プロセスの微細化やアーキテクチャの変更などといった半導体の進化の恩恵をもっともわかりやすく享受できるのがロジック半導体である。一方、世の中はIoT時代となり、アナログな実世界をデータに変換し、デジタルで演算処理を行うことが求められている。

現在のTSMCはそうした時代の要求に応じ、デジタルとアナログの橋渡しを行い、デジタルでものごとを改善していく手助けに向け、スペシャルティテクノロジーをデジタルと共に追及しているとする。そのための投資も継続して行っており、当該分野への投資は過去5年間のCAGR(年平均成長率)で44%と相当な勢いで伸びていることを強調する。

  • スペシャルティテクノロジーの概要

    スペシャルティテクノロジーの概要

「これまでは半導体生産が次のプロセスの工場に移行した後、古いプロセスの工場をスペシャルティテクノロジーに回していたが、近年、需要が加速的に増加。提供のために、より多くのキャパシティが必要となった。そのため、スペシャルティテクノロジーに特化したファブをグリーンフィールドとして建設する動きも出てきた。JASMもその1つで、(ソニーが強みを持つ)CMOSイメージセンサなどに特化するスペシャルティテクノロジーファブとなる。JASMは日本市場のニーズに対応するファブという位置づけとなる」(同)と、スペシャルティテクノロジーに対する需要が急増しており、28nmプロセスを中心に今後数年間で、キャパシティを50%以上増加させる計画であることを示した。

  • 新規スペシャルティテクノロジー対応ファブとキャパシティの伸び

    新規スペシャルティテクノロジー対応ファブとキャパシティの伸び

一方のロジックプロセスは2022年後半より3nm(N3)プロセスの量産を開始。2025年には2nm(N2)プロセスを提供することを目指している。N3については、2022年に提供されるのはN3プロセス、2023年にN3EおよびN3P、2024年にN3Xを提供することを予定しているとする。N3Eは拡張版、N3Pがパフォーマンス拡張版(従来N3S、シュリンク版と呼ばれていたものはここに統合)、N3XはHPCなどの高性能版という位置づけだという。

  • 7nmプロセス以降のロジックプロセスのロードマップ

    7nmプロセス以降のロジックプロセスのロードマップ

  • N3/N3EとN5プロセスの性能比較

    N3/N3EとN5プロセスの性能比較

またN2では、これまでのFinFETに代わってナノシートGAAトランジスタを採用するとしている。その後についてもすでに検討が進められており、CFET(Complementary FET)が検討されているほか、2次元材料として半導体単層遷移金属ジカルコゲナイド(Transition Metal Dichalcogenide:TMD)やカーボンナノチューブ(CNT)などの活用を検討しているとする。

  • N2とN3/N3Eの性能比較
  • N2とN3/N3Eの性能比較
  • N2とN3/N3Eの性能比較

この2nmプロセスについても、Zhang氏は「EやP、Xといったオプションが用意されることになると思うが、まだそこまで決まっていない」としつつ、2025年に必ずN2の生産ができると思っているとするほか、そうした時代には3DFabricの重要性が増しており、同技術を活用した多くのアプリケーションが提供される時代になるとの予測を語っている。