本連載では、まだFXや先物取引を始めて間もない方や、現在勉強中だという方を対象に、毎回、ある1つのテクニカル指標をピックアップし、知識編・実践編の2回に分けてご紹介していきます。知識編では、その指標の概要を解説し、値の求め方や一般的な使用方法をお伝えします。実践編では、システムトレードで活用できるよう、知識編でご紹介したテクニカル指標を用いたシステムトレードのプログラミングに挑戦していきます。

今回は、チャート分析の基本であり、テクニカル指標の中でも1番と言って良いほど有名な、トレンド系テクニカル指標の一つ、「移動平均線」をご紹介します。

日経平均(日足)の2010年データ(下段:期間の異なる2本の単純移動平均線)

指標解説

「移動平均線(Moving Average)」は、直近n日間の価格の平均値を折れ線グラフで表す分析指標です。使用方法には、価格と移動平均との乖離から相場(上昇・下落)の短期的な行き過ぎを計る手法や、異なる期間の移動平均を用いることでトレンドの方向性の変化を判断する手法など、その用途は多彩です。また、シンプルゆえに、他のテクニカル指標との組み合わせなどで利用されることも多く、補助的な役割としても活用されています。

「単純移動平均」の算出方法

単純移動平均(n日) = 当日を含む直近n日間の終値の総和 ÷ n日間
(※一般的には終値を使用しますが、始値・高値・安値などでも作成は可能です。)

「移動平均」の対象期間

一般的に使用される対象期間として、決まったものは無いと言えます。日足や日中足、225先物やFXなど、その相場の状況に応じて対象期間を変化させ、柔軟に分析の切り口を変えていけるのが移動平均の良さでもあるからです。また、移動平均は、全て過去の価格から導き出されるものなので、過去の相場の流れを後から追いかけていくことになります。それゆえに、相場の動きへの反応は必ず遅延が発生してしまいます。これを軽減するために、対象期間を短くすることで、より敏感に反応させることも可能なのですが、それが必ずしも良いという訳ではありません。敏感に反応することにより、相場のダマシにあうことが頻繁に起こってしまうことも考えられます。

代表的な売買ポイント「ゴールデンクロス」・「デッドクロス」とは?

期間の長いもの(長期線)と短いもの(短期線)の 2本の移動平均線から、トレンドの方向の変化を判断する手法として、「ゴールデンクロス」「デッドクロス」と呼ばれる売買ポイントが有名です。

買いシグナル … ゴールデンクロス(短期移動平均線が長期移動平均線を上抜けたとき)
売りシグナル … デッドクロス(短期移動平均線が長期移動平均線を下抜けたとき)

日経平均(日足)データ:「ゴールデンクロス」「デッドクロス」の売買例

「トレードシグナル」に用意されたテクニカル指標

ひまわり証券で提供しているシステムトレード用高機能ツール「トレードシグナル」には、200を超えるテクニカル指標が搭載されています。テクニカル指標は、過去の価格や出来高などのパターンから将来の値動きを予測しようとするテクニカル分析で用いられる他、システムトレードの売買ルールにも活用されます。

一般的に移動平均と言えば「単純移動平均」のことを指すことがほとんどです。また移動平均は「加重移動平均」「指数移動平均」を加えた、3つに大別することが出来ます。「トレードシグナル」には、この3つの移動平均を含めた"15種類"の移動平均関連指標が用意されています。

日経平均(日足)データ:移動平均線指標(一部紹介)

次回「移動平均線 実践編」では、今回ご紹介した指標を用いて、システムトレードのプログラミングに挑戦していきます。

-「実践編」へ続く-


参考書籍・参考URL