世界の半導体企業43社が加盟している「世界半導体市場統計(WSTS)」は6月5日、「2018年春季半導体市場予測」を公表した。

それによると、2017年の半導体市場は、ドルベースで前年比21.6%増と2桁成長を遂げ、2016年の同1.1%増から大きく成長した。幅広い電子機器向けに需要が旺盛で、メモリをはじめ、多くの製品で高い成長が見られた。2018年も、メモリの高成長が継続することが見込まれるほか、多くの電子機器での需要が維持されると見られており、半導体合計で同12.4%増と、2年連続の2桁成長となるものとWSTSでは予測している。

また、2019年はメモリバブルの終焉に伴い、同4.4%増と、勢いは鈍化するものと見ている。WSTSは、2017年の秋季予測にて2018年の市場を同7.0%増と予測していたことから、今回の予測で5%超の上方修正をしたこととなる。こうした傾向は、民間調査会社であるIC Insightsも年初の成長率予測8%から、3月に15%へと引き上げるなど、昨年と同様の傾向を見せているが、その背景にはメモリ、特にDRAM価格の高騰が続いているためである。

なお、WSTSの予測統計は、今年3月までのWSTS実績値に基づき会員企業43社が持ち寄った予測をベースに、世界マクロ経済や主要電子機器の動向なども参考にし、多数の未加入企業を含む半導体産業の売上高を予測したものとなっている。

  • 地域別の半導体売上高の推移

    図1 地域別の半導体売上高の推移。2018年以降は予測 (単位:100万ドル) (出所:WSTS/JEITA)

  • 地域別半導体売上高の推移

    表1 上段は地域別半導体売上高の推移。2018年以降は予測 (単位:100万ドル。日本に関しては最下行に円ベース(単位:億円)で表示)。中段は地域別半導体売上高の前年比増減率(%)(日本に関しては最下行に円ベースの増減率(%)が示されている)。下段は円ドル為替レート(円) (出所:WSTS/JEITA)

日本の半導体市場規模は4兆円を突破

WSTSによると、2017年の日本の半導体市場は円ベースで約4兆1000億円と、4兆円の大台を突破。2018年も、円ベースで同5.0%増のプラス成長が見込まれており、市場規模も約4兆3000億円まで拡大することが予測されているほか、2019年もプラス成長は持続し、市場規模は約4兆5000億円程度になることも予測されている(日本地域の半導体売上高は、半導体メーカーの国籍、製造工場の所在地とは無関係に、日本国内でメーカーから第3者に販売された額を指している)。

製品別の半導体市場動向

一方の製品別市場は、ドルベースで換算で、ディスクリート全体が同9.0%%増の236億ドル、オプトエレクトロニクスが同3.4%増の360億ドル、センサは同5.9%増の133億ドル、IC全体は同13.8%増の3905億ドルと予測されており、ICを製品別に見た場合、メモリは同26.5%増と2桁の成長率を示すほか、ロジックが同7.1%増、マイクロが同3.5%増、アナログが同9.5%増と予測されている。

2019年は、ディスクリートが同4.4%増の247億ドル、オプトが同5.7%増の380億ドル、センサが同6.1%増の141億ドル、IC全体が同4.2%増の4069億ドルと予測されており、ICの製品別予測において、メモリが同3.7%増とIC全体の伸びよりも低くなる予測がされている。

  • 製品別半導体市場売上高の推移

    図2 製品別半導体市場売上高の推移。2018年以降は予測 (単位:100万ドル) (出所:WSTS/JEITA)

  • 製品別の半導体売上高の推移

    表2 上段は製品別の半導体売上高の推移(2018年以降は予測、単位は100万ドル)。下段は製品別の半導体売上高の前年比増減率(%) (出所:WSTS/JEITA)