本連載の前々回(第42回)前回(第43回)で「変更履歴」の使い方を紹介したが、状況によっては「変更履歴の記録をオンにしておくのを忘れてしまった」とか、先方が「変更履歴の使い方を知らない」といったケースも十分に考えられる。このような場合に活用できるのが「比較」と呼ばれる機能だ。この機能を使うと、ふたつのWordファイルの相違点を自動検出できるようになる。

  • 変更履歴の代替として使える「比較」の使い方

    変更履歴の代替として使える「比較」の使い方

「変更履歴の記録」をオンにしなかった文書

文書のチェック(校閲)を依頼するときは、「変更履歴の記録」をオンにした状態でWordファイルを送信するのが基本だ。しかし、それが難しい、もしくは忘れてしまった、というケースもあるだろう。

この場合、修正された文書は「通常のWordファイル」として戻ってくる可能性が高い。変更履歴が記録されていないため、「どこを、どのように修正したのか?」を一目で確認するのが難しくなってしまう。

  • 校閲を依頼した文書

    校閲を依頼した文書

  • 校閲済みの文書

    校閲済みの文書

上記に示した例の場合、「2026年6月15日(月)」が追加されていることは容易に気づくと思われるが、それ以外の修正箇所を確認するには、自分の目で1文字ずつ文章を追っていきながら、ふたつの文書を比較していく必要がある。これは相当に面倒な作業といえる。また、修正箇所を見落としてしまう危険性もある。

このような場合に活用できるのが「比較」と呼ばれる機能だ。この機能を使うと、ふたつの文書の相違点を自動検出できる。

なお、「比較」を使用するときは、修正前と修正後の文書を別のWordファイルとして保存しておく必要がある。もしも「修正前のWordファイル」を「修正後のWordファイル」で上書き保存してしまった場合は、校閲を依頼した送信メール(添付書類)などから「修正前のWordファイル」を復活させればよい。

文書の差分を自動検出する「比較」の使い方

それでは「比較」の具体的な使い方を紹介していこう。Wordを起動し、白紙の文書を画面に表示する。続いて、「校閲」タブにある「比較」→「比較」を選択する。

  • 文書の比較の開始

    文書の比較の開始

このような画面が表示されるので、修正前後のWordファイルを指定していく。まずは、修正前の文書となる「元の文書」を指定する。左側にある「フォルダー」アイコンをクリックする。

  • 元の文書の指定(1)

    元の文書の指定(1)

ファイルの選択画面が表示されるので、修正前のWordファイルを選択し、「開く」ボタンをクリックする。

  • 元の文書の指定(2)

    元の文書の指定(2)

同様の手順で、修正後のWordファイルを「変更された文書」に指定する。これで比較するふたつの文書を指定できた。「OK」ボタンをクリックする。

  • 変更された文書の指定

    変更された文書の指定

新しいウィンドウが開き、4つのエリアに分割された形で比較結果が表示される。各エリアには、それぞれ以下の文書(情報)が表示されている。

  • 左側:自動検出された変更箇所の一覧
  • 中央:変更箇所を「変更履歴」として表示した文書
  • 右上:修正前の文書(元の文書)
  • 右下:修正後の文書(変更された文書)
  • 比較機能の実行結果

    比較機能の実行結果

これらのエリアは、連動してスクロールする仕組みになっている。たとえば、「中央」に表示されている文書を下へスクロールすると、それに合わせて「右上」と「右下」の文書も下へスクロールされる。

  • 画面をスクロールした様子

    画面をスクロールした様子

この状態のまま確認作業を進めても構わないが、広大な画面でないと、かえって見づらい状況になってしまうかもしれない。このような場合は「中央」のエリアだけを残して、他のエリアを消去してしまえばよい。「左側」と「右上」、「右下」のエリアにある「×」をクリックする。

  • 不要なエリアの消去

    不要なエリアの消去

ウィンドウ内に「中央」のエリアだけが表示され、修正前と修正後の差分が「変更履歴」として表示される。

  • 変更履歴として表示された差分

    変更履歴として表示された差分

あとは、この画面を見ながら「どこが修正されたのか?」を確認していけばよい。変更履歴が記録されていない文書であっても、「比較」の機能を利用すれば、変更箇所(ふたつの文書の差分)を容易に探し出せるようになる。

なお、消去したエリアを再表示したいときは、「比較」→「元の文書を表示」の項目で表示するエリアを選択しなおせばよい。念のため、こちらの操作方法も覚えておこう。

  • 表示するエリアの指定

    表示するエリアの指定

修正内容を部分的に反映させるには?

修正内容を確認した結果、すべての変更を文書に反映させるのではなく、「部分的に反映させたい」と思うこともあるだろう。この場合は、第42回で紹介した「承諾」や「元に戻す」を使って変更履歴の反映/破棄を指示していけばよい。

変更履歴として赤字で表示されている文字を選択し、「承諾」アイコンをクリックすると、その変更を文書に反映させることができる。

  • 修正を文書に反映する操作(承諾)

    修正を文書に反映する操作(承諾)

続いて、次の変更履歴が自動選択される。こちらも反映させる場合は、もういちど「承諾」アイコンをクリックすればよい。

  • 次の修正を文書に反映する操作(承諾)

    次の修正を文書に反映する操作(承諾)

このような手順で作業を進めていき、修正を反映しない箇所のみ「元に戻す」アイコンをクリックして原文に戻せばよい。

  • 修正を破棄する操作(元に戻す)

    修正を破棄する操作(元に戻す)

ちなみに、「比較」の結果として表示された文書は、新規文書として扱われるように初期設定されている。よって、現在の文書は未保存の状態になる。作業が完了したら忘れずにファイルに保存しておこう。「ファイル」タブを選択する。

  • 文書ファイルの新規保存(1)

    文書ファイルの新規保存(1)

「名前を付けて保存」を選択し、保存先フォルダーとファイル名を指定して保存を実行する。この操作は一般的な文書ファイルの保存と同じなので、詳しく説明しなくても理解できるだろう。

  • 文書ファイルの新規保存(2)

    文書ファイルの新規保存(2)

比較のオプション設定

最後に「比較」のオプション設定について紹介しておこう。比較するふたつのWordファイルを指定する際に「オプション」ボタンをクリックすると、以下の図のように画面が拡張表示される。

  • 比較のオプション設定

    比較のオプション設定

ここで比較する項目を詳しく指定することもできる。とはいえ、特に理由がない限り、初期設定のままで構わないだろう。必要な人だけ、設定を変更すればよい。

そのほか、比較結果を「新規文書」として表示するのか、それとも「元の文書」や「変更された文書」に上書きするのか、といった選択肢も用意されている。修正前と修正後のWordファイルをそのまま残しておきたい場合は、初期設定である「新規文書」のまま作業を進めていくのが確実だ。よって、こちらも必要に応じて設定を変更する、という程度の認識で構わない。

今回紹介したように、「変更履歴」が記録されていない文書であっても「比較」を利用することで、簡単に変更箇所を見つけ出せるようになる。

文書を校閲してもらう場合はもちろん、同じ文書のWordファイルがふたつ見つかった場合などに「それらの差分を確認する」といった用途にも応用できるだろう。ひんぱんに利用する機能ではないが、いざというときに重宝する機能なので、ぜひ使い方を覚えておくとよいだろう。