電子材料市場調査およびアドバイザリーサービス会社である米TECHCETは、半導体製造に必要なフォトレジストの2021年の市場規模は前年比11%増の19億ドルとなるとの予測を発表した。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大の後、主要な半導体製造ラインはいずれもフル稼働状況が続いており、同社では少なくとも今後数年間はフォトレジスト市場も着実な成長が見込まれるとしている。

2020年ならびに2021年のフォトレジスト市場をレジスト種別で見るとKrF向けならびに液浸ArF向けが高く、それ以外のG線およびi線、ドライArF向けの規模はそれほど大きくない状況となっている。

  • フォトレジスト市場

    半導体用フォトレジスト市場規模の推移と今後の予測 (出所:TECHCET)

また、先端プロセスで必須となるEUV向けについては、その応用先がロジックからDRAMへと適用範囲が広がっている。製造メーカーであるASMLは2020年に35大のNXE:3400シリーズを製造したが、2021年は組み立て効率の向上により50台を出荷できる見通しとのころで、それに併せて2021年のEUVフォトレジスト市場も前年比2倍の2000万ドル超えとなり、その後も成長を続け、2025年には2億ドルを超える見込みだという。

半導体の製造を国内サプライチェーンのみで実現することを目指す中国も、2020年10月末に発表された中国の第14次5か年計画によれば、(EUV向けを除く)フォトレジスト開発に多額の資金提供しており、すでに一部の中国材料メーカーからは、フォトレジストならびに補助材料のサンプル出荷が開始されたという。

なお、ASMLはオランダ政府の許可がでないためEUV露光装置の中国への出荷ができない状況が続いているが、それを受けてSMICはベルギーimecとの研究協業を進める形で、imecのクリーンルームに設置されているEUC露光装置にアクセスしている模様であり、米国政府からの10nm未満の製造を可能とする米国製製造装置の輸出禁止措置の中、微細化に向けた研究だけは将来を見据えて続けていこうという動きがあるようである。