この半導体ニュースのまとめ
・キオクシアがデータセンター向けNVMe SSD「KIOXIA NX1シリーズ」を開発し、一部顧客へサンプル出荷開始
・同社初の直接液冷対応SSDで、GPU搭載サーバーやハイパースケールデータセンター向けに展開
・前世代のXD8と比べてシーケンシャルライト性能は最大約38%、ランダムライト性能は最大約20%向上
AI・ハイパースケール向けE1.S SSDを開発
キオクシアは7月29日、E1.Sフォームファクターを採用したPCIe 5.0対応データセンター向けNVMe SSD「KIOXIA NX1シリーズ」を開発し、一部のハイパースケール顧客向けにサンプル出荷を開始したことを発表した。
同シリーズは、同社のデータセンター向けSSD「KIOXIA XDシリーズ」の後継モデルに位置付けられる製品で、PCIe 5.0の性能を活用することで、クラウドサービス事業者やハイパースケール事業者におけるインフラ性能と運用効率の改善を可能にするという。
AIインフラでは、GPUやAIアクセラレータの性能向上に伴い、学習・推論で扱うデータ量が急増している。これにより、ストレージにも高い読み書き性能、低レイテンシ、電力効率、放熱性が求められるようになっている。キオクシアとしては、NX1シリーズにより、高密度なAIサーバー環境で求められる次世代SSD需要に対応する考えだ。
キオクシア初の直接液冷対応SSD
NX1シリーズの最大の特徴は、同社として初めて直接液冷方式(DLC:Direct Liquid Cooling)に対応した点にある。
AIデータセンターでは、GPUを中心に消費電力の増大に伴うサーバー内部の発熱への対応が課題になっており、大きな熱源であるCPUやGPUのみならず、SSDを含む周辺部品にも効率的な放熱が求められ、液冷を活用する形でラックを設計するなど、冷却方式が従来の空冷から液冷へと変更が進みつつある。
NX1シリーズは、コールドプレートを用いた直接液冷構成に対応することで、高性能AIサーバー環境における効率的な放熱を実現することを可能としたもので、E1.S 9.5mmフォームファクターが空冷および液冷に対応するという。一方、E1.S 15mmフォームファクターは空冷のみの対応としている。
前世代比でシーケンシャルライト最大約38%向上
性能面では、前世代のXD8シリーズと比べ、シーケンシャルライト性能を最大約38%、ランダムライト性能を最大約20%向上したという。
PCIe 5.0への対応のほか、独自開発の次世代コントローラーの採用やCMOS directly Bonded to Array(CBA)アーキテクチャを採用した第8世代BiCS FLASH TLCメモリ技術を採用することで、高性能化を実現したとする。
最大15.36TB、OCP仕様にも対応
容量ラインアップは、リードインテンシブ用途向けの1 DWPD(Drive Write Per Day)として、1.92TBから15.36TBまでを用意する。
また、PCIe 5.0、NVMe 2.0、Open Compute Project(OCP) Datacenter NVMe SSD Specification 2.6に準拠し、NVMe Flexible Data Placement(FDP)もサポートする。FDPは、ホスト側がデータ配置をより効率的に制御できるようにする仕組みであり、データセンター環境における書き込み効率や寿命管理の改善が期待される。
さらに、オプションでTCG Opal準拠のSelf-Encrypting Drive(SED)モデルも提供する。セキュリティ要件が高まるデータセンター用途では、暗号化機能を備えたSSDの需要も高まっており、顧客要件に応じたモデル選択を可能にする。
FMSで展示予定
なお、同シリーズは、2026年8月4日から6日まで米国カリフォルニア州サンタクララで開催される「The Future of Memory and Storage(FMS)」にて展示される予定だという。
