「中和器」はエコジョーズに搭載されている部品
中和器とは、エコジョーズに搭載されている部品です。エコジョーズでお湯を沸かすと発生する「ドレン水」を中和する役割があります。リンナイ・ノーリツ・パロマなどの給湯器メーカーも、東京ガスや大阪ガスといったガスメーカーの機器も、すべてのエコジョーズに中和器を搭載しています。
給湯器の中で、なぜエコジョーズには中和器が搭載されているのでしょうか。それはエコジョーズがお湯を沸かす仕組みに関係があります。
まずはエコジョーズの仕組みについて簡単にご説明します。エコジョーズは、少ないガスでお湯を効率よく沸かせる省エネの給湯器です。従来の給湯器が燃焼排ガスとして捨てていた熱を利用することで、熱効率を80%から95%に向上しました。
熱効率が上がれば、お湯を沸かすのに使うガスの使用量が少なくてすむため、ガス代を節約できます。機種によっても異なりますが、エコジョーズは従来の給湯器に比べてガスの使用量は約15%削減、CO2排出量も約15%削減できます。エコジョーズは地球環境にも優しい給湯器なのです。
エコジョーズはガスを燃焼させた熱で一次熱交換器内を通過する水から温水を作り出します。このときの約200℃の高温の排気熱を活用し、二次熱交換器で水を温めます。
あらかじめ温めた水が一時熱交換器へ送られるため、少ないエネルギーでお湯を作ることができるのです。
従来型の給湯器の場合、燃焼後は約200℃の排熱を捨てていました。しかし、エコジョーズは排熱を再利用して2回に分けて水を温めるため、排熱温度は約50℃まで下がります。排熱温度を下げる際、水蒸気が発生して凝縮し、結露したドレン水が発生します。
ドレン水はpH3程度の酸性なので、そのまま流すことができません。そこで中和器が必要になるのです。中和器には炭酸カルシウムが入っているため、ドレン水が通過すると化学反応を起こし、pH7程度の中性に変化します。中和器があることで、酸性のドレン水を中性に中和してから排出できるのです。
このような理由でエコジョーズには必ず中和器が搭載されています。
中和器の寿命は?
中和器の寿命は、一般的には10年程度といわれています。エコジョーズの設計標準使用期間も10年なので、ほぼ同時期に寿命を迎えることになりますが、中和器は使用状況によって寿命が異なります。
燃焼時間が長ければ、中和器の寿命は早く訪れるため、お湯を多く使う家庭では、中和器の寿命が10年持たず、8年程度で寿命を迎えることもあります。エコジョーズより中和器が先に寿命を迎えることは珍しくありません。
寿命を迎えた中和器は酸性のドレン水を中和する力が低下します。ドレン水を排出できなくなるため、交換が必要です。
中和器の寿命は、リモコンに表示されるエラーメッセージでわかります。エコジョーズはさまざまなエラーメッセージが表示されますが、中和器の寿命に関するエラーメッセージは「920」と「930」です。
エラーメッセージ「920」は、中和器の寿命が近いことを警告するサインです。ただし、この時点ではまだ寿命を迎えたわけではないため、「920」が表示されたからといって、すぐに使えなくなるわけではありません。しかし、まだお湯が出るからといってそのまま使い続けていると、突然使えなくなるときがやってきます。そのため「920」と表示されたら、できるだけ早く中和器を交換しておいた方が安心です。
中和器の交換は、給湯器メーカー、給湯器販売業者、ガス会社などに依頼できます。交換料金は「部品代」+「技術料」+「出張料」で計算されるのが一般的です。費用は業者によって異なりますが、相場は10,000円〜20,000円程度となっています。エコジョーズの型式によって中和器や取り付け構造が異なるため、機種によっても交換費用は異なります。
「930」は中和器の寿命を知らせるエラーメッセージです。「920」が出てもまだ使えますが「930」が表示されたら使えなくなってしまいます。「930」が表示されてから業者に依頼しても、すぐに対応してもらえない可能性があるため、数日はお湯が使えなくて困るかもしれません。
そのようなことにならないよう「920」が表示された段階で、早急に業者に依頼するか、DIYで新しい中和器に交換しましょう。DIYの手順については後ほど解説します。
また、「290」というエラーメッセージが表示されることがあります。これは中和器のつまりや凍結などによる異常が発生したときのエラーメッセージです。中和器がつまるとドレン水が排水されないため、正常に動作できません。
「290」と表示されたときは、まず給湯器の電源をつけ直してみましょう。エラー表示が解消されたら、そのまま使用できます。寒冷地や気温が低い季節は、ドレン配管内でドレン水が凍結している可能性もあります。その場合は、ドレン配管にタオルを巻き、30度〜40度程度のお湯を少しずつかけてみましょう。ドレン配管を温めることで凍結したドレン排水が溶けて、ポタポタ流れてきたらエラー表示が解消されます。
なお、中和器の汚れが原因の場合もあります。そのときはメーカーや専門業者にメンテナンスを依頼した方がよいでしょう。
中和器をDIYする手順
中和器はメーカーや専門業者に依頼すれば交換してもらえますが、自分で交換することも可能です。業者に依頼すれば部品代以外に作業料や出張費が必要ですが、DIYすれば費用は新しい中和器の代金だけですみます。
中和器の取り替えは基本的に業者に依頼するのが一般的ですが、自分で取り替えたい方のために中和器をDIYで交換する手順をご紹介します。
- 電源コンセントを外します。
- 中和器や電気配線などを外します。
- 新しい中和器に交換します。
- 外した電気配線を元に戻します。
- 電源コンセントを入れます。
- リモコンで中和器交換時のリセットをおこないます。
- 出湯の確認をしてエラーメッセージが表示されていなければ交換完了です。
エコジョーズ内部の右側または左側に設置されているポリタンクが中和器で、この中に塩酸カルシウムが入っています。中和器を取り替える際は、電気配線をいったん外す必要がありますので、慎重におこないましょう。
新しい中和器に取り替えたら、外した電気配線などを元に戻してください。作業を始める前にどのような状態であったか忘れないようにしておきましょう。
中和器の取り替え作業が終わったら、屋内のリモコンを操作する必要があります。そのため、業者に依頼するとしても立ち会いが必要です。作業時間は30分程度で、機種によっては1時間程度かかることもあります。さほど長くかかるわけではありませんが、立ち会いのために仕事を休まなくてはいけない人もいるでしょう。DIYすれば、自分の都合のいいタイミングで新しい中和器に交換できるというメリットもあります。
しかし、自分で交換するとなると失敗の可能性がゼロではありません。自分でできるか不安な人は、メーカーや専門業者、給湯器の修理・交換に対応する業者に依頼した方が安心でしょう。
業者選びの際には下記の記事を参考にしてください。
中和器をDIYするときの注意点
中和器をDIYで交換する前にあらかじめ知っておきたいことがあります。次の注意点を確認しておいてください。
失敗するリスクがある
中和器をDIYで交換すれば費用を節約できますが、失敗のリスクがあります。技術不足で失敗する可能性もあり、ガス漏れにつながる恐れもありますので、十分注意が必要です。
自信がない人や不安な人は、ムリせず専門業者に依頼した方が安心でしょう。専門業者に依頼した場合の費用は10,000円〜20,000円程度です。失敗したときのリスクを考えるとさほど高額というわけでもありません。
機種によって中和器の値段が異なる
DIYで中和器を交換する場合、新しい中和器は自分で購入する必要があります。業者に依頼すれば、取り替え用の中和器代以外に作業料金や交通費などが必要になるため、DIYで交換すれば節約になるでしょう。
ただし、中和器の値段は機種によって異なります。エコジョーズには「ガス給湯器」「ガスふろ給湯器」「ガス温水暖房付きふろ給湯器」の3タイプがあり、それぞれ搭載している中和器が異なります。
また、型式や容量によっても値段が変わります。基本的には炭酸カルシウムの量が多いものほど値段が高くなります。
まとめ
エコジョーズに必ず搭載されている中和器は、お湯を沸かす過程で発生する「ドレン水」を酸性から中性に中和する部品です。使い続けると中和する力が低下するため、交換が必要な時期が訪れます。エコジョーズのリモコンにエラーメッセージが表示されたら、できるだけ早く対処しましょう。
今回は、中和器をDIYで交換する方法をご紹介しました。スムーズに作業できたら所要時間30分程度で交換できるため、日頃からDIYに慣れている人は、自分で交換するという選択肢もあります。ただし、プロの手を頼らず自分で交換すれば、失敗やガス漏れのリスクがあります。不安がある方は、メーカーや専門業者に依頼した方が安心でしょう。
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※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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