田中貴金属の産業用貴金属事業を展開する田中貴金属工業は1月23日、パワー半導体用パッケージ製造におけるダイアタッチ用途をはじめ、電子機器内の放熱を担うTIM材の代替材料としても期待されるシート状接合材料「AgSn TLPシート」を開発したことを発表した。
近年では、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)、産業インフラなどの用途を中心に、大電流タイプのパワー半導体に対するニーズが高まっている。今や社会に不可欠な半導体デバイスは、高温による故障や低寿命化などの悪影響を避けるため、高温耐熱性が重要とのこと。しかしパワー半導体パッケージの製造においては、これまで主な接合材料として環境負荷への懸念がある高鉛はんだが用いられており、別材料への切り替えは進んでいるものの、SACはんだ(スズ・銀・銅を含むはんだ材料)や銀焼結剤は耐熱性の低さが課題となっている。そのため現在では、大型化が進むシリコン(Si)チップの接合工程において、高い耐熱性や信頼性を担保しながら大面積を接合できる材料が求められているという。
今回田中貴金属工業が発表したAgSn TLPシートは、最大20mmまでの半導体チップ接合に対応しているとのこと。さらに3.3MPaの低加圧で接合が可能であるため、半導体製造における歩留まり改善にも貢献するとしている。