新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は4月6日、NEDOが進める「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の一環としてβ-Ga2O3ショットキーバリアダイオードの製品化開発に取り組むノベルクリスタルテクノロジーが、酸化ガリウム(β-Ga2O3)ショットキーバリアダイオード(SBD)の実機動作確認に成功したことを発表した。

酸化ガリウムは、次世代パワー半導体として期待されるSiCやGaNを超える性能を実現する材料として期待されており、国内外での研究開発が進められている。そうした中、ノベルクリスタルテクノロジーは、2020年から2022年までNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」のβ-Ga2O3ショットキーバリアダイオードの製品化開発プロジェクトにて、β-Ga2O3 SBDの製品化開発に取り組んできており、今回はその実用化に向けて、電流連続型PFC(力率改善)回路に開発中のβ-Ga2O3 SBDを搭載し、評価を行うことにしたという。

  • 開発されたβ-Ga2O3 SBDのパッケージ写真

    開発されたβ-Ga2O3 SBDのパッケージ写真と評価用電源のPFC回路図とβ-Ga2O3 SBDの搭載部分 (出所:NEDO/ノベルクリスタルテクノロジー)

具体的には、β-Ga2O3 SBDを350W出力電源のPFC回路に搭載し、電流連続動作の実証試験が行われた。その結果、逆方向には390Vの電圧が印加されていること、その後、逆方向から順方向に電圧が切り替わると、ダイオードの順方向に電流が流れる際の電流波形は最大8Aの台形波となっており、電流連続動作の確認ができたという。また、逆回復リカバリー特性なども確認し、回路の入力電力に対する出力電力の割合(電力変換効率)を一般的に同用途で広く活用されているシリコン製のファストリカバリダイオード(Si FRD)と比較したところ、β-Ga2O3 SBDはSi FRD比で効率が1%改善されていることが確認されたという。

  • 電源変換効率の比較結果

    電源変換効率の比較結果 (出所:ノベルクリスタルテクノロジー)

なお、ノベルクリスタルテクノロジーでは、今回開発したβ-Ga2O3SBDの4インチファウンドリラインでの製造プロセスの確立を進めるのと同時に、さらなる高性能化を目指し、トレンチ構造を採用した次世代β-Ga2O3 SBDの開発も進める予定だとしている。また、反転型MOSトランジスタの研究開発についても、今回の開発成果を活用しながら進めていくとしている。