SEMIは3月25日(米国時間)、2025年の世界の半導体前工程向け製造装置の投資額が前年比2%増の1100億ドルとなるとの予測を発表した。

SEMI会長兼CEOのAjit Manocha(アジット・マノチャ)氏は、この予測について、「世界の半導体業界の製造装置投資額は6年連続で増加する見込みで、AI関連チップの需要急増に対応するための増産に伴い、2026年の投資額も前年比18%増の1300億ドルまで拡大することが予測される。この設備投資の増加予測は、2025年と2026年の2年間に生産を開始する予定の約50の新規ファブが必要とする技能労働者を供給するために、人材開発に向けた活動を強化することが急務であることを示している」と、半導体の底堅い需要が続いていくことと、それに対応するための人員確保が重要になってくるとの見方を示している。

  • 半導体前工程向け製造装置の投資額推移

    半導体前工程向け製造装置の投資額推移 (出所:SEMI)

2025年および2026年の前工程への投資のけん引役としてはAI半導体やHBMを中心とする高性能メモリに加えて、エッジでのAI活用に向けて半導体の使用量が増加することも期待されるとSEMIでは説明しており、そうした背景から前工程の投資の中心はロジック&マイクロプロセッサ分野となるとの見方を示す。同分野の投資額は2025年が同11%増の520億ドル、2026年には2nmプロセスやバックサイドパワーデリバリーテクノロジーへの投資も重なり、同14%増の590億ドルが予測されるという。

また、メモリ分野への投資もAI利用の拡大に併せる形で伸び、2025年が同2%増の320億ドル、2026年が同27%増の約406億ドルと予測される。内訳としては、DRAM分野が2025年が同6%減の210億ドルとマイナス成長となるが、2026年は同19%増の250億ドルと回復。NANDについては、2025年に同54%増の100億ドル、2026年も同47%増の150億ドルと予測されるという。

このほか、国・地域別での前工程投資額を見ると、中国が2024年のピーク値である500億ドルには及ばず、同24%減の380億ドルと減らすものの、依然として投資額トップを維持する見込みのほか、2026年は同5%減の360億ドルとしている。

2位は韓国で、主にメモリへの投資が進むことが期待され、2025年には同29%増の215億ドル、2026年には同26%増の270億ドルを予想している。3位は台湾で、ファウンドリを中心とした先端技術と生産能力の強化を目的に投資が行われ、2025年には210億ドル、2026年には245億ドルが投じられることが予測されるとする。

4位は米国で、2025年は140億ドル、2026年は200億ドルと予測。5位は日本で2025年が140億ドル、2026年が110億ドル、6位は欧州・中東で2025年が90億ドル、2026年が70億ドル、7位が東南アジアで2025年が40億ドル、2026年も40億ドルの投資がそれぞれ予測されているという。