この半導体ニュースのまとめ

・ヌヴォトンがAIサーバ向けBBUに対応する16セルバッテリ監視IC「KA49703A」「KA49713A」を開発
・デイジーチェーン通信により最大55デバイス接続に対応し、400V/800V高電圧バッテリシステムの設計を簡素化
・KA49713Aは輸送・保管時向けモードによりシャットダウン時消費電流を0.1μA以下に抑制

AIサーバ向けBBUに対応するバッテリ監視IC

ヌヴォトン テクノロジーは7月29日、半導体デバイスとしてAIサーバ向けBBU(Battery Backup Unit)に最適化したバッテリ監視IC(BMIC)「KA49703A」および「KA49713A」を開発したことを発表した。両製品はすでにサンプル提供を開始しており、2026年9月より順次量産出荷を開始する予定としている。

AIサーバやデータセンターでは、生成AIやクラウドサービスの普及に伴い消費電力が増加しており、24時間365日の安定稼働を支える高信頼な電源システムの重要性が高まっている。特に近年は、電力供給効率を高めるために400V/800Vクラスの高電圧電源アーキテクチャの導入が進みつつあり、BBUにも高電圧環境で安全に動作する監視機能が求められるようになっている。

車載で実績のあるデイジーチェーン通信を展開

今回の新製品は、車載分野で実績のあるデイジーチェーン通信技術を、AIサーバ向けBBUや大規模エネルギー貯蔵システム(ESS)向けに展開したものとなる。

デイジーチェーン通信は、複数の監視ICを直列に接続して通信する方式で、配線削減と耐ノイズ性向上に貢献する。400V/800Vクラスに高電圧化されたAIサーバ向けBBUやESSでは、多数のリチウムイオンセルを直列接続する必要がある。

従来のバッテリ監視システムでは、各監視ICにMCUやアイソレータが必要となるため、多セル化に伴って部品点数や通信配線が増加し、通信品質の低下を招くという課題があった。これに対し、KA49703A/KA49713Aは複数のBMICを数珠つなぎに接続でき、最大55デバイスを接続した大規模バッテリシステムを少ない配線で構築できるため、システム設計の簡素化、部品点数削減、小型化、高信頼化に貢献するとしている。

  • デイジーチェーン通信を活用した実施例

    デイジーチェーン通信を活用した実施例 (出所:ヌヴォトン)

最大16セルを高精度に監視

両製品は最大16セルのバッテリ電圧を監視でき、定格電圧は76.8V、電圧測定精度は±2.9mVとなる。通信方式はデイジーチェーン通信およびSPIに対応し、パッケージは7mm×7mmのQFP-48ピンを採用する。

AIサーバ向けBBUでは、サーバ内部の実装スペースが限られる一方、電源系には高い信頼性と安全性が求められる。小型パッケージに高精度な電圧測定機能と高電圧システム向け通信機能、セル異常検出機能などを統合したことで、高密度化する次世代電源システムの監視性能向上を支援する。

輸送・保管時の消費電流を0.1μA以下に抑制

またKA49713Aでは、輸送・保管時向けモードを搭載している点が特徴だという。AIサーバ向けBBUや大規模ESSは、多数のリチウムイオンセルを搭載するため、製造後に船やトラックで長期間輸送される場合があり、輸送・保管時の電力消費を抑える必要がある。

従来、デイジーチェーン通信機能を搭載したBMICでは、シャットダウン時の消費電流増加が課題となっていたが、KA49713Aは輸送・保管時向けモードを搭載することで、シャットダウン時の消費電流を0.1μA以下に抑制。これにより、輸送・保管時のバッテリ消耗を低減し、保管可能期間の延長や補充電回数の削減を通じて運用コスト低減を可能にするという。

一方、KA49703Aのシャットダウン時消費電流は5.0μAで、起動方式はデイジー信号。KA49713Aは専用起動信号に対応する製品となっている。

AI時代の高電圧バッテリシステムを支える

BBUは、停電や瞬時電圧低下時に電力を供給するバックアップ電源装置である。AIサーバやデータセンターでは、BBUが単なる停電時の電源にとどまらず、瞬時の電力変動吸収、システム保護、サービス継続性確保を担う重要な構成要素となっている。

また、再生可能エネルギーや電力需給調整に用いられるESSでも、多数セルを安全かつ高精度に監視するBMICの重要性が高まっている。ヌヴォトンは、今回のKA49703A/KA49713Aを、AIサーバ向けBBUから大規模ESSまで、次世代高電圧バッテリシステムの高信頼化と高効率化を支えるソリューションとして展開することで、持続可能で信頼性の高いエネルギー社会の実現に貢献していきたいとしている。