この半導体ニュースのまとめ

・IntelがXeon 6+(Clearwater Forest)を正式発表、最大288コア構成
・エージェントAI時代に向けCPU主導の処理最適化を強化
・電力効率向上とラック数削減でデータセンターの有効活用を促進

Intelは6月1日、COMPUTEX 2026の開催に先駆け、データセンター向けCPU「Xeon 6+ Processoe」(開発コード名:Clearwater Forest)を正式に発表した。最大288コアを搭載する高密度設計と電力効率の向上により、クラウドや5G、AI推論などのワークロードに対応する。

データセンターは「AI+従来処理」の混在構造へ

データセンター市場では、AIワークロードの急増が続く一方で、従来の業務処理も依然として大きな割合を占める。その電力消費割合は2025年時点でAI側が23%、従来側が77%とされており、2030年でもAI側が50%、従来側が50%と見込まれており、インフラとしてはAI処理と汎用処理を分断するのではなく、高密度処理、汎用処理、AI処理などを並列に最適化する構造へと転換しつつある。

密度と効率を重視したXeon 6+

そうした状況の中、Xeon 6+はIntelの2種類のコアである高性能のPコアと高電力効率のEコアのうち、Eコアを採用したサーバCPUとなり、コアとしてはPanther Lakeと同じDarkmont。タイル(チップレット)構造を採用し、CPUコアのコンピュートタイルは最大12基、1基あたり6個のモジュールを搭載し、モジュールあたり4コアを備えるため、コンピュートタイル1基あたり24コア、最大12基で288コアを提供する。

  • Xeon 6+の概要
  • Xeon 6+の概要
  • Xeon 6+の概要
  • Xeon 6+の概要 (出所:Intel、以下すべて同様)

メモリは12チャネルDDR5-8000に対応し、最大576MBのLLC(ラストレベルキャッシュ)を備えるなど、大規模ワークロード向けに設計されている。またPCIe Gen5(最大96レーン)を中心にI/O帯域も強化し、クラウドネイティブや分散処理環境への適用を想定する。

各タイルで用いられているプロセスは、コンピュートタイルがIntel 18A、アクティブベースタイルはIntel 3、I/OタイルはIntel 7で、EMIB 2.5Dを採用したEMIBタイルと、ハイブリッド・ボンディングにより、アクティブ・チップの高密度直接スタッキングを実現する「Foveros Direct 3D」を活用することで、高密度化、高帯域接続、スケーラビリティを同時に実現したという。

  • Xeon 6+のタイル構成

    Xeon 6+のタイル構成

性能は平均2.26倍、電力効率は平均1.55倍向上

性能面では、前世代のXeon 6 6700Eシリーズ比で平均2.26倍の性能向上、1.55倍の性能/ワット改善を実現したとするほか、暗号処理では最大15倍規模の性能向上も提示されており、セキュリティ処理の負荷増にも対応する。また、競合であるAMDのEPYC(第5世代EPYCのEPYC9965)と比較しても、スレッドあたり性能および効率は平均1.3倍向上しているとする。

  • Xeon 6 6700Eシリーズとの比較
  • Xeon 6 6700Eシリーズとの比較
  • 前世代品となるXeon 6 6700Eシリーズとの比較

電力効率の向上に向けて新たなエネルギー管理技術を採用

新機能として「Application Energy Telemetry(AET)」も導入された。

これはアプリケーション単位で電力消費を可視化する技術で、ワークロード配置の最適化、電力コスト削減、効率改善を可能とするものだという。データセンターの電力需要が急増する中で、単なる性能向上だけでなく、運用最適化が重要視されてきている流れを受けた取り組みと言える。

  • Intel AETの概要

    Intel AETの概要

960台の第2世代Xeon Scalable Processorを100台に集約

Xeon 6+では、性能向上と電力効率向上を果たしたことで、第2世代Xeon Scalable Processor(Xeon 6258R)が960サーバ(48ラック)と同等性能を100サーバ(10ラック)で実現できるようになったという。これにより、設置スペースは約79%削減が可能となるほか、消費電力の73%抑制ならびにCO2排出の9.8kt削減などにつなげることができるともする。

エージェントAI時代に変化するCPUの役割

今回の発表の大きなポイントは、AI処理におけるCPUの役割強化にある。従来のAI処理はGPUが中心に存在していたが、エージェントAIの時代においては、計画、実行、ツール操作、データ取得、など複雑な処理フローが発生することとなる。

このためCPUは、「AI処理のオーケストレーション中枢」としての役割を担うことになる。Xeon 6+は、大容量キャッシュと高コア数により、こうした処理の並列実行に最適化されたものとなる。

CPUでAIインフラのボトルネック解消を狙うIntel

AIの用途が複雑化するにつれて、AIシステムでは近年、GPUの計算性能やネットワーク帯域に加えて、CPUがボトルネックになるケースが増えてきている。Xeon 6+は、そうした課題に対し、高コア密度、高帯域メモリ、電力最適化といった特徴で対応することを目指した製品と言える。

  • Xeon 6+のSKU

    Xeon 6+のSKU

なお、同社は2027年にはIntel 18A-PプロセスベースのPコアを採用そた次世代Xeon「Diamond Rapids」(開発コード名)を投入する計画のほか、次世代データセンターGPU「Crescent Island」(開発コード名)の開発を進めているとのことで、さまざまなAIニーズへの対応を加速させていくとしている。

  • 「Diamond Rapids」の概要

    「Diamond Rapids」の概要

  • 次世代データセンターGPU「Crescent Island」の概要

    次世代データセンターGPU「Crescent Island」の概要