半導体パッケージングおよびテスト受託(Outsourced Semiconductor Assembly & Test:OSAT)大手の米Amkor Technologyは11月30日(米国時間)、米国アリゾナ州ピオリアに先進パッケージングおよびテスト施設を建設する計画を発表した。

それによると、50万ft2を超すクリーンルームを備えた最先端半導体後工程工場の建設を計画しており、すでに約55エーカーの土地を確保済みだという。工場の第1段階となる製造棟は、今後2~3年以内に生産準備が整う見込みで、総額20億ドルを投資し、約2000人の新規雇用を創出する予定。完成すれば、米国最大のアウトソーシング先進パッケージング施設となる。

米国政府による米国内での半導体生産力強化施策は、前工程のみならず、先進的なパッケージング技術にもフォーカスを当てており、前工程から後工程までの一貫したエコシステムの構築を目指しており、今回のAmkorの取り組みもその一環であるとされており、Amkor自身もCHIPS法に基づく米国政府の資金提供を申請したことも明らかにしている。CHIPS法は、半導体産業における米国の競争力、イノベーション、国家安全保障を強化するために制定され、その一環として総額527億ドル(5年間)の資金の内、390億ドルを工場建設、拡張、近代化に向けた補助金として提供することになっている。Amkorでも、この資金はプロジェクトを進める上で重要だとコメントしている。

また、アリゾナ州にはTSMCが半導体前工程工場の建設を行っており、TSMCのC.C.Wei CEOも今回のAmkorの投資に対し、「長年にわたるTSMCの戦略的OSATパートナーであるAmkorが、ともにアリゾナで半導体産業の未来に向けた投資してくれたことに感謝する。新後工程工場はTSMCおよびその顧客やエコシステムに大きな価値をもたらすに違いない」とコメントを寄せている。

最初の顧客としてAppleが名乗り

Amkorは新工場にてHPC、自動車、通信などの重要な市場に向けた高度なパッケージングとテスト技術を顧客企業に対して提供していく予定だとしている。すでに、そうした先端プロセスと先進パッケージング技術を必要とする顧客としてAppleが、この新工場の最初の顧客として名乗りを上げており、TSMCアリゾナ工場で生産されたウェハをAmkorの新後工程工場でパッケージングとテストを行う計画を示している。

自前の半導体製造設備を持たないAppleは、TSMCやAmkorと10年以上にわたって協力関係を構築し、AmkorがすべてのApple製品向けチップのパッケージングを担当してきた経緯がある。今回も、米国内で製造したいという共通の思惑から、AppleとAmkorは協働で米国内に大規模アウトソーシング先進パッケージング施設を建設する計画を策定したとしている。

Appleは2021年、米国に向こう5年間で4300億ドルの投資を行うという計画を発表していたが、Appleでは現在までに、米国のサプライヤとの直接支出、データセンターへの投資、米国での設備投資、その他の国内支出を通じて目標を達成するペースで進んでいると説明している。