSamsung Foundry出身のShawn Han氏をファウンドリ事業の強化へ向けて採用しており、今回のLee氏起用も含めて、Lip-Bu Tan体制によるIntel Foundryの立て直しが人材面でも本格化してきたことを示す。前工程でIntel 18AとIntel 14Aの立ち上げを急ぎつつ、後工程では先端パッケージを独立色の強い事業として鍛え上げることで、Intelはファウンドリ事業を単なる受託製造ではなく、システム統合まで含めた総合提案型へ引き上げようとしているようだ。