コネクテッドライティングは急速に成長している分野で、これまでは産業用よりも住宅用アプリケーションでの採用が多く見られました。エネルギー支出を削減できる点がその理由です。また、多くの国が商業ビルでの責任あるエネルギー使用を強制する法律を制定しており、法律面での整備も普及を後押ししています。

照明を制御できるコネクテッドライティングの導入は、これらのソリューションに対する完璧なプラットフォームです。センサー技術がコネクテッドライティングを新たなレベルに引き上げ、照明を半自律的に動作させたり、ビル管理システムに貴重なデータをフィードバックしたりできるようになってきました。

接続された照明は、一定時間使用されていないエリアがある場合、それを占有センサーで検知して消すことができます。また、光センサーにより周囲光や自然光の量に応じて出力を調整することも可能です。接続された照明器具は、屋内でのナビゲーションや道案内のためのウェイポイントやビーコンとして、あるいはワイヤレスネットワークのアクセスポイントやシグナルブースターとしても働きます。スマート照明器具は、動き、温度、湿度、音などを検知する環境センサーを使用して受動的にエリアを監視することで、セキュリティシステムの一部としても機能します。

スマート照明のための無線接続

IoTで利用可能なすべての無線プロトコルの中でも、Bluetooth Low Energy技術とZigbee AllianceのGreen Powerは、低エネルギーさらには無エネルギーアプリケーションやメッシュネットワークをサポートしているためLED照明に最適です。

メッシュネットワークは、多数のノードをエリア内に分散して配置するトポロジーをサポートする技術で、各ノードはどの時点でもネットワークの一部であってもなくても構いません。メッシュネットワークの主な強みは、1つのノードが応答しなくなると「自己回復」する能力です。これによりネットワーク管理も容易になるので、ノードは管理負荷を生じることなくネットワークへの参加や離脱が可能になります。

照明器具が接続されたネットワークでは、各ノードに多数の機能を持たせることができます。メッシュネットワークの各ノードは、ネットワーク内でやり取りされるデータや制御メッセージのウェイポイントとして機能します。各ノードで作成および消費されたデータは、選択された通信プロトコルのペイロードになります。Bluetooth Low Energy技術とZigbeeプロトコルは、複雑なコネクテッドライティング設備をサポートするのに必要な通信レベルを提供するように設計されています。また、コネクテッドライティングネットワークとビル管理システムとのインタフェースをいかに容易にするのかというのも別の重要なポイントです。

コネクテッドライティングの安全確保

Bluetooth Low Energy技術は、最高32,000ノードのメッシュネットワークをサポートし、高レベルの組み込みセキュリティを提供します。各ノードは、ネットワークトラフィックの中継ノードとして、またBluetooth技術を搭載していない他のノードを同じネットワークに参加させるプロキシノードとして機能します。Bluetooth技術を用いたメッシュネットワークでは、すべてのトラフィックが暗号化され、各ノードは認証されてからネットワークへの参加とデータの受信が許可されます。また、ノードの追跡を困難にするメッセージの難読化や、サイバー犯罪者にネットワークから削除されたノードの識別情報を知られないようにする「トラッシュカン攻撃防御」という機能も備えています。

Green Powerプロトコルは、ビルオートメーションやコネクテッドライティングなどの用途ですでに高い評価を得ています。Bluetooth Low Energy技術はほとんどのモバイル機器に搭載されていますが、Green Powerプロトコルは専用ゲートウェイを必要とします。オンセミ(onsemi)は、SoC「NCS36510」などのデバイスを通じて、Green Power技術をサポートしています。

  • コネクテッドライティング

    表1:Bluetooth Low EnergyおよびZigbee Green Powerプロトコルの主な特徴の比較

パワーオーバーイーサネット(PoE)

IEEE 802.3btの新規格であるパワーオーバーイーサネット(PoE)は、最大90Wの電力供給が可能であり、コネクテッドライティングシステムにとって最適です。PoEを使用すると、主電源ケーブルを各照明器具に配線する必要はありません。従来の照明器具の多くはすでに電源が供給されていますが、新規に設置する場合は、高圧ケーブルを敷設する費用を削減できます。

コネクテッドライティングのプラットフォーム

オンセミは、OEM企業による高出力産業用LED照明の開発を支援するために、コネクテッドライティングプラットフォーム(LIGHTING-1-GEVK)を開発しました。このプラットフォームには、RSL10 SIPをベースにしたLEDモジュール、LEDドライバモジュール、AC/DCモジュール、Bluetooth Low Energy接続モジュールが搭載されています。また、最大90Wの電力をサポートするPoEモジュールも別途用意されています。

制御は、複数のモバイルアプリケーションを使用したBluetooth Low Energy技術またはPoEを通じて供給されます。RSL10 SIPは、調光など幅広い照明機能をサポートするシステムの開発に使用できますが、環境検知や占有検知など他のスマート機能を追加するために、拡張することも容易です。

まとめ

コネクテッドライティングは、今後数年間で著しい成長が期待できる注目の分野です。オンセミでは、この成長分野に参入し、市場を開拓しようとしているOEMメーカーのパートナーとして、有線および無線プロトコルやパワーマネジメントに関する実証済み専門知識を提供していきます。

著者プロフィール

Bruno Damien
onsemi
Director, Strategic Marketing, IoT