昭和電工は、東芝の半導体事業子会社である東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)との間で、パワー半導体向けSiCエピタキシャルウェハに関する今後2年半(延長オプション付き)にわたる長期供給契約を締結したと9月28日に発表した。
東芝D&Sでは鉄道車両向けインバータをはじめとする、多種にわたるSiCパワーデバイスを開発、事業化しており、昭和電工のSiCエピウェハもSiC SBDおよびSiC MOSFET向けに採用されてきた経緯がある。今回の長期供給契約は、昭和電工のSiCエピウェハの特性均一性、低欠陥密度注などの品質ならびに安定供給体制が評価された結果だと昭和電工では説明しており、今後、SiCエピウェハの性能向上に向けた両社の技術的な協力関係をさらに強化していくとしている。
また昭和電工は、今回の契約発表に先立つ9月13日にもロームとの間に、パワー半導体向けSiCエピウェハに関する複数年にわたる長期供給契約を締結したことを発表しているほか、5月にもInfineon TechnologiesとSiCエピウェハに関する今後2年間(延長オプション付き)の長期販売および共同開発に関する契約を締結したことを明らかにしている。
昭和電工は2005年よりSiCエピウェハの技術開発を開始、2009年に販売を開始して以来、サーバ電源や鉄道車両、太陽光発電システム用インバータ、電気自動車の高速充電スタンド用コンバータなどさまざまな用途向けに活用されてきたという(2017年には新日鉄住金の6インチ SiC単結晶ウェハの研究開発と4インチウェハの事業開発を譲り受けている)。
現在、4インチ(100mm)ならびに6インチ(150mm)のSiCエピウェハを埼玉県の秩父事業所で製造しており、その供給量は世界最大級だと同社では説明している。なお、SiCウェハ全体では、米Creeが全世界で過半のシェアを握っているが、Creeは電気自動車向け需要が急増していることを受け、2022年にも予定を前倒しして8インチ(200mm)ウェハの事業化を図ることを計画している。