この半導体ニュースのまとめ

・国内大手半導体メーカーが管内走行ロボットを導入
・配管内部の予防保全により突発停止の削減を狙う
・複雑配管に対応するソフトロボ技術でメンテナンス改革

ソフトロボティクス・メカトロニクスの研究開発・販売・サポートを手掛ける中央大学発ベンチャーのソラリスは5月20日、同社が開発したミミズ型管内走行ロボット「Sooha」を国内大手半導体メーカーに導入したと発表した。対象となる製造拠点では2026年2月より、同ロボットを用いた配管の予防保全型メンテナンスが開始されており、装置の安定稼働と生産体制の強化を図る。

  • ソラリスのミミズ型管内走行ロボット「Sooha」

    ソラリスのミミズ型管内走行ロボット「Sooha」 (出所:ソラリス)

半導体製造で課題となる配管内部の劣化管理

半導体製造の現場では、装置配管内に生成物が堆積しやすく、それが原因となって装置故障や生産ライン停止につながるリスクが常に存在している。

特に工場内の配管は、複雑な曲線や高所にわたって設置されているため、従来の点検手法では内部状態の確認や清掃が難しいケースが多かった。このためメンテナンスは後追い対応になりがちで、突発的なトラブルを完全に防ぐことが難しいという課題があった。

ミミズ型ロボで「予防保全」へ転換

今回導入されたSoohaは、ミミズの移動様式を応用したソフトロボットで、小口径配管内を自律走行できる点が特徴となる。

これにより従来アクセスが困難だった配管内部に入り込み、定期的なモニタリングと清掃を行うことで、異物堆積の早期検知と除去が可能となる。

こうした機能により、故障発生後の対処型メンテナンスから、異常発生前に対応する予防保全型メンテナンスへの転換が実現できるようになるという。

見えない配管を可視化することで稼働率を向上

導入先企業の製造部門担当者は、配管を取り外せない箇所や内部状態を確認できなかった領域でのメンテナンスが可能になる点を評価したとしている。

半導体製造では装置の稼働率が直接生産性に影響するため、こうした通常は見えない領域の可視化と管理も、歩留まりの向上や供給安定性の観点から重要な意味を持つこととなる。

ソフトロボティクスがインフラ保守に拡大

同ロボットは空気圧を活用した人工筋肉を用いたソフトロボティクス技術をベースに開発されたもので、硬質ロボットでは対応が難しい狭隘空間や複雑形状への適応を可能としている。

ソラリスはこの技術を基盤に、半導体製造分野に加え、インフラ設備や工場全般に広がる配管メンテナンス市場など、複雑な配管維持管理に課題を抱える幅広い産業分野へのサービス展開を進めていきたいとしている。

半導体製造の裏側で進む「メンテナンス高度化」

AIや先端デバイスの進化が注目される一方で、半導体生産を支える設備インフラには高い信頼性が求められている。

特に配管や薬液供給系といったプロセスインフラは、装置の安定稼働を左右する重要要素であり、ここでのトラブルはライン停止に直結する。

今回の取り組みは、こうした領域にロボット技術を導入することで、保守作業の自動化と高度化を進めるものであり、半導体工場の運用手法そのものを変える可能性を持つ。

設備を常時監視し、異常を未然に防ぐ予防保全の考えが浸透していっているが、その多くがモーターの異常検知を中心とする製造のための機器そのものを対象としたもので、配管や付帯設備、建屋などに対する取り組みはまだまだ少ない。そうした中、ソフトロボティクスのような新技術が、予防保全の範囲を拡大する基盤技術として重要性を高めていくとみられる。