Micron Technologyは3月16日(米国時間)、Intelと共同で開発した次世代不揮発性メモリ技術「3D Xpoint」の開発からの撤退を表明。米国ユタ州リーハイにある製造工場を売却する方針を明らかにした。

同社によれば、3D XPointの開発を継続するのに必要な費用を正当化できるような市場の発展性は見込めないとのことで、ユタ工場をほかのメモリの生産に転換するよりも台湾、ならびに日本のDRAMファブやシンガポールのNANDファブを拡張する方向性の方が経済的合理性があることから、ユタ工場については売却する方向ですでに交渉が進められており、年内にも合意に達する見込みだという。

今後同社は、コンピューティング、メモリ、ストレージ間の柔軟な接続を可能にする新たな業界標準のインタフェースであるCompute Express Link(CXL)を活用するメモリ製品への投資を増やし、CXL対応メモリ製品の市場導入の加速に注力するという。

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3D XPointメモリの概要。DRAMとNANDの性能の間を補完する次世代メモリとして期待されてきた (出所:Micron/Intel共同発表資料)

Intelの動向にも影響がでる可能性

MicronとIntelは、当初、3D XPointメモリがストレージクラスメモリとして、半導体メモリ市場の構図を塗り替えることを期待していた。Intelは、本業であるCPU事業に集中するため、NAND事業をSK Hynixに売却することを決めたが、3D XPointメモリ事業は手放さず、メモリ分野への影響力を高めることを目指していただけに、Micronの今回の決定が痛手となるものと米国半導体業界関係者は見ている。

関係者によると、Intelの3D XPoint製品(Optaneシリーズ)は主にフラッシュストレージならびにメモリモジュールとして展開されているが、事業規模はまだそこまで大きくなく、利益が出るまでには至っていないとみられるという。今回のMicronの決定は、IntelのCEOに就任してまだ1カ月ほどのPat Gelsinger氏に対し、7nm CPUを自社生産とするかTSMCへ生産委託するか、といった重大な決定事項に加え、Optaneの戦略についても見直しを迫られる可能性が出てきており、今後、どのような決断を下すのかが注目される。