給湯器が凍結する条件
給湯器が凍結する条件は、急激な気温の低下です。気温が各地で低下する1月、2月は凍結しやすくなり、特に外気温が-15℃を下回る極寒日には凍結の危険性が高まります。また、建物の北側に給湯器が設置されている場合も凍結しやすく、1日中陽に当たらない場所は特に要注意でしょう。
こういった給湯器の凍結トラブルは、寒冷地よりも凍結防止策が取られていない温暖な地域に起こりやすく、寒波などの突然来る気温低下に対応できていないことが原因です。
給水管や給湯管、追い炊き管、水抜栓に保温材などで凍結対策がされていない給湯器、また、旅行や帰省などで長く給湯器を使用していない場合も、その間配管に溜まっている水が動かず、凍結しやすい状態になるのです。
給湯器の凍結によって起こる症状
ここでは凍結によって起こる症状を以下の3つに分けて解説します。
- 症状1.お湯が出なくなる
- 症状2.浴槽の自動給湯や追い焚きができなくなる
- 症状3.配管から水漏れする原因となる
給湯器が気温の低下で凍結すると、どのような症状が起こるのでしょうか。お湯が出ないなどの生活に直結する症状や、水漏れなどの修理が必要になるような症状は、生活に多くの悪影響をもたらします。
症状1.お湯が出なくなる
断水になってしまったときのような状態で、お湯が出なくなります。極寒日にお湯が出ないトラブルは、大変困るものです。水道管や給水管などの給水部や、貯湯タンクからの給湯管などの凍結が考えられるでしょう。
症状2.浴槽の自動給湯や追い焚きができなくなる
浴槽に自動でお湯はりができなくなり、追い炊き機能も停止することがあります。いざお風呂に入ろうと自動給湯ボタンを押しても、エラーが出るなどの症状です。この場合、給湯配管や追い炊き配管の凍結の可能性があります。
症状3.配管から水漏れする原因となる
一番困る症状が配管からの水漏れです。水が凍ると膨張し、配管に亀裂が入り破裂することがあります。凍結だけなら自然解凍を待てば解決することが多いですが、配管を傷つけてしまった場合は業者を呼んで修理をしなければなりません。
給湯器で凍結する可能性ある箇所
ここでは、給湯器で凍結する可能性がある箇所についてご紹介します。何をするための部分なのか、なぜ凍結する可能性があるのかを解説します。
- 箇所1. 水道管・給水管
- 箇所2. 給湯器本体内の配管
- 箇所3. 給湯配管
- 箇所4. 追いだき配管
- 箇所5. ドレン配管
箇所1. 水道管・給水管
水道管・給水管は給湯器に給水するための配管で、お湯ではなく水しかとおりません。そのため、気温低下の影響をもっとも受けやすい箇所と言ってよいでしょう。凍結し、亀裂により破裂しやすい箇所は、まさに水道管です。
箇所2. 給湯器本体内の配管
給湯器本体内の配管も凍結の可能性があります。特に水道管や給水管との接続部分(金属製)は水温低下の影響を受けるため、凍結することがあるでしょう。
箇所3. 給湯配管
給湯配管はお湯が通る配管です。お湯が流れるため、水の通る水道管や給水管、または配管接続部などよりも凍結しにくいと言えます。また、給湯器本体の凍結防止ヒーターの影響もあり、極寒日でも凍結する恐れは少ないでしょう。しかし、外気に晒されていることもあり、自動給湯できないなどの場合は凍結の可能性があります。
箇所4. 追いだき配管
給湯配管と同様に、お湯が流れるので凍結しにくいと言えます。しかし、外気に晒されているため、自動給湯ができない、追い炊きができない場合は凍結の可能性も捨てきれません。
箇所5. ドレン配管
ドレン配管とは、エコタイプの給湯器に設置されている配管で、給湯器の結露であるドレン水を排水するためのものです。屋外設置なので、気温低下により凍結の可能性があり、凍結によって排水されずにドレン水が配管内に溜まってしまいます。ドレン配管でも凍結によりエラーが出てしまうこともあるので、機器停止などのトラブルが起こり得ます。
簡単にできる給湯器の凍結防止策
急激な気温低下や寒波に備えて、給湯器に備わっている機能や自分で簡単にできる凍結防止策について、以下の6つの防止策をご紹介します。
- 防止策1.凍結予防ヒーター
- 防止策2.自動ポンプ運転
- 防止策3.少量の水を流したままにする
- 防止策4.給湯器の水を抜く
- 防止策5.断熱材・保温材を巻く
- 防止策6.凍結防止帯(ヒーター)を巻く
防止策を行うことにより、凍結によるお湯が出ないなどのトラブルを未然に防げることや、配管の破裂により業者を呼ばなければならない事態を避けられます。極寒日に備えて、ぜひ参考にしてください。
防止策1.凍結予防ヒーター
ほとんどの種類の給湯器本体には、凍結予防ヒーターが内蔵されています。凍結する可能性のある気温になると、給湯器本体内部のヒーターが作動し、配管を温めて凍結を防止する機能です。しかし、給湯器内部に設置されているため、水道配管の凍結には効果を発揮しません。
防止策2.自動ポンプ運転
自動ポンプ運転機能は、追い炊き機能が装備されている給湯器で作動させることができる機能です。浴槽内の残り湯が循環口より5㎝ほど上まで溜まっている状態で、一定以下の気温になると、給湯器のリモコンがOFFの場合も自動的にポンプ運転します。この機能は残り湯がない状態では作動しないので、気温低下の予報が出た場合には残り湯を溜めておかなければなりません。また、凍結予防ヒーター機能と同様に、水道配管の凍結は防止できません。
防止策3.少量の水を流したままにする
少量の水を流し続けることにより、凍結を予防する方法です。誰でも簡単に行えることから、冷え込みが予想されるときにおすすめの方法なので、ぜひ実践してみましょう。以下の手順で行います。
- 給湯器のスイッチをOFFにしてガス給湯器の元栓を閉める(ガス給湯暖房熱源機の場合は閉めない)
- 浴槽の栓を閉める
- 蛇口から4㎜の水を出し続ける(1分間に400㏄流れます)
以上の手順は、お風呂以外でもお湯の出る蛇口であれば可能なので、洗面所や台所でも構いません。注意点は、給湯器の電源プラグを抜かないことです。プラグを抜いてしまうと、凍結予防ヒーターや自動ポンプ運転が作動しません。
防止策4.給湯器の水を抜く
凍結が予想される時期に旅行や帰省などで長期間家を空ける場合には、ガス給湯器の水を抜いておくこともひとつの防止策です。以下に簡単な手順を解説しますが、行う前には必ずお使いのガス給湯器の取扱説明書を確認しておきましょう。水抜きは、給湯器→浴槽の順番で行います。
- 給湯器のスイッチをOFFにする(電源プラグはまだ抜かない)
- ガスの元栓と給水元栓を閉める
- 給湯される蛇口を全開にする(風呂場・洗面所・台所など)
- 水抜き栓を全開にして水を抜く
- 浴槽の水を完全に抜く
- 浴室内のリモコンのスイッチをONにする
- 「追いだき」をONにして、浴槽内の循環金具から排水するのを確認する
- 3の排水が完全に終わったら、「追いだき」をOFFにする
- 3~4をあと1回繰り返したのち、リモコンのスイッチをOFFにする
- 給湯器のふろ往水抜き栓・ふろ戻水抜き栓・ポンプ水抜き栓・ふろ水抜き栓・中和器水抜き栓を全開にして水を抜く
- 給湯器本体の電源プラグを抜く
水抜き栓の場所は、建物によってさまざまです。あらかじめ確認しておきましょう。また、給水を再開する際は通水作業が必要です。
ちなみに給湯器の水抜きに関してはこちらの記事でもご紹介していますので参考にして下さい。
防止策5.断熱材・保温材を巻く
給湯器本体から出ている配管は、外気に晒されているため給湯器の凍結予防ヒーターの効果がありません。そのため、配管本体に断熱材や保温材を巻くことが凍結防止策です。保温材はさまざまな種類のものが販売されており、ホームセンターやインターネット通販などで購入できます。
一般的な保温材は「保温チューブ」で、材質はさまざまですが、ポリエチレンフォームが比較的多いでしょう。各配管にかぶせて装着するタイプで、太さも選ぶことができます。さらにチューブの上に、包帯のような「キャンバス」というテープを巻きます。下から上に向かって巻くことで綺麗に仕上がります。
一方、キャンバスを巻く必要のない、ワンタッチタイプの保温チューブもあります。DIYに不慣れな場合は、お手軽に巻けるでしょう。
防止策6.凍結防止帯(ヒーター)を巻く
凍結防止帯とは、配管に巻くタイプのヒーターです。凍結防止帯本体が熱を帯びて配管を温める構造で、給湯器本体から出ている配管の凍結防止に役立ちます。サーモスタットが内蔵されているので、気温が高い場合は無駄な電気を使わず、それほど電気代もかかりません。しかし、電源プラグが必要になるので、足りない場合はタップを使い配線しましょう。その際、露出させないよう処理することが必要です。
また、むき出しの状態では風雨の影響を受け破損してしまう可能性があります。そのため、保温テープや保温チューブと組み合わせて装着することが重要です。
DIYでの装着も可能ですが、電気を使う製品なので、業者に依頼して設置してもらうのが安全でしょう。
給湯器が凍結したときの対処法
給湯器が凍結したときに自分でできる対処法の手順をご紹介します。また、避けるべき対処法についても理由と併せて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
対処法1.自然解凍を待つ
お湯が出ないと寒い時期に焦ってしまいますが、自然解凍を待つことも対処法のひとつです。ただ放っておくことではなく、手順があるので実践してみましょう。
- 給湯器のスイッチをOFFにする(電源プラグは抜かない)
- 気温上昇による自然解凍を待つ
- お湯が出るか確認出来たら、給湯器や配管の破損がないかチェックしておく
対処法2.給水元栓にぬるま湯をかける
自然解凍を待たずにできるだけ早くお湯を出したい場合は、給水元栓にぬるま湯をかけます。応急処置なので注意して行いましょう。
- 給湯器のスイッチをOFFにする(電源プラグは抜かない)
- 台所や洗面所などの給湯栓を少し開けておく
- ガス栓を閉める
- 給水元栓にタオルを巻く
- 30℃から40℃ほどに温めたお湯を巻いたタオルにかける
- 水の流れる音を確認したら、開けていた給湯栓を閉める
- 巻いていたタオルを外し、綺麗に水分をふき取る
避けるべき対処法
お湯が出ないことで慌ててしまい、間違った対処法を行ってしまう可能性があります。業者を呼ぶほどのトラブルに発展する可能性があるので注意しましょう。
その1.熱湯をかける
「凍っているところには熱いものをかける」ということに思考がいってしまいますが、熱湯は避けましょう。給湯器や配管の破損を招く恐れがあり、給湯器の業者に依頼しなければなりません。その破損により、お湯が出ない症状が長くなるので、絶対にやめましょう。
その2.ドライヤーの温風を当てる
ドライヤーの熱風もかけてはいけません。熱湯ほどではありませんが、配管に高熱を加えることで、変形や破損を招く恐れがあります。
その3.給水元栓についた水滴を拭き取らない
対処法2の、給水元栓にぬるま湯をかけた作業後、水滴などの水分をしっかりふき取っておかないと、その水分が凍り、再び凍結を招く恐れがあります。作業後はくまなく乾拭きをしておきましょう。
凍結後、再び使用する際の注意点
凍結の対処をした後に、給湯器を再び使用する際は注意しておかなければいけないポイントがあります。それは、配管の破損と水漏れです。配管内の水は凍結すると膨張し、配管に亀裂や破損が生じることがあります。すると亀裂や破損部から水漏れしてしまう可能性があるのです。
凍結後、使用を再開する際には給湯器周辺をチェックし、水漏れしていないかをくまなくチェックしましょう。配管の破損や水漏れが確認された場合は、給水バルブを閉めて早めに修理業者に連絡しましょう。
積雪が原因でお湯が使えないこともある
給湯器は、気温低下による凍結だけでなく、積雪によりお湯が使えなくなることがあります。突然の大雪などで困らないよう、原因と対処法について解説します。
なぜ積雪でお湯が出なくなるのか?
屋外に設置されている給湯器は、大雪の影響を受けやすくなります。給気口や排気口を雪が塞いでしまうことにより、不完全燃焼を起こして故障しお湯が出なくなってしまうことや、異常着火による事故につながる恐れもあるのです。大変危険なので、大雪が降ったときにはこまめに給湯器周辺を確認しておくことが重要です。
また、雪がやんだ後でも、屋根に積もった雪が給湯器周辺に落ち、給気口や排気口を塞いでしまう可能性があります。さらに、隣の家の屋根から落ちてきた雪で給湯器が埋もれてしまうというケースも発生しているので、注意が必要です。
積雪が原因の場合の対処方法
雪の日には、給湯器を使う前に積雪がないか確認してから使用しましょう。お湯が出ない症状が発生し積雪に気づいた場合は、速やかに除雪を行ってください。その際、給湯器の使用中または使用後は高温になっているので、注意して行いましょう。
解決できない場合は無理せず業者へ相談しましょう
積雪が原因でも、除雪だけでは解決できなかった場合は、無理に触らずに給湯器専門業者に相談しましょう。寒い冬の時期は、気温低下や積雪など給湯器や配管にとって負担が多くなります。突然のトラブルをよくわからないまま自己解決してしまうと、後々の故障につながる恐れがあります。給湯器の故障は冬の生活にかかわる大問題です。慎重に判断することが重要でしょう。
給湯器が凍結した場合の修理費用・相場
凍結しても自然解凍で解決し、水漏れもなく済めばよいですが、凍結により給湯器内の配管や周辺の配管が破損した場合は専門業者に依頼しなければなりません。その際にかかる修理費用や相場についてまとめました。給湯器の凍結による故障は、多くのメーカーが保証期間内でも有償修理になる場合があります。
箇所によっては費用が高額になるケースもあるので、確認しておきましょう。
給湯器内の配管が破損した場合
給湯器内の配管が破損した場合、故障の状況にもよりますが、数万円程の修理費用がかかることがあります。特に、以下のような流れで起こる症状の場合は要注意です。
- 給湯器内部の水が凍結
- 凍結した場所が溶け、破損個所から水漏れ
- 内部の配線と接続している部分に水がかかり漏電
- 漏電により、電気回路や熱交換器が故障
以上の流れにより、電気回路の修理、熱交換機の取り替えが必要です。その際の費用相場は以下です。
- 電子回路(基盤)の修理:約40,000円~
- 熱交換器の取り替え(追い炊き回路):約50,000円~
- 熱交換器の取り替え(給湯回路):約60,000円~
さらに、部品が生産終了しているような古い機種の場合は給湯器自体交換が必要になることもあります。その際には諸費用も含め10万円以上かかることが想定されます。
給湯器以外の配管が破損した場合
給湯器以外の配管が破損した場合、配管交換による修理がほとんどです。費用も数千円~数万円と幅がありますが、以下の費用目安を参考にしてください。
- 水道管の破損修理:約8,000円~
- 排水管の破損修理:15,000円~60,000円程度
どちらにしても、早めに相談することをおすすめします。
給湯器が凍結したときの業者選びのポイント
給湯器が凍結したときの業者を選ぶ際に知っておきたいポイントとしては以下の4つがあります。
- ポイント1:対応時間や駆けつけ時間は迅速か
- ポイント2:実績や経験は多いか
- ポイント3:過度な安さを強調していないか
- ポイント4:複数業者から見積を取る
凍結による給湯器トラブルは、予想できないものです。お湯が出ないなどの生活にかかわる問題は、なるべく早く解決したいところですね。自己解決が難しく、給湯器専門業者に依頼する場合は、注意しておくべきポイントがあります。業者選びの参考にしてください。
ポイント1:対応時間や駆けつけ時間は迅速か
業者によっては最短20分で駆けつけてくれたり、24時間365日受付対応などのサービスを行ったりしているところもあります。凍結してお湯が出ないときや水漏れトラブルが起きてしまったときは、素早い対応をしてくれる業者を選びましょう。
ポイント2:実績や経験は多いか
給湯器の修理交換は危険が伴うため、専門資格が必要です。その中でも実績や経験が豊富な業者は信頼できるでしょう。ホームページを見て、施工実績が豊富か歴史のある会社なのかなどを確認しておきましょう。また、お客様からの口コミや感想を掲載している業者もあります。実際にその業者を利用した人の声が見れるので、より安心して依頼ができます。あわせてチェックしておくとよいでしょう。
ポイント3:過度な安さを強調していないか
修理代や交換費用は安いに越したことはありませんが、過度な安さの強調には注意が必要です。後から別途諸費用が請求されるなどのトラブルに巻き込まれる可能性もあります。極端に安い業者は避けるか、詳細な見積や安さの理由を説明してもらうなど、慎重に判断しましょう。
ポイント4:複数業者から見積を取る
時間に余裕があるときは複数業者から見積を取り、比較することもおすすめです。給湯器の修理や交換をする業者の中には、少なからず悪質な業者も存在します。適正価格でしっかり修理・交換をしてくれる、良質な業者を選びましょう。
上記でご紹介した4つのポイント以外にも気をつけておくべき点がありますので、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
まとめ
寒波や大雪などの極寒日には、給湯器の凍結に注意しなければなりません。気温低下や積雪により、給湯器内部の配管は凍結予防ヒーターにより防止できますが、外気に触れている水道配管などは、保温チューブや凍結防止帯を巻くなどの防止策が必要です。
凍結してしまった場合の対処として一番よいのは、自然解凍です。また、応急処置としてタオルを巻いて給水管にぬるま湯をかける方法も可能です。しかし、熱湯をかけるなどの行為は配管が破損する恐れもあるため、避けましょう。
自己解決が難しい場合は、給湯器専門業者に依頼することもおすすめです。凍結による破損は高額な費用がかかることがあります。業者を選ぶ際にも、駆けつけ時間や実績、見積価格などを比較しましょう。
おすすめ業者4選
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