ルネサスがWolfspeedの再建支援を決定
ルネサス エレクトロニクスは6月23日、米Wolfspeed(ウルフスピード)と同社の主要債権者との間で、同社の財務再建について定めるRestructuring Support Agreement(再建支援契約)を締結したことを発表した。
これはWolfspeedが2025年5月8日に開催した四半期決算説明会にて、財務基盤強化に向けた同社の目標達成のために法的再建手続きを実施する可能性(チャプター11)がある旨を公表したことを受けてもの。ルネサスは、この発表よりも前、2023年7月に、10年間にわたるSiCウェハ供給契約を締結していた(その後、2024年10月にWolfspeedと修正契約を締結し、預託金の元本相当額を総額20.62億ドルへと引き上げている)。
このWolfspeedの動きを踏まえ、ルネサスも2社間協議を進めてきたとしており、今回、Wolfspeedと同社の主要債権者との間で再建支援契約を締結し、ルネサスが提供した20.62億ドルの預託金について、Wolfspeedの転換社債、普通株式および新株予約権に転換することで合意したという。
預託金をWolfspeedの社債/株式などに転換で合意
具体的には、まず1つ目の合意として、元本総額2.04億ドルを満期2031年6月のWolfspeedの普通株式に転換可能な転換社債へと転換を行う。これはリストラ完了時点におけるWolfspeedの発行済株式総数(潜在的希薄化考慮前)の13.6%に相当するものだという(潜在的希薄化考慮後(ただし、ルネサスに付与予定の新株予約権の行使前)では11.8%に相当)。
2つ目の合意は、リストラ完了時点におけるWolfspeedの発行済株式総数(潜在的希薄化考慮前)の38.7%相当に転換(潜在的希薄化考慮後(ただし、ルネサスに付与予定の新株予約権行使前)では17.9%に相当)をするというものとなる。
そして3つ目の合意は、リストラ完了時点におけるWolfspeedの発行済株式総数(潜在的希薄化考慮前)の38.7%に相当する新株予約権への転換。これは、潜在的希薄化考慮後(ただし、ルネサスに付与予定の新株予約権行使前)では17.9%に相当するものとなるという。
Wolfspeedはチャプター11の手続き申請を予定
Wolfspeedのリストラは、米国連邦倒産法第11章(チャプター11)に基づく手続きを通じて行われる予定で、Wolfspeedは、近日中にこの手続きの開始を裁判所に申請する予定とのことで、リストラについては再建計画に関する裁判所の認可を経る形で2025年9月末までに効力が発生する見込みだという。
また、ルネサスがこれらWolfspeedの転換社債、普通株式および新株予約権を取得するために必要な規制当局の承認がリストラの効力発生時点で未取得の場合、ルネサスは、必要な承認が取得されるまでの間、これらの転換社債、普通株式および新株予約権と同等の経済的価値に関する権利を取得する予定であるという。
なお、ルネサスでは今回のWolfspeedに対する再建支援契約の締結に伴う形で連結決算において、Wolfspeedへの預託金に係る預託金債権について損失を計上する見込みとしており、その額については現時点では計上時期や計上額は確定していないとしながらも、2025年12月期第2四半期累計連結決算において、約2500億円(期中平均の為替レート:1ドル150円で換算)の損失を計上する可能性があるとの見通しを示している。ただし、2025年4月24日付で発表した2025年12月期第2四半期連結累計期間の業績予想については、Non-GAAPベースにて売上収益・売上総利益率・営業利益率を開示しており、親会社株式に帰属する当期純利益の予想は開示していないこともあり、変更はないとしている。