東北大学と三井住友トラストホールディングスは2月2日、新規事業の立ち上げ、あるいは新規事業を加速を図る企業や個人などに、研究開発リソースといった技術や事業資金を提供し、事業を拡大させる業務提携や人材育成などのソリューションを提供するインテグレーター事業を共同で始めると発表した。

そして、同事業に関する包括連携協定を、2月3日に締結し、同協定が目指す態勢図として「東北大学と三井住友トラストホールディングスが目指すインベストメント・チェーンの模式図」を公開。同事業の体制などをを公表した。

  • 東北大学と三井住友トラストホールディングスが目指すインベストメント・チェーンの模式図

    東北大学と三井住友トラストホールディングスが協業して目指すインベストメント・チェーンの模式図(出典:東北大と三井住友トラストホールディングス)

同事業は国内の個人や既存企業が保有する資金を、スタートアップ企業や高度な技術を持つ中小企業や大企業が進める新事業開発への投資資金に結び付け、日本でのイノベーション創出を加速させることを図る狙いだ。

東北大学と三井住友トラストホールディングスは「日本では個人が約1000兆円、既存企業が約300兆円の資金を保有するが、新規事業の立ち上げを図るインキュベーション資金には回っていないのが実情であり、この眠っている資金を動かす」という。

三井住友トラストホールディングス側では、中核子会社である三井住友信託銀行が、その取引先企業から寄せられる経営課題・相談に対して最適なソリューションを提案し、 その企業の新事業開発などを支援する。また、東北大などの研究開発成果を基にした大学発ベンチャー企業に、資金提供や業務提携先を紹介するなどの支援を行う。

その際に、東北大は「ソリューションに必要な科学的な知見や見解・判断を提供する体制」という。具体的には、東北大は必要な技術試作や計測実験、データ・シミュレーションなどを提供する技術支援などを実施し、スタートアップ企業(ベンチャー企業)や高度な技術を持つ中小企業などには、データビジネスづくりのトレーニングプログラムや高度エンジニアの育成プログラムを提供するという。

東北大は指定国立法人として、産学連携部や未来科学技術共同研究センター(NICHe)などの産学連携態勢や共同研究体制を持ち、子会社・関連会社として技術移転業務を担当するTLO(技術移転組織)の東北テクノアーチ(仙台市)とベンチャー・キャピタル(VC)の東北大学ベンチャーパートナーズ(仙台市)を持つ。さらに、青葉山キャンパス内にベンチャー・インキュベーション施設を持つなどの総合力を持っており、それを活かした支援を行っていく計画だ。