好調が続く半導体産業の勢いが止まらない。世界経済に大きな影響を与えている半導体の市場は、IoTやビッグデータ、AIなどの技術が後押しとなり、ついに2017年は史上初めて4000億ドルを越す市場へと育ち、単月でも過去最高記録を2017年12月まで9か月連続で更新し続けている。そんな半導体産業の好景気の波に乗り、周辺産業も勢いを増している。プリント基板の設計・生産を行う「OKIプリンテッドサーキット(OPC)」もその1社で、現在、新たに設備投資を実施しているという。プリント基板の製造能力を国内工場で増強する。この真意はどこにあるのか。新潟県上越市にある同社の上越工場にて話を伺った。

  • OKIプリンテッドサーキット

    OKIプリンテッドサーキット 本社・上越工場の外観

OKIの成長事業として強い存在感を放つOPC

OPCは、OKIの4つの事業の柱の1つである、電子機器受託製造サービス(Electronics Manufacturing Service:EMS)事業拠点の1つ。OKIでは、2017年~2019年を範囲とした「中期経営計画2019」の中で、2019年までにEMS事業での600億円の売り上げを達成することを目標として掲げているほか、将来的には1000億円規模の事業への成長を目指すとしていることからも、OKIとしても今後の成長を確信している分野であることが窺える。

  • OKIプリンテッドサーキット

    OKIが第4の事業の柱として力を入れている「EMS事業」(出所:OKI 中期経営計画2019)

OPCの従業員は535人(2017年4月時の数値、関連会社含む)で、東京、名古屋、関西、九州に営業拠点を持ち、工場は2015年に横河電機から取得した青梅工場と、上越工場の2拠点体制を構築している。また2016年には、日本アビオニクスのプリント配線板事業を取得するなど、精力的にその事業の幅の拡大も進めてきた。

  • OKIプリンテッドサーキット

    OPCの会社概要

「金融危機」から見えた成長戦略

近年の動きを見るに、まさに順風満帆とも言えそうだが、その成長の陰には、ITバブル崩壊による金融危機を起点とした事業戦略の見直しがあった。OPCが設立された初期はOKIグループが手がける製品の受注生産が主であった。しかし、ITバブルが弾け、景気が低迷していく中、グループからの発注が減少。そんな状況のなか、OKIと言えば通信機器、というわけで、そこで求められる技術、品質は高く、これを活用したい顧客は多いはず、という想いから外販に力を入れるようになったという。

その結果、国内のプリント基板市場は安価な海外メーカーの参入などにより2007年以降右肩下がりになっているが、OPCの外販の割合は順調に成長を続けてきており、なんと2017年度の売り上げは、過去最高になる可能性も出てきたという。

しかし、プリント基板というと、多くの日本企業は、低コスト化を実現しようと工場を海外に移したり、中国ベンダに発注したり、といった戦略を採用する場合が多い。そんな流れの中で、なぜOPCは日本でプリント基板を作り続け、さらにはそのシェアを伸ばすことができているのか?