まとめ

・シャープの2025年度通期売上高は前年度比12.4%減の1兆8928億円、営業利益は同77.6%増の485億円、純利益は同31.4%増の474億円
・ディスプレイ事業はアセットライト化により継続事業での黒字化にめど
・新規事業として「AIサーバ」「電気自動車(EV)」「ロボティクス・インダストリーDX」「宇宙」の4テーマに期待。特にAIサーバは2027年度に日本での参入を計画

シャープの2025年度通期決算は2桁の増収増益を達成

シャープは5月12日、2025年度通期決算を発表した。それによると売上高は前年度比12.4%減の1兆8928億円、営業利益は同77.6%増の485億円、経常利益は同228.3%増の579億円、最終利益(純利益)は同31.4%増の474億円となったという。

  • シャープの2025年度通期決算概要

    シャープの2025年度通期決算概要 (出所:シャープ、以下すべてのスライド同様)

セグメント別に売上高を見ると、スマートライフは白物家電事業が国内、米国を中心に調理家電が伸長したが、洗濯機や冷蔵庫、エアコンなどが前年度に届かなかったほか、ASEANでもエアコンの販売が天候の影響などから振るわなかったことなどが影響し、同7.1%減の5979億円。スマートワークプレイスは、ノートPCを中心とするPC事業がWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要やメモリ価格高騰に伴う駆け込み需要による増収増益となった一方、スマートフォン(スマホ)の売り上げが他社の攻勢などもあり減少し、同0.3%減の8338億円とするほか、利益も前年度比で減少したものの、前年度に生じた一過性の収益を除いて計算した場合は実質的な増益をなるとしている。

また、ディスプレイデバイスの売り上げはアセットライト化が進んだ結果、同6.4%減の4235億円となり、182億円の営業損失も計上したが、車載向けプロダクトミックスが改善したこと、ならびに白山工場におけるモバイルならびに産業用途の販売拡大、亀山第2工場および三重第3工場の生産能力適正化に伴う固定費の低減などが進んだことで、赤字幅は2024年度の269億円から改善されたとしており、アセットライト化に区切りをつけたことができ、亀山第1工場や白山工場といった継続事業での黒字化の道筋を見出せるようになってきたとする。

  • シャープの2025年度通期セグメント別売上高・営業利益

    シャープの2025年度通期セグメント別売上高・営業利益

このほか、同社は棚卸資産が前年度の2420億円から2503億円へと増加しているが、高騰するメモリの先行調達などを行ったためのもので、計画に沿った適正な在庫水準を維持しているとする。ただし、2026年度について、メモリやSSDの価格上昇については、基本的に売価に反映するとしている。懸念される中東情勢悪化に伴う樹脂や燃料価格の上昇に関しては、現時点では影響度の想定が難しく、期初の業績予想には盛り込んでいないとするが、今後のコスト増加については、売価への反映もするが、併せてコストダウンや経費の削減なども推進し、影響の最小化に取り組むとする。

2026年度通期決算見通しは営業利益は増益も売上高、純利益は減収減益

2026年度については、こうした外部要因があるものの、スマートライフはASEANにおけるエアコンの販売拡大や、国内でのエアコンのラインアップ強化や省エネ基準の改正に伴う駆け込み需要の取り組みを図ることでの販売拡大などを通じた増収増益を目指すとする。ただし、スマートワークプレイスは2025年度のWindows 11買い替え需要の反動に伴う販売台数の減少や、メモリ/SSDの価格上昇に伴うコストの上昇により減収減益を予測。ディスプレイデバイスについては、2026年8月に生産終了・稼働停止を予定していた亀山第2工場を、顧客からの最終注文の量やモデルミックスなどの観点から12月に後ろ倒しを決定。その影響により90億円規模の営業損失が発生する見込みとする一方、車載向けパネルが下期より欧米OEMメーカーへの供給開始となるほか、高付加価値なモバイル・産業用パネルの販売拡大が進むことで、継続事業だけで見れば、黒字化が見込めるとしている。

  • シャープの2026年度通期セグメント別売上高・営業利益予想

    シャープの2026年度通期セグメント別売上高・営業利益予想

これらを合わせた全体の業績としては、売上高は前年度比6.5%減の1兆7700億円、営業利益は同0.9%増の490億円、経常利益は同32.7%減の390億円、純利益は同11.5%減の420億円としている。経常利益と純利益の減少については、2025年度の一過性要因がなくなること、ならびに金利上昇に伴う支払利息の増加などの影響により減益となるとしている。

  • シャープの2026年度通期業績予測

    シャープの2026年度通期業績予測

新たな成長のけん引役として期待されるAIサーバは2027年度中に日本での事業参入を計画

なお、シャープでは「AIサーバ」「電気自動車(EV)」「ロボティクス・インダストリーDX」「宇宙」の4テーマを将来の成長をけん引する新規事業領域としており、特にAIサーバに関しては、2027年度の日本市場への参入に向けて具体的なビジネスプランやスキームの立ち上げを急ピッチで推進している途中で、鴻海精密工業(ホンハイ)が製造したAIサーバをシャープがエージェントとして販売していくことや、川上の市場展開に向けたパートナー構築、状況によってはM&Aなども行っていくとするほか、AIサーバの国産化も検討していくとするなど、ホンハイとの連携を踏まえた展開を図っていきたいとしている。

  • 新規事業創出に向けた進捗

    新規事業創出に向けた進捗

同社では、こうした新規事業の詳細な取り組みなどについては、別途6月9日に開催予定の事業説明会にて、改めて説明を行う予定としている。