この半導体ニュースのまとめ

・MicrochipがdsPIC33CK Value Lineを発表
・必要機能に絞り込み低コストと高性能を両立
・モータ制御やセンシング用途で部品集約を推進

Microchip Technologyは5月28日(米国時間)、リアルタイム制御用途向けのデジタルシグナルコントローラ(DSC)「dsPIC33CK Value Line」を発表した。性能とコストのバランスを重視し、必要な機能に特化した設計により、産業機器や車載、民生分野での採用を狙う。

  • 「dsPIC33CK Value Line」

    「dsPIC33CK Value Line」のパッケージイメージと活用イメージ (出所:Microchip)

制御設計で求められる「性能とコストの両立」

モータ制御やセンシングなどのリアルタイム制御分野では、処理性能と周辺機能の統合が求められる一方で、システム全体のコストと設計複雑度の抑制が課題となっている。

こうした用途では、過剰な機能を削減しつつ必要な制御性能を確保する製品へのニーズが高まっており、今回の製品はこうした市場要求に対応したものとなる。

必要機能に絞り込み設計を簡素化

dsPIC33CK Value Lineは最大100MHzの処理性能を備え、モータのフィールド指向制御や精密センシングに対応する機能を統合している。

高分解能PWMや12ビットADCなどの制御に不可欠な機能を搭載しつつ、不要な機能を削減することでコスト効率を高めた設計となっており、これにより設計者は単一デバイスで複数機能を実現でき、外付け部品の削減と基板面積の縮小が可能となる。

集積化で部品点数とコストを削減

同シリーズではアナログコンパレータやDAC、通信インタフェースなどを統合し、システム全体の機能を1つのデバイスに集約する構成を採用している。

このような高集積化により、部品点数やBOMコストの削減に加え、設計の簡素化と信頼性向上を実現する。結果として、コスト制約の厳しいアプリケーションでも高性能な制御システムを構築できるという。

車載品質と長期供給に対応

同製品はAEC-Q100 Grade 1に対応し、車載用途に求められる高信頼性を確保している。またセキュアブートやファームウェア更新機能などのセキュリティ機能も備え、長期運用が求められる用途に対応する。

こうした特性により、産業機器や医療機器など信頼性重視の市場にも展開可能とされる。

開発環境と価格で導入を容易に

Microchipは評価キットや開発ツールも提供し、設計初期段階から量産までの開発を支援する。既存のdsPIC33CKシリーズとの互換性を確保することで、将来的な機能拡張にも対応できる。

価格は0.51ドルからとされており、購入数量に関わらず一定の価格を維持する方針とすることで、コスト計画の立てやすさを重視している。

制御デバイスは「最適化」が競争軸に

リアルタイム制御分野では、単純な高性能化ではなく、用途に応じた機能の最適化が重要となっている。今回の製品は、必要な機能に絞ることでコストと性能のバランスを最適化するものであり、制御デバイス市場における設計思想の変化を示すものといえる。

今後は、システム全体の効率や開発コストを含めた総合的な最適化が、デバイス選定の重要な指標となるとみられる。