Snowflakeは4月14日、NECの「経営コックピット × Snowflake Intelligence活用」をテーマに記者説明会を開催した。説明会では、NECが取り組んでいる、意思決定のためのデータとAIの活用が紹介された。NECはデータとAIを活用して、経営層から現場までが迅速かつ的確な判断を下す「意思決定の民主化」を実現している。

Snowflake 社長執行役員 浮田竜路氏は、「当社はデータ戦略なくしてAI戦略なしという戦略を掲げているが、『データの力で経営は変わり、AIの成果はデータの質で変わる』と、お客様に繰り返し伝えている。データを対話する時代になっている 誰かに報告させる時代は終わった。経営者がデータを対話して確信をもって意思決定を下す時代になっており、データ戦略による経営を体現しているのがNEC」と説明した。

  • Snowflake 社長執行役員 浮田竜路氏

    Snowflake 社長執行役員 浮田竜路氏

データ・AI活用において最も効果が大きな施策とは

最も効果が大きかったのは、全社KPIをリアルタイムで可視化する「経営コックピット」である。

NECは社内のデータを統合管理している基盤「One NEC Data プラットフォーム」の中核にSnowflakeを導入している。データの仮想化と一元管理により、社内データ活用を促進している。

整備したデータ基盤をもとに、経営・業務・ITを可視化して意思決定に活用しているが、コーポレートIT・AIイノベーション部門 AIプラットフォーム統括部 関徳昭氏は、「一番効果が大きいのは経営コックピット」と述べた。

  • NEC コーポレートIT・AIイノベーション部門 AIプラットフォーム統括部 関徳昭氏

    NEC コーポレートIT・AIイノベーション部門 AIプラットフォーム統括部 関徳昭氏

経営コックピットとは、AIや社内データを活用し、財務・人事・営業など全社の最重要指標(KPI)をリアルタイムに可視化・分析する経営意思決定支援システムだ。同システムは製品として提供されるとともに、同社のデジタル経営の中核を担っている。

  • NECが使っている経営コックピットの全体像

    NECが使っている経営コックピットの全体像

NECのAIを活用したトランスフォーメーションとは

NECは「仕組み・技術・協業・カルチャー」の4軸でAI活用を全社展開している。4つの柱とは、「社内の仕組みづくり」「NEC開発の生成AI関連技術」「グローバル戦略協業」「AIカルチャー」だ。

  • caption

    NECのAI Transformationの4つの柱

社内の仕組みづくりとして、AIコア基盤「NEC Generative AI Service」を構築している。同基盤は最新のLLM、RAG、アプリを提供しており、国内のすべてのユーザーが使っている。

同社はAI Transformationにおいて、企業価値を高めるとともにAIと相性がよい7領域にフォーカスしており、その一つの領域が「AI経営マネジメント変革」だ。

経営マネジメント変革においてAIをどう活用しているか

NECは、役員の思考を再現したAIエージェントと経営コックピットにより、意思決定の質とスピードを高めている。

関氏は経営マネジメント変革におけるAIの活用例として、「Knowledge AI」と「経営コックピット」を紹介した。

Knowledge AIは価値観・考え方をコピーした分身AIと特定の専門知識を持つAIの2種類がある。個人の分身や専門知識を持つAIを簡単に作成し、人間の代わりに業務を遂行させることが可能だ。

NECではKnowledge AIとして、森田社長をはじめとする役員のAIエージェントを開発し、いつでも誰でも相談ができる状態になっている。役員のAIは参加した会議から本人の価値観が表れているデータを学習させることで、本人らしさをつくっている。

具体的には、森田社長のAIエージェントが社長目線で毎日コメントを出しているほか、議論に役員AIが入って、経営層の視点で分析を行ってアドバイスする。

「経営コックピット」は経営マネジメントにおいてアクション立案後、実行をトレースすることで、実行スピードの向上を支援する。関氏は、経営コックピットの導入効果として、利益率が5%上がったことを紹介した。

その背景には、経営コックピットによりプライシングが可視化されたことで、適正な価格で製品を提供できるようになったことがあるという。

「今までデータを見る際に、誰かの意思が入っていた。経営コックピットではデータを自由に変更できなくなり、データを見る際に人が介在しなくなったのが大きい」(関氏)

  • NECのAI経営マネジメント変革におけるAIの活用例

    NECのAI経営マネジメント変革におけるAIの活用例

今後の課題である非構造データの活用に向けて何をする

NECにおいて、今後の最大の課題は非構造データ活用であり、AIが理解可能なデータ構造(セマンティックレイヤー)の整備が鍵となる。

関氏は今後の展望として、データ基盤「One NEC Data プラットフォーム」の整備を紹介した。構造データを利用した意思決定は経営・現場で価値を出しているが、30ペタバイトを超える非構造データの活用に対応の余地があるという。

そこで、「Snowflake Intelligence」によって非構造データの分析に取り組んでいる。「Snowflake Intelligence」は自然言語で複雑な質問に答えられるAIエージェントだ。

「Snowflake Intelligence」とNGSの技術によって、「文章理解の強化」「分析・示唆出しの強化」「セマンティックレイヤの強化/拡張」を進めている。

関氏は、データ基盤について「これまでは単にデータを集めて活用していたが、データに意味づけが重要になることがわかってきた。そのため、セマンティックレイヤーをつくっている」と説明した。

今まで、人間が理解できるビジネスデータカタログがあればよかったが、AIがデータを深く理解できるよう、AIレディデータの層をつくるという。「NEC独自のさまざまなオントロジーを作る。これをAIエージェントが理解して業務を遂行するようにする」(関氏)

最終的には、自動的にはデータを理解してオントロジーに取り込み、オントロジーからエージェントを作る世界の構築を目指しているという。

このような取り組みは、データ統合基盤の整備と経営主導の改革が両立している企業でなければ実現は難しい。多くの企業にとっては、どちらか一方にとどまるケースが多いのが実情だ。