給湯方法の種類
給湯器は多くの種類が販売されていますが、その中でも給湯方法に違いがあり、大きく分けて下記の3つがあります。
- 給湯専用タイプ
- オートまたはフルオートタイプ
- ガス温水暖房タイプ
ここでは、それぞれの給湯方法やメリット・デメリット、交換費用の相場を解説します。ちなみにこの記事での交換費用とは、給湯器本体+交換工事費を目安にしています。
給湯専用タイプ
給湯専用タイプとは、キッチンや洗面台と同じく、浴槽にお湯を入れるときも蛇口をひねってお湯を出すタイプです。オートタイプなどの追い焚き機能はなく、温めなおす際もお湯を足して温度を上げることになります。給湯器の中では、1番シンプルな機能のみを備えたタイプと言えるでしょう。昨今は多くの機能を備えた給湯器が発売されているので、給湯専用タイプを選ぶかたは少なくなっています。
給湯専用タイプのメリット
機能が最小限のため、オートタイプなどに比べて初期費用が抑えられることや、必要な分だけ給湯や湯はりができるので、水道光熱費を節約しやすいことです。コスト面を重視するかたはおすすめと言えます。
給湯専用タイプのデメリット
自動湯はり機能がないため、湯はりの際は蛇口をひねらなければならない手間が発生します。蛇口を閉め忘れた際には、お湯が溢れてしまうトラブルが起こることも。また、湯温を上げたい場合も足し湯を手動で行わなければなりません。主流のタイプではないため、販売されている機種が少ないこともデメリットと言えるでしょう。
給湯専用タイプの交換費用相場
給湯器専門タイプの交換費用相場は、号数や設置場所、設置タイプにもよりますが、おおむね6万円から18万円です。
オートタイプまたはフルオートタイプ
オートタイプまたはフルオートタイプに共通する大きな特徴は、「追い焚き機能」が備わっていることです。ほかにも、オートタイプは「自動湯はり機能」「自動追い焚き機能」、さらにフルオートタイプは「自動足し湯機能」や「自動配管洗浄機能」が加わります。
フルオートタイプはその名のとおり、すべてを自動で行ってくれる給湯器です。オートタイプとフルオートタイプの違いは、自動機能に差があることでしょう。
給湯器を交換する際には、多くの方がオートタイプまたはフルオートタイプを選ぶことから、人気のあるタイプです。各メーカーでたくさんの機種が発売されているので、豊富な種類から選ぶことができます。
オートタイプまたはフルオートタイプのメリット
自動で追い焚きしてくれるので、手間なくいつでも快適な温度で入浴できます。また、最近の機種は毎日のお湯の使用量を学習し、自動で調整する機能が付いているタイプもあり、節約できることもメリットです。さらに、フルオートタイプでは自動配管洗浄により、いつでも清潔なお湯で入浴ができます。
オートタイプまたはフルオートタイプのデメリット
すべて自動で行ってくれる高機能タイプでは、給湯専用タイプに比べ初期費用が高額です。また、節電モードなどに設定してないと、お湯が冷めるたびに自動で追い焚きを繰り返すので、光熱費にも影響するでしょう。機能の多さから、機械に使われている部品も多く、長期的に見てメンテナンス費用がかさむことがあります。
オートタイプまたはフルオートタイプの交換費用相場
号数や設置場所、設置タイプに加え、機能の多さで費用に差が出ます。おおむね9万円から24万円ほどかかるでしょう。
ガス温水暖房タイプ
ガス温水暖房タイプの特徴は、暖房機能が使えることです。暖房機能によって、浴室乾燥機や床暖房、パネルヒーター、ミストサウナなどが使用できます。この暖房機能が使えるのは、熱源機で温めた温水を暖房端末に循環させて熱を発する仕組みがあるため。フルオートタイプよりもさらに高機能なタイプです。おもに高機能な住宅や施設等で設置することが多く、導入できる住宅が限定される機種もあります。
ガス温水暖房タイプのメリット
暖房機能によって、ミストサウナやヒートパネルなどが使用できるので、浴室のグレードが上がり入浴時間を快適に過ごせます。また、浴室乾燥機能により、梅雨時期の洗濯ものを干せることや、浴室のカビ防止になるため、家事の手間が減ることもメリットでしょう。床暖房設置の場合は、ほかの暖房機器と比べて空気を乾燥させずに部屋を暖めることができます。
ガス温水暖房タイプのデメリット
フルオートタイプよりも高機能なので、初期費用が高くなります。また、床暖房を設置する際には、床下の配管設備増設工事が必要になるので、設置に日数がかかることがあります。そもそも、床暖房は高気密高断熱住宅でない場合、蓄熱性が保たれないため導入できないことがあります。
ガス温水暖房タイプの交換費用相場
ほかのタイプと同様に、号数や設置場所、設置タイプや本体の機能で費用に幅がありますが、おおむね18万円から27万円ほどかかります。また、床暖房設置の際は別途費用がかかるので、高額になるでしょう。
ガスの種類
給湯器を買い替える際に注意しておきたいのは、対応しているガスの種類です。給湯器を安全に、なおかつ快適に使用できるよう、機種によって適合するガス種が決められています。現在、家庭で使われているガスは「都市ガス」「プロパンガス(LPガス)」の2種類です。給湯器を買い替える前に、自宅で使用しているガスの種類と購入予定の給湯器の対応するガスの種類を確認しておきましょう。
ここでは「都市ガス」と「プロパンガス(LPガス)」について解説します。ガス料金の比較や自宅で使用するガスの確認方法についても紹介しているので、参考にしてください。
都市ガス
現在流通している都市ガスは、メタン(燃える気体)を主な成分とする天然ガス、中東などの海外から輸入した液化天然ガス(LNG)を原料としています。元々無臭ですが、ガス漏れにすぐ気がつくように匂いがつけられていることはあまり知られていません。
空気より軽いのが特徴で、万が一ガス漏れのときには、上昇して拡散します。また、天然ガスは燃焼するときの二酸化炭素排出量が少ないので、環境にも人体にも優しいガスと言えるでしょう。都市ガスを供給する事業者は全国に約200社あり、道路下のガス管から各家庭に供給されています。
プロパンガス(LPガス)
プロパンやブタンを主成分とする液化石油ガス(LPG)は、ほぼ海外からの輸入で、一般的に「プロパンガス」や「LPガス」と呼ばれています。都市ガスと同じく元々は無臭ですが、ガス漏れなどの異常に気がつくよう、匂いがつけられています。PM(粒子状の物質)の排出がないことから、環境にも負担が少ないエネルギーとされているガス種です。
空気より重く、圧力を加えたり、-42℃まで冷ましたりすることで液体になり、体積が250分の1になります。この特徴から、事業者から液体のままボンベで各家庭に供給され、気体にして使用します。
都市ガスとプロパンガスの料金比較
主成分や供給方法のほかに、都市ガスとプロパンガスではガス料金に違いが見られます。都市ガスは、全国的に見てもプロパンガスより料金が安い傾向です。それは、供給方法などに理由があります。プロパンガスは、ガスの事業者がガス設備費用を負担しなければならないケースが多く、さらにガスボンベの運搬や設置、定期的な点検による人件費などもかかります。これらの諸費用がガス料金に上乗せされるため、都市ガスよりも割高になるのです。
自宅のガスの種類を確認する方法
自宅で使用しているガスの種類を確認する方法は、いくつかあります。一番簡単にわかるのが、ガスボンベの有無です。プロパンガスはガスボンベから供給されるので、自宅にボンベが設置してあればプロパンガスを使用しているということです。
一方で、集合住宅などは、ボンベが建物の目立たない場所に設置されている可能性もあり、どちらかわかりにくいかもしれません。その場合、現在使用しているガス機器(ガスコンロ、ガスメーターなど)に貼られているシールを確認しましょう。都市ガスは「12A」や「13A」、「都市ガス用」、プロパンガスの場合は「LPG」や「プロパンガス用」と記載されています。
また、ガスの検針票の規格にも違いがあります。都市ガスの検針票は横長で使用場所番号が7から始まる10桁、プロパンガスの検針票は縦長で01から始まる10桁です。種類がわからない場合は、ぜひ参考にしてください。
設置タイプの種類
給湯器の設定方法は、戸建てかマンションなどの集合住宅かで変わります。戸建ての場合は主に「屋外壁掛け」「屋外据置」「浴槽隣接」の3タイプで、集合住宅の場合は大きく分けて「PS内」「ベランダ壁掛け」の2タイプです。
交換する際は、基本的に現在の設置状況に合わせて給湯器を選びます。しかし、設置場所を変えたい、給湯器の設置タイプを変えたいなどの場合、追加工事が必要です。その際は別途料金が発生するので、注意しておきましょう。
戸建ての場合
戸建ての場合、設置タイプは以下の3タイプです。
- 設置タイプ1:屋外壁掛け
- 設置タイプ2:屋外据置
- 設置タイプ3:浴槽隣接
設置タイプ1:屋外壁掛け
屋外の壁にかけて設置します。配管が下から出ているのが特徴で、非常にコンパクトです。スリムで場所をとらないため、スペースのない場所にも設置することができます。また、メンテナンスや修理もしやすく、水害などによる水没の心配も少ないでしょう。据置型に比べ、製品価格も安い傾向にあります。
一方、デメリットとして、建物に密着しているため騒音や振動が気になることです。また、万が一地震などの災害が起こった場合、給湯器が重みで落下し、壁が壊れる可能性も考えておくことが必要です。
設置タイプ2:屋外据置
給湯器を地面、もしくはブロックに直接置くタイプです。横から配管が出ていて、室内の浴槽には穴が1つ開いています。壁掛けと比べ、壁への負担や落下の可能性もなく、建物に密着していないため、騒音や振動も気になりません。汚れが気になるときは、容易に掃除ができることもポイントです。
しかし、修理が大がかりになってしまったときの運び出しには、作業員が数人必要になることもあります。故障などのトラブル対応は、壁掛けと比べ簡単にはいかないでしょう。
設置タイプ3:浴槽隣接
浴槽に隣接させた据置タイプで、浴槽に穴が2つ、配管が給湯器の裏から2本出ています。このタイプは、配管に湯垢が溜まりやすいデメリットがあり、昨今は浴槽に隣接させる必要のないひとつ穴タイプが主流になってきたことから、設置台数も減っています。
マンションなど集合住宅の場合
集合住宅などの場合、設置タイプは以下の2つのタイプがあります。
- 設置タイプ1:PS内
- 設置タイプ2:ベランダ壁掛け
設置タイプ1:PS内
PS内設置とは、マンションなどの集合住宅の外廊下などにある、パイプスペース、またはパイプシャフト内に給湯器を設置することです。
このPS内設置にもタイプがあり、排気方法や扉の有無などで細かく分けられます。そのため、設置できる製品が限定されることがデメリットと言えるでしょう。たとえば、PS内の設置場所より小さいサイズの給湯器は別途アダプターが必要になるなど、スペースを考慮しなければなりません。
PS内に設置の場合は、前もってスペースや排気方法を確認しておく必要があります。
設置タイプ2:ベランダ壁掛け
マンションなどのベランダにかけてあるタイプです。戸建ての壁掛けと同様に、コンパクトで場所を取らないことや、修理やメンテナンスのしやすさがメリットでしょう。しかし、場所によっては騒音や振動を感じる場合や、地震が起こった際の落下の心配があります。
ちなみに、マンションの給湯器についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので是非参考にしてみてください。
号数の見方と正しい選び方
給湯器には、お湯の出る容量を数字で表すために「号数」が設定されています。号数は、1分間に「水温+25℃のお湯」がどれだけ(リットル)出せるか(給湯能力)で決められていて、数字が大きいほど給湯能力が高いということです。
たとえば1分間に16リットル出せれば「16号」、24リットルなら「24号」という表示になり、家庭用だと16号・20号・24号が主流です。ここでは、現在の号数の調べ方や号数の目安、費用の違いについて解説しています。号数を選ぶ際の参考にしてください。
現在の号数の調べ方
現在使用している給湯器の号数は、給湯器の型式で知ることができます。型式番号の最初に出てくる数字が号数です。給湯器本体に貼られているシールには、型式番号が表示されているので、確認してみましょう。
たとえば、型式が「GT-2027SAWX」の場合は、最初に出てくる数字が「20」なので20号、「RUF-V2400SAT-1」の場合は24号です。
現在の湯量で不便がない場合、買い替えには、同じ号数を選ぶことが無難でしょう。
号数の目安
現在の湯量では足りないときがある、家族が増えた、子どもの巣立ちで同居する人数が減ったなど、さまざまな理由で号数の変更を検討している場合は、以下の項目を目安にしてみましょう。
- 1人から2人世帯で年間とおしてシャワーをパワフルに使える→「16号」
- 2人から3人世帯で春・夏・秋のシャワーと水栓2か所の同時使用可能→「20号」
- 3人から5人世帯で年間とおしてシャワーと水栓2か所の同時使用が可能→「24号」
配管条件や設定温度などで、多少の誤差はありますが、以上が大体の使用目安です。
給湯器の寿命は約10年と言われていることから、買い替えの際はできるだけ少し先の将来を見据えた、号数選びが大切です。
号数でかかる費用も変わる?
号数を上げた場合、本体価格は高くなることがあります。上げた分、お湯を出す能力が高くなるということなので、致し方ないところですが、反対に機種によっては号数が高いほうが安価な場合もあり、一概には言えません。
一方、毎月かかるガス代は変わるのでしょうか。ガス代は、お湯を作った分だけかかります。号数が上がっても浴槽に湯はりする湯量が同じなら変わりませんが、容量いっぱいまでシャワーや蛇口からお湯を使えば、その分ガス代も上がります。
本体価格やガス代を含めたコストパフォーマンスや、使い勝手のよさも考慮して、号数を選びましょう。
給湯器メーカーによる大きな違いはない
給湯器の購入を検討した際、メーカー選びに悩んでしまうかたもいるのではないでしょうか。給湯器の耐用年数はおもに10年ほどと言われていることから、給湯器選びにはできるだけ失敗したくないものです。
しかし、実際には、「性能」「耐用年数」「本体価格」などは、メーカーによる大きな違いはありません。どのメーカーも品質の高い、よい製品を作り続けています。
一方で、メーカーによるアフターサービスや、強みとしているサービスに少し違いがあります。環境問題に配慮し、エコ機能を充実させているメーカーや、ラインナップの豊富さを強みにしているメーカー、24時間修理の受付対応やメール対応など、各メーカーさまざまなサービスを打ち出しています。
給湯器購入の際に、どの部分を重視するかによって、おのずと選ぶ製品やメーカーが決まるのではないでしょうか。
ちなみにメーカーごとの特徴はこちらの記事にまとめていますので参考にしてください。
給湯器本体の割引率は業者によって違う
メーカーによる性能・耐用年数・本体価格には大きな違いは見られませんが、実際に給湯器を購入する業者によって本体価格の割引率が変わります。
給湯器の購入は、「給湯器メーカー」「ガス会社」「給湯器専門販売業者」「水道工事業者」などから購入することができ、交換工事依頼も引き受けてくれます。その中でも、給湯器本体の割引率が高い傾向なのは、「給湯器専門販売業者」や「水道工事業者」です。本体価格を60%オフから、在庫が豊富な機種は80%オフなど、破格の安さで提供してくれることもあります。
なぜ、メーカーやガス会社よりも割引率が高いかというと、理由のひとつとして競合他社が多く市場競争が激しいということが言えるでしょう。競争が激しい業界で、集客に力を入れるため、給湯器の本体価格の値引きや独自のサービスを充実させているのです。
しかし、乱立する業者の中には、悪質な業者も少なからず存在します。安いからと言って安易に決めてしまうと、のちに追加料金を請求されるなどのトラブルに発展しかねません。本体価格の安さだけでなく、信頼できる業者であるかを見極める必要があるのです。
信頼できる業者であるかを見極めるためのポイントはこちらの記事でご紹介していますので参考にしてみてください。
実際のところ、メーカーで購入したほうが安心なの?
「給湯器はメーカーで購入したほうが安心」というかたも多いでしょう。確かにメーカーであれば、信頼し、安心して任せられることは事実です。しかし、メーカー以外での購入が悪いわけではありません。市場競争の激しい給湯器専門業者や水道工事業者は、集客のために多種多様なサービスを打ち出しています。
価格だけでなく、工事保証やアフターサービスなど、独自のサービスを充実させ、購入者にさまざまなメリットを提供してくれている業者が多いです。また、給湯器のトラブルなど、緊急時に迅速対応している業者や、24時間365日受付対応している業者もあります。
給湯器は決して安い買い物ではなく、信頼できる業者から購入することが重要です。給湯器専門業者や水道業者のサイトには、業者によってアピールしている強みやサービスが異なります。保有資格や実績、経験も掲載している業者も多いので、メーカー以外での購入も検討している場合には、各業者のサイトを見比べたり、複数業者に見積依頼をしてみたりしてはいかがでしょうか。
まとめ
ガス給湯器の種類は、給湯専用タイプと自動で追い焚きや足し湯ができるフルオートタイプ、床暖房も可能なガス温水暖房タイプがあり、使用するガスも機種によって異なることがあります。
設置タイプは、壁掛けや据置、マンションの場合はPS内設置タイプがありますが、基本は現況と同じものを選びましょう。
また、家族構成の変化により、号数を変えたい場合、人数や使用頻度を目安にするとよいです。
メーカーによる機種の性能や本体価格に大きな違いはなく、価格の割引率は、市場競争の激しさから、給湯器専門業者や水道業者が高い傾向にあります。
各業者は、価格の割引だけでなく保証やアフターサービスにも力を入れています。重視したいところを見定めて、購入先を選ぶとよいでしょう。
まずは無料相談!全国対応&水道局指定のおすすめ業者
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
※記事内で紹介した水道業者様は編集部が独自にリサーチを行い、料金や口コミ等、様々な情報を基に
順位付けをしております。