宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、IHIの連結子会社であるIHIエアロスペースに対し、6月2日付で5カ月間の競争参加資格停止処分を行ったことを発表。両者は「10年間にわたり、ロケット製造に用いる専用治工具の保全作業が未完了であるにもかかわらず、完了したと虚偽報告を行うなどし、不適正な代金請求を多数行っていたことが判明したため」と説明している。

JAXAでは、2025年12月にIHIエアロスペースから、JAXAとの契約における作業未了報告を受け、この事案に関する事実関係と原因、および類似事案の有無などに関する早急な調査を要請。

その後、2026年5月までの間、同社から段階的に調査進捗に関する報告を受け、「5月29日付報告において、不適切な契約管理によって、作業未了のものを完了したという事実と異なる報告と、その報告に基づく不当な費用請求が多数あることが明確に認められた」として、今回の措置に踏み切った。

問題となった両者の契約には、ロケットや衛星といった宇宙関連機器の部品製造時に必要となる専用治工具(専用的な機材装置)の保全業務等が含まれている。

IHIエアロスペースは、書類保存期間10年間にあたる2016年度以降の契約のうち、機材装置の保全業務に関する契約や、部品の調達業務に関する契約を含む、物品の引き渡しを伴わず報告書の提出のみをもって費用を請求する契約について調査を行い、調査対象の438契約のうち14契約で同様の問題が見つかったという。その内訳は、機材装置の保全業務が13契約、部品の調達業務が1契約となっている。

IHIエアロスペースの説明によれば、これらの契約においては、機材装置や部品そのものをJAXAに引き渡すのではなく、業務完了の報告書をJAXAに提出することで完了としている。しかし、IHIエアロスペースはこうした契約の一部において、契約上履行が求められる業務の一部が未完了にもかかわらず、業務が完了したとする報告書を提出し、費用を請求していたとのこと。

この問題は、JAXAとIHIエアロスペースが機材装置の保全業務に関する調整を進める中で判明し、その事実関係を前出の通り、IHIエアロスペースからJAXAへ2025年末に報告。その後も調査を進めてきた。

なお、契約上問題があったとされる機材装置を用いて製造した製品については、IHIエアロスペース社内の独立組織である品質保証部門において所定の検査・評価を行い、製品要求への適合性を確認したうえでJAXAに引き渡しており、「品質への影響はない」と判断したとのこと。

また、部品の調達業務については、実際に当該部品を使用する時期までに調達を完了させており、製品への組み付けには影響がなかったことを確認したとしている。

JAXAは今後、さらなる調査で全容の解明と不当な費用請求の精査、再発防止策を取りまとめる。IHIも、JAXAによる調査への全面協力と原因究明、再発防止策の実行に取り組んでいく。