Yole Groupが、2025年から2030年に至るGaNパワーデバイス市場に関する調査レポート「Power GaN 2025」を発行した。

それによると、GaNパワーデバイス市場は2024-2030年にかけての年平均成長率(CAGR)42%で成長し、2024年の3億5500万ドルから2030年には29億ドル規模にまで成長すると予測されるという。

  • 2024年と2030年のGaNパワーデバイス市場の応用分野別内訳

    2024年と2030年のGaNパワーデバイス市場の応用分野別内訳 (出所:Yole Group)

2030年の最大市場はコンシューマ

2030年の最大市場は約20億ドルのコンシューマで、全体の52%を占める見込み。2番目は自動車で全体の約19%を占める。xEVのパワートレインへの採用が減速しているがCAGRは73%と高く、2024年の2000万ドルから2030年には約5億ドルまで成長することが予測される。3番目はテレコムと通信インフラ。特にAIデータセンターでの高効率電源需要がけん引すると予想される。当該期間のCAGRは53%で、2024年の2900万ドルから3億8000万ドルまで拡大し、市場の13%を占めると予測される。4番手はエネルギーと産業分野で、エネルギー分野では太陽光発電やポータブルストレージなどで活用されるほか、産業分野ではロボットとモーターへの適用が期待され、こちらは2028年から2029年ごろに導入が加速する見込みだという。

シェアトップは中国系企業

2023および2024年のパワーGaNデバイスメーカーの売上高ランキングトップ5を見ると、トップは中Innoscienceでシェア30%。2位には米Navitas Semiconductor、3位に米Power Integrations、4位に米EPCと米国勢が続き、5位にInfineon Technologiesが入ってきている。日本勢はSiCデバイス同様に出遅れ気味である。

  • 2023年および2024年のパワーGaNデバイスメーカ売上高ランキングトップ5

    2023年および2024年のパワーGaNデバイスメーカ売上高ランキングトップ5 (出所:Yole Group)

2023年以降、GaNパワーデバイス業界は、InfineonによるGaN Systemsの買収、ルネサス エレクトロニクスによるTransformの買収など、大規模な合併や買収が進み、統合の段階に入ったと言える。過去数年間で12億5000万ドル以上が投資され、Wise Integrationなどの新興企業は1640万ドルを調達したほか、STMicroelectronicsは8インチGaNファブを建設中、Nexperiaはeモードプラットフォームを拡張し、ロームはEcoGaNデバイスを発表している。また、Samsungも2026年にGaNパワーデバイスのリリースを予定している模様である。

大口径化がコスト低減を後押し

現在の主流は6インチGaN-on-Siだが、8インチへの移行が進んでおり、2030年までに需要の80%以上を占めることが予測される。12インチ化は、Intelが2024年第4四半期にGaN-on-TRSOIの初期結果を発表したほか、InfineonがGaN-on-Siでのデバイス開発を完了し、2025年第4四半期にサンプル提供を開始、すでに一部の顧客に届き始めたようである。また、imecの300mm GaNプログラム(SiおよびQST基板)により、GaNデバイスの製造コストが低減することが期待されている。

  • GaNパワーデバイス用ウェハの大口径化とダイサイズの縮小によるコスト削減

    GaNパワーデバイス用ウェハの大口径化とダイサイズの縮小によるコスト削減 (出所:Yole Group)