さて、そのQorIQ P4080の内部は? というとこんな形である。

8コアという製品は、UltraSPARC T2とかCAVIUM NETWORKSのOCTEONなどもあるから、これが初めてという訳ではないにせよ、こうしたハイエンドプロセッサと肩を並べられる製品となることは間違いない。性能を上げてゆく上で、やはりL1だけでは容量不足であったのだろう。L2をBacksideに持ってゆく決断をしたのは妥当な選択だと思う。面白いのは、L3が1MB×2となり、それぞれ別々のMemory Controllerのキャッシュとして働くことだろうか。このあたりは、両Channelが独立で動く以上当然であろうが

搭載されるコアはe500mcとなり、L2キャッシュはBackside側に移された。コア同士やL3キャッシュとの間は、新しいCoreNetというFabricで接続されるようになり、L3キャッシュは2MB搭載される。これに接続される周辺回路も凄まじく、PCIe×2、SerialRapid I/O×2、GbE×8、10GbE×2と、さらに様々なアクセラレータといったものになっている。主要な特長は以下のスライドの通りであるが、これが30W以下の消費電力、というあたりがこのプロセッサの特長を物語っていると考えてよいだろう。

e500mcの詳細とかVirtualization関連は後述。DPAAは、図の左にある4つのAccelerationを指す。こうしたものまで全部動かして、それで30W以下というのは、これはこれで驚異的な低消費電力であるとは思う

DPAAについては以下のスライドに概略があるが、L4以上のルーティングに必要とされるContents ProcessingやEncryptionをまとめたもので、「ソフトウェア構築の単純化に役立つ」としているあたりが、DPAAの目的を示していると考えて良いだろう。

パース性能が18Mpps(毎秒18万Parse)というあたりは、確かに壮絶な性能である。大雑把に平均20Bytes程度でMessageが構築されているとすれば、3.6Gbps程度の処理性能があることになる。もっとも10GbEを2本も持つP4080からすれば、これでもまだフルのWire Speedには至らないのかもしれないが

最後に今後のロードマップであるが、2009年中にまずP2、ついでP1とP4が投入される。そのP1/P4と同時期にP3がアナウンスされ、またP1/P4の後継製品がさらに登場するようだ。P5は2010年からの投入となるようだ。また2nd Genで32nm SOIではT1~T5と製品グループ名を変えて投入、その後は22nm SOIも視野には入れているようだが、この辺りになると先になりすぎるので今後随時計画は変更されてゆくと思われる。

P3はe500mcをベースとしたSingle/Dual/Quadあたりの製品になる「らしい」(少なくともe500mcベースであることは間違いないそうだ)。問題はP5、これは何? と聞いたら、「e500mcをベースとするが、もう少しSingle Thread Performanceを引き上げたものになる」という説明が