日立製作所は7月29日、2027年3月期(FY2026)第1四半期連結決算の概要を公表。売上収益は2兆7095億円で前年同期比20%増という大幅増収となり、調整後EBITA(Adj. EBITA)の3235億円と共に過去最高を達成したことを明らかにした。
決算説明会に登壇した日立 執行役専務の加藤知巳CFOは説明会冒頭で、7月28日に発生した令和8年熊本地震に触れ、被災者へのお見舞いと犠牲者への哀悼の意を示した。なお日立グループへの重大な影響は確認されていないとしつつ、「被災地域の状況やニーズを踏まえ、日立として必要な支援について検討している」としている。
4セクターすべてで売上収益が2桁成長
日立グループ連結でのFY2026 第1四半期の売上収益は、前年同期比で20%増となる2兆7095億円を達成。Adj. EBITAは3235億円で前年同期比860億円増となり、両項目共に第1四半期として過去最高を達成した。その要因としては、事業規模拡大や為替影響があるとしつつ、継続的な成長を見せるエナジーセクターを筆頭に、DSS(デジタルシステム&サービス)、モビリティ、CI(コネクティブインダストリーズ)の4セクターすべてで、売上収益の2桁成長を実現したという。また四半期利益についても、前年度に行われた空調事業再編に伴う500億円規模の特別配当による影響がありながらも、前年同期と同水準での着地となったことから、加藤CFOは「実質的には増益だと考えている」と語った。
具体的な成長要因について、特にエナジーセクターにおいては、パワーグリッド受注高が前年同期比で大きく伸長しており、引き続き堅調な送電機器需要に加えて、欧州での大型プロジェクトの影響もあり、受注額は87%増加。売上収益は前年同期比37%増という結果になった。またDSS領域では、国内でのAI活用支援を行うAX(AIトランスフォーメーション)事業およびモダナイゼーション事業が堅調に推移。モビリティセクターでは信号・制御事業の大口案件と為替影響が成長を牽引したといい、CIセクターでも計測分析システムなどの受注が牽引し、半導体製造装置やビルサービス事業の好調もあって増収増益となった。
このように当初の予測を上回る拡大となったことから、日立では4セクターすべてで業績予測を上方修正し、グループ全体としても上方修正を行うことが明かされた。修正規模は、売上収益で6000億円、Adj. EBITAは1000億円、通期利益が500億円の増加。加えて、オーガニック成長に向けた設備投資を含むCAPEXの増加、およびAI活用を加速させるためのコーポレート戦略投資の規模も拡大していくとする。
なお売上収益の修正幅で見る4セクターの内訳としては、DSSが300億円、エナジーセクターが3600億円で最大、モビリティおよびCIセクターではそれぞれ1000億円の拡大を目指すとのこと。エナジーを中心に、全領域での大幅成長を目指すとしている。
また、近年の業績予測に大きな影響を与えている中東情勢について、加藤氏は、実際に部材調達の遅れなどで影響を受けてはいたものの「実際の影響は、当初に想定していたよりも限定的だった」とコメント。第2四半期以降の業績見通しにもそのリスク影響は織り込み済みだというが、不透明感が増す中東情勢のリスクについては「引き続き状況を注視していく」とした。
「Inspire 2027」2年目は「良いスタートになった」
説明会の中で加藤氏は、DSSセクターにおける国内ITサービス事業について詳述した。FY2026 第1四半期では、保険分野を中心とする金融領域を筆頭に、官公庁などの社会領域、FA(工場自動化)などを含む産業領域で好調な推移を見せ、国内ITサービス事業を牽引したとのこと。その中核を成すAX事業をさらに加速させるべく、日立は「Agentic AI Integration Platform」の開発を発表済み。さらなる高品質化および開発速度の加速に寄与するといい、今後大口プロジェクトにも適用を拡大していくとする。
また、FY2026から一体運営が開始されたGlobalLogicおよびHitachi Digital Servicesについても、両者の連携によるシナジー売上とスタンドアローンでの両社売上合計の両指標が前年比で大幅に拡大したことを報告。加えて、テクノロジー業界で20年以上の経験を有するアナンド・ビルジェ氏をDSSセクター デジタルエンジニアリング&AIソリューションビジネスユニットのCEOに迎え入れたことを明かし、事業変革を加速させる姿勢を強調した。
全体的に好調さが際立ったFY2026 第1四半期決算の内容を受け、加藤氏は、「第1四半期は、2025年4月に発表した経営計画『Inspire 2027』の2年目として、良いスタートになったという認識でいる」とし、特に特殊要因を除く成長ドライバについては「持続性が高い」と見ているとする。一方で、中東情勢をはじめとする外部環境の変動リスクについては引き続き注意が必要としつつも、「引き続きリスクマネジメントの強化を続けながら、成長戦略の実行を進めていく」と締めくくった。



