台湾の市場調査会社TrendForceによると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、クラウドサービスと在宅勤務に関連するテクノロジーの需要が急増したため、2020年第2四半期のNAND市場はPCならびにサーバからの強い需要に支えられ、総ビット出荷数量ならびに平均販売価格ともに前四半期比で約3%の増加となったほか、売上高も同6.5%増の145億ドルに達したという。

2020年第3四半期は供給過剰で売り上げは横ばいに

2020年第3四半期に入ると、「Chromebook利用者の増加」、「次世代iPhoneに関連する在庫積み増し活動」、「今後発売される各社のゲームコンソールに関連するSSDの需要増加」といった好調を後押しする要因がある一方で、サーバならびにデータセンター関連とPCメーカーはは調達規模を縮小されており、将来の見通しをより保守的にしている。

さらに、中国の新規参入NANDサプライヤのYMTCが生産量を拡大し続けているため、既存のNANDサプライヤは、競争上、生産能力を増強したり3D NANDの層数を増やす必要性が求められることとなることから、同四半期のNAND市場は供給過剰状態に陥るとTrendForceでは予測している。

すでにさまざまなタイプのNAND製品の大口契約価格は下落していることが確認されており、最終的な同四半期のNAND市場は前四半期比でほぼ同等になるのではないかとTrendForceでは説明している。

  • TrendForce

    2020年第2四半期のNANDサプライヤ売上高ランキング (出所:TrendForce)

3D積層技術はついに100層越えへ

2020年第2四半期のSamsung Electronicsの動向だが、クライアントおよびエンタープライズSSDに対する需要が高かった一方、スマートフォン市場と小売チャネルの需要が減少した結果、ビット出荷数量は同3%減となったが、平均販売価格は同5%増程度を出荷数の減少を価格の上昇で支える形となり、前四半期とほぼ同じの45億4200万ドルとなった。

生産能力に関しては、中国西安事業所の第2期拡張工事を進めているほか、技術開発としては、全NAND製品の中でもV5(92層3D NAND)の比率を向上させている。また、次世代となるV6(128層3Ð NAND)プロセスに関しても、2020年内の大量生産、ストレージ製品への搭載、クライアントへの納入を段階的に開始する予定で、2021年からの本格出荷に備えようとしている。

業界2位グループのキオクシアは、次世代ゲーム機の発売に向けた在庫積み増し需要とエンタープライズ需要が強まったものの、スマホ向け需要の減退とそれに伴う価格下落圧力が強く、最終的には出荷ビット出荷数量は同4%減、売上高は同3.1%減の24億8800万ドルに留まった。

生産能力については、岩手県のK1ファブが生産に貢献し始めているが、キオクシアの総生産能力は490〜500K/月のままである。またプロセス技術の面では、主に96層製品に焦点を当てるが112層 BiCS5製品への大規模な移行を2021年下半期に行う予定と見られている。

キオクシアのパートナーであるWestern Digitalは、2019年末にモバイル機器向け製品を絞り、PCとサーバに向けていたこともあり、同四半期の出荷ビット数量は同8%増となった。一方、平均販売価格は同1%増とほぼ横ばいとなった結果、売上高は同8.6%増の22億3800万ドルとなった。

生産能力に関しては、キオクシアと協力して岩手県のK1ファブの能力拡大に注入している。同社は112層 BiCS5製品を早い段階からチャネル市場に供給しているが、顧客の多くは従来の96層BiCS 4製品の採用を重視している模様だ。BiCS 5製品の出荷比率の増加ならびに顧客の採用増はプロダクトミクスの再編が終わる2021年まで進まないことが予想される。

Samsungと並ぶ韓国の2大NANDメーカーのもう一方であるSK Hynixは、同四半期において、北米のデータセンターへのストレージ製品の導入に成功するなど、エンタープライズSSDの比率を高めており、結果として出荷ビット数量は同5%増、平均販売価格も同8%増となり、売上高も同17%増の16億9400万ドルを記録したという。

ただ、生産能力については大きな調整などは行っておらず、2020年末のNAND総生産能力も年初比でわずかに低い190〜200K/月程度に留まる見通しである。ただし、TrendForceでは、96層と128層の3D NAND製品の比率は2020年第4四半期までに同社のNAND製品全体の70%以上を占めると予測しており、176層製品も2021年に投入する予定だとしている。

一方、北米最大のメモリベンダであるMicron Technologyは、SK Hynix同様エンタープライズSSDの需要増の恩恵を受け、出荷ビット数量は同7%増、平均販売価格もチャネルディストリビューターへのウェハの割り当てを減らしたこともあり同3%ほどの増加となり、売上高も同10%増の16億6500万ドルとなったという。

現在同社は最後にダミーゲートを除去してメタルゲートを埋め込む方式である「Replacement Gate」を採用したNAND製品への迅速な移行に焦点を当てている。その第1世代となる128層 3D NAND製品で、すでに少量出荷されているが、注力している第2世代の176層製品は、2020年末に量産に入ると予想されており、2021年は四半期ベースで176層製品の比率を高めていく予定としている。

もう一方の北米NANDベンダの雄であるIntelは、エンタープライズならびにクライアントSSDに注力してきたことから、多数のクライアントからの注文の増加の恩恵を受けることとなったという。その結果、出荷ビット数量は同25%増となったが、平均販売価格は、その価格交渉が第1四半期中に終えてしまっていたこともあり、ほぼ横ばいにとどまったという。その結果、売上高は同24%増の16億5900万ドルとなったという。

また生産能力に関して同社は今年、大きく拡大させる計画を持っておらず、中国大連工場でのウェハ投入数量も従来のレベルが維持される見通しだが、エンタープライズSSD向けに144層製品を投入し、年内にクライアントへの提供を開始する予定としており、2021年に徐々に生産量を増やしていく計画としているようである。