宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月25日、国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」の船内などを利用したCM(コマーシャルメッセージ)の撮影案件を募集することを発表した。

  • ISSの日本実験棟「きぼう」船内実験室

    ISSの日本実験棟「きぼう」船内実験室(出所:JAXA)

JAXAは、将来の地球低軌道における事業の活発化に向け、民間企業による取り組みを支援するさまざまな施策に取り組んでいるという。今回の取り組みは、ISSのきぼう日本実験棟を利用した新しい事業の価値創造や、さらなる地球低軌道の利用拡大を目的として、きぼうの新しい利用機会を提供することにより民間企業の参入促進を図る試行的なものとなる。

きぼうでのCM撮影では船内空間での撮影が可能で、船内で広告対象商品などの打ち上げ品を浮遊させた状態で撮影することが可能だという。また、打ち上げ品の撮影が無く地球や宇宙空間の映像をCMに使う場合は、きぼうの船外ハイビジョンカメラ(HDTV-EF2)を用いた撮影も可能だ。

  • きぼう船外ハイビジョンカメラ「HDTV-EF2」

    きぼう船外ハイビジョンカメラ「HDTV-EF2」(出所:JAXA)

また映像についてはフルHDまたは4Kでの撮影が可能で、4K撮影の場合には、蓄熱回避のために連続撮影時間は20分に限られ、再撮影までは90分の電源オフ時間が必要とのことだ。

きぼうで利用可能な軌道上リソースの制限については、打ち上げ品は5kg以下、回収品の場合は1.5kg以下とされ、宇宙飛行士の作業時間は3時間以内となる。その他の制約や留意事項などについては、募集要項に詳しく記されている。

募集の締め切りは2023年7月31日の正午(日本時間)で、応募多数の場合には、締め切り日より早期に打ち切る場合もあるとする。また同募集は「きぼう有償利用制度(非定形サービス)」を活用したもので、撮影実施に際した諸条件は、募集要項に加えてきぼう有償利用制度の枠組みの中での実施となる。

JAXAは、きぼう船内におけるCM素材の撮影を公募することにより、宇宙技術・製品の研究開発の認知度向上だけでなく、幅広い分野の商業活動と宇宙利用を連携させることで、きぼうの利用価値を高めるとともに、宇宙での商業目的撮影に対する需要動向の把握や、事業化への発展可能性を検討していくとしている。