この半導体ニュースのまとめ

・キオクシアがUFS 5.0対応組み込み式フラッシュメモリの1TB/512GB品をサンプル出荷
・最大10GB/sのシーケンシャルリード性能を実現し、オンデバイスAIの高速データアクセスを支援
・第8世代BiCS FLASHと自社開発コントローラーを採用し、モバイル機器やエッジAI用途に展開

UFS 5.0対応フラッシュメモリをサンプル出荷

キオクシアは7月29日、UFS 5.0対応の組み込み式フラッシュメモリ製品について、1TBおよび512GB品のサンプル出荷を開始したことを発表した。

これらの製品は、次世代のオンデバイスAI(エッジAI)対応モバイル機器およびエッジデバイスに求められる性能、電力効率、容量を実現するために設計されたもの。量産は2026年中を予定している。

オンデバイスAIでは、生成AIや大規模言語モデル(LLM)などの処理をクラウドだけでなく端末側でも実行する流れが広がっている。そのため、端末内のストレージには、AIモデルや関連データへ高速にアクセスできる性能と、モバイル機器やエッジ機器で求められる電力効率が同時に求められる。

  • UFS 5.0対応の組み込み式フラッシュメモリ製品

    サンプル出荷を開始したUFS 5.0対応の組み込み式フラッシュメモリ製品 (出所:キオクシア)

最大10GB/sのシーケンシャルリード性能

サンプル出荷が開始された2製品は、最新のJEDEC UFS 5.0規格に準拠したもので、物理層にはMIPI M-PHY version 6.0、プロトコルにはUniPro version 3.0を採用し、HS-Gear6動作では理論上、最大1レーンあたり46.6Gb/sのインタフェーススピードをサポート。2レーン構成では、約10.8GB/sの実効読み書き性能を実現するとしている。主な仕様として、シーケンシャルリード性能は最大10GB/s、シーケンシャルライト性能は最大9.0GB/sとなる。

これまで、LLMやその他のAIワークロードでは、UFSのリード性能がデータアクセスの制約となる場合があった。新製品ではリード性能を高めることで、アプリケーションの読み込みを高速化し、応答性を向上させ、オンデバイスAIアプリケーションにおける高度なユーザー体験を支援する。

第8世代BiCS FLASHと自社開発コントローラーを採用

ハードウェアの構成としては、独自開発のUFS 5.0コントローラーと、第8世代BiCS FLASH 3次元フラッシュメモリが組み合わせることで、前世代品であるUFS 4.1対応組み込み式フラッシュメモリと比較して、性能、電力効率、パッケージングの改善を実現したとしている。

また、AI対応モバイル機器では、限られた筐体内で高性能な処理を行う必要があり、ストレージの転送性能だけでなく、発熱や消費電力の抑制も重要な設計要素となることから、熱制御機構も向上させたとしており、高速動作時の安定性や端末設計上の扱いやすさにも配慮したとする。

7.5mm×13mmの小型BGAパッケージを採用

パッケージは、前世代製品よりも小型でコンパクトな7.5mm×13mmのBGAパッケージを採用。モバイル機器やAR/VRデバイス、スマートセキュリティカメラ、ロボットなどでは、基板面積や実装スペースが限られており、特にオンデバイスAI対応機器では、AI処理用プロセッサ、メモリ、センサ、通信機能、電源回路などを高密度に搭載する必要があるため、ストレージ部品の小型化が製品設計の自由度向上につながることとなる。

プレミアムスマートフォンから産業用エッジまで幅広く展開

なお、同社では1TBならびに512GBの新製品について、オンデバイスAIを搭載したプレミアムスマートフォン向けのみならず、AI対応タブレット、ゲームシステム、AR/VRデバイス、ロボット、スマートセキュリティカメラ、産業用エッジアプリケーションなど、クラウドへ常時データを送信するのではなく、端末側でデータを処理するニーズがあるデバイスでの活用を想定している。

そうした機器におけるオンデバイスAIは、応答速度、プライバシー、通信負荷低減、オフライン動作、省電力化などの観点で注目されており、端末内ストレージの高速化はその基盤技術の1つとなる。特にエッジAIという観点では、画像、音声、センサ情報などの大量データをリアルタイムに扱う必要があるため、高速なローカルストレージはシステム全体の性能に直結することとなり、高性能化を果たしたこれらの製品は市場ニーズに合致したものとなると考えられ、今後拡大が確実視されているエッジAI市場でのストレージ需要を取り込んでいくことが期待される。