先進国だけでなく途上国も含め、世界共通の目標として2015年9月の国連サミットにて採択されたSDGs。ここ数年で非常によく耳にする言葉になっているのではないだろうか。
SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、経済、社会、環境の3つの側面でバランスの取れた社会を目指す17のゴールと169のターゲットで構成されており、豊かさを追求しながらも地球環境を守り、誰一人取り残すことなく、人が人間らしく暮らせる社会基盤を2030年までに作りあげることを目標としている。
日本でも多くの企業や自治体がSDGsの目標を達成すべく、さまざまな取り組みを実施しているが、個人としてはどんなことができるのか、取り組んでいることが達成につながっているのかが実感できていないという声も少なくない。
そこで今回は、14年ぶりにブランドテーマを刷新した「い・ろ・は・す」のブランドマネージャー小林令奈氏と、around20世代に特化したマーケティング機関SHIBUYA109 lab.の長田麻衣所長に、現代に求められているSDGsとはどのようなものなのか、対談してもらった。
左:小林令奈 さん
「い・ろ・は・す」ブランドマネージャー。日本コカ・コーラ社に入社し、「い・ろ・は・す」のチームに配属。今回のブランドテーマ一新に尽力した。
右:長田麻衣 さん
SHIBUYA109 lab.所長。2018年5月に若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。毎月200人のaround20(15歳~24歳の男女)と接する毎日を過ごす。
14年ぶりに刷新した「い・ろ・は・す」のブランドテーマ
――「い・ろ・は・す」のブランドテーマが14年ぶりに刷新されましたが、もともと「い・ろ・は・す」はどのようなブランドだったのでしょうか。
「い・ろ・は・す」が誕生した2009年頃は、すでに地球温暖化が大きな課題となっていて「エコ」というワードが消費者の関心事になっていた時期だと思います。そういう時期に、「い・ろ・は・す」は、エコを意識した“しぼれる”ボトルで天然水の市場に登場しました。時代のニーズに応えるような新しい切り口のブランドとして、キャッチーな感じだったと認識しています。
覚えています! 中学生ぐらいだったんですが、CMでギュッと小さくできるのを見て、当時それがすごくやりたくて買っていました。その頃、エコとかリサイクルとかがCMでよく取り上げられていて、ギュッとすることで、初めて自分がそれに参加できているような実感があったのが大きかったように思います。 |
ありがとうございます。あの頃、エコやリサイクルと言われても、普段のごみの分別は一応やっているけど、それ以外に何ができるんだろう? と思われている方は意外と多かったんですね。「選ぶ、飲む、しぼる」という簡単な3ステップでギュッとしぼるのはちょっと楽しいし、リサイクルってこういう身近なところからでいいんだ、ということに気付いていただくきっかけになればと活動していたので、みなさまにもそういうインパクトがあったのではないかと思います。
「い・ろ・は・す」は「いろは」と「ロハス」を組み合わせた言葉で、いろいろなものの最初の根源という意味合いと、今でいうサスティナブルといったロハスな生き方を重ね合わせて、美味しい水を飲んでいただくことと、エコは隣接の関係性だということを表しているんですよ。
――ブランド誕生から14年が経ち、イメージを新しくされたのにはどのような理由があるのでしょうか。
ここ最近は「エコ」という言葉も以前ほどは聞かなくなったのではないでしょうか。エコはもう当たり前のことになっていて、エコ以上のものが求められるようになってきています。そんな中で新しく出てきた言葉が、サスティナブルです。環境に配慮することが当たり前になり、難しく考えたり、肩肘を張ったりすることなくできることであるべきだと意識される方が増えてきたんですね。エコなことをしてください、とお願いするのではなく、自分の心地良いことが結果的に世界にとって良いことになっているというものが求められるようになりました。
私は10代、20代の人たちとお話する機会が多いんですが、確かに下の世代にエコなことは当たり前なんですよね。自分たちが取り組んでいるという意識はないけれども、生活に根付いていて気付かないうちにサスティナブルな行動をしていることが多い印象です。 |
でも、サスティナブルだけを優先させることはリアルじゃなくて、可愛いと思ったらそっちの方がサスティナブルだったとか、素敵だなと思った方がたまたまサスティナブルだった、ぐらいのトーンで捉えているように思います。 |
それくらい、消費者のニーズも変化していますので2022年にボトルのデザインを刷新しました。ボトルは、以前の「しぼる」から「たたむ」に変わっているんです。ブランドテーマも5月から「ごくごく自然に未来を変える水」になりました。
見た目がすごくスタイリッシュになりましたよね。これまでの見るからにしぼりやすい形状よりも、見た目が可愛いし、たたみたくなるような、体験したいというリアルな感覚が優先されているように思います。サスティナブルだから、だけじゃない。 |
たたむのも、子どもや女性でも簡単にできるくらいのものになっています。しぼる、って割と力強くやるようなイメージだと思うんですが、たたむことは少し力が抜けていて心地良い動作だと思うんですね。また、環境やエコだけを優先させるのではなく、お客様の心地良さも大切にしています。
ボトルの上部がなだらかな形状になっていて、スイスイと飲めるようなデザインになっているんですよ。それでいて、たたむほうがしぼるよりも2割くらい容積を小さくできるので、前よりもさらにリサイクルに出しやすくなっていたりもするんです。
サスティナブルなだけじゃなく、実際に便利で、生活が楽になるというのもいいところですね。いろいろな世代にとって嬉しいことだと思います。便利になるとか、素敵に見えるとか、自分にとってのメリットが先に来ているほうが手にとりやすいですから、そういう企業が増えてくることが、消費者にとっては一番よいことなんじゃないかと思います。 |
消費者って結局のところ、選ぶことしかできないんですよね。サスティナブルなことを頑張ろうと思っても、一消費者だけでできることはあまりない。自分にとってメリットのあるものを選んだら、結果的にサスティナブルにつながっていたということを知ると、商品やサービスを自分で選択することの大切さに気付くと思いますね。 |
ブランドテーマ刷新とともに考えたSDGsの意義とは
――飲料業界におけるSDGsの課題には、どのようなものがあるのでしょうか。
飲料業界において、すごく象徴的なものがペットボトルだと思います。業界としては回収されたペットボトルが再び新しいペットボトルにリサイクルされる「ボトルtoボトル」水平リサイクルを推奨しています。ペットボトルをはじめとするプラスチックがリサイクルできることはご存じかと思いますが、ペットボトルは適切に回収すれば資源として、何度も循環利用が可能です。
実は今の「い・ろ・は・す」のボトルは100%リサイクルペットからできているんです※1。「100%リサイクルペットボトル」は、新規に石油由来原料を使用して製造したペットボトルと比較して約60%のCO2排出量削減にもつながります※2。日本コカ・コーラ社のナショナルブランドでは、「い・ろ・は・す」が初めてなんですが、「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」の実現を目指すグローバルプランに基づき、会社として2030年に向けて自社製品のペットボトルの原料を100%サスティナブル素材※3に切り替えることをゴールとしています。
※1 285ml, 340ml, 540ml, 1020mlの製品が対象
※2 原料採掘からプリフォーム(ペットボトルの原型となる中間製品)製造の工程における削減率。日本コカ・コーラ社調べ。
※3「ボトルtoボトル」によるリサイクルペット素材、または植物由来ペット素材
再生の技術も高くなっているんですよね。ペットボトルがリサイクルされ、そのボトルがまた新たなボトルへと生まれ変わるというスキームができていれば、消費者も自然とエコ活動に賛同しやすいですね。 |
やっぱり、みなさまには気兼ねなくおいしくお水を飲んでいただきたいですから。そこを取り払うという点は「い・ろ・は・す」としてお約束できると思っています。実は日本ってペットボトルの回収率がかなり高いんですね。それくらい資源を大切にする意識は高いのですが、ペットボトルへの「ボトルtoボトル」水平リサイクル比率になると残念ながら20%ほどなんです。そこで、容器をたたんでリサイクルするぞ、と意識していただくことで、その数字が伸びていくことを願っています。
そのほかにも、お水は水源からいただいているものなので、水源を守る活動もしています。水も容器もちゃんと循環させて資源として長く残ってもらいたいと「い・ろ・は・す」ブランドとしては考えています。
若年層とSDGsをテーマにした活動を一緒にするようになって、例えばマイボトルとかを頑張ってみたりもしたんです。でもペットボトルで購入したほうが冷たいし、便利だからと続かなかったんですね。頑張りすぎると、続かないんです。選んだものがSDGs的にいいものだったとか、ペットボトルもちゃんと分別しようとか、それくらいのトーンでやる方が続くんですね。「い・ろ・は・す」のような商品が増えてきたら、生きているだけでSDGsにつながっていくと思うので、世の中にそういうアイテムが増えてくれるのを待っています。 |
――いわゆるZ世代と呼ばれる若い世代には、SDGsはどのように受け止められているのでしょうか。
Z世代では、本当に当たり前のこと、と思っている人が多いですね。実際にインタビューをしていても、トレンドが大好きでどんどん消費していくような見た目が派手な子が、未来の子どもたちのために自分たちがやらなきゃいけない課題としてSDGsを考えていると、ごく普通のトーンで言っていたりもするんです。すごく自分事として捉えていますね。 |
学校で学んだことでも、私たちの世代よりもインプットが多いので、当事者意識が高いんです。まだ可愛いものが大事とか、自分のメリットとすり合わせて選んでいる子が多いので、サスティナブルなことが直接的な消費にはつながっていないかもしれないですが、10年後20年後に「い・ろ・は・す」のような商品が増えてくれば、サスティナブルが一つの消費の軸になっていくんだろうという感覚はありますね。 |
「い・ろ・は・す」のお客様は、ほかのお水のブランドと比べて若年層の方が多く、実はZ世代の方がすごく飲んでくださっています。サスティナブルが頭の片隅にはあって、ちょっとしこりのような感覚でいるところに、楽しいかも? とか、ちょっとおしゃれとか、これならやってみてもいいかな、っていうくらいの伝わり方になるといいな、と思っています。
現代SDGsの課題とは?
――現代のSDGsにおいて、これから解決すべき課題にはどのようなものがあるのでしょうか。
やはりまずは知ることではないでしょうか。どういう社会課題があって、その解決へのアクションがどうつながっているのかを見える化してあげることが行動のモチベーションにもつながる。そういう意味では、Z世代についてはあまり心配していないんです。こういう問題や課題に対して、Z世代が先頭に立っているようなことって多いと思うんですが、それはZ世代がこの問題に対してそれくらいヤバいと思っているから。感覚が他の世代と違うので、どんな世代でも同じ気持ちで取り組めるようになれたらいいですね。 |
若い世代の意識に比べて、上の世代になるほどモチベーションや意識の持ち方が少しずつ変わっている部分はあると思います。ただ、どの世代でも無理をしてやるのはちょっと難しいという感覚はあって、その気持ちを肯定してあげるというのは企業としてできることの1つではないかと思っています。やってください、とお願いや強制するのではなく、そうすることをいかに楽しいものにできるのかが、私たちが努力できる部分だと思うので、引き続き頑張っていきたいですね。
「い・ろ・は・す」は2020年4月に世界のコカ・コーラ社製品でも初めてのラベルレスボトルをオンライン中心に提供しているんですが、見た目がカッコいいからと選んでくださっている方も多いんですね。そういう感じで、みなさんが気軽に手を出せるものに変換しながら、何かを意識することなく環境にいいものになっている、ということを、みなさんと一緒に作っていけたらと思います。
何かやらなきゃ、という意識はあっても、具体的な1歩が踏み出せないということも課題だと思うので、その1歩を後押ししてあげることが、企業にできることの1つだと思います。どの世代も社会課題に対して同じ感覚で取り組めるように、巻き込んでいくことが今後はすごく大切になるんじゃないでしょうか。 |
そうですね。「い・ろ・は・す」では現在キャンペーンを実施していまして、「い・ろ・は・す」1本を買うごとに、WEBサイト上でブロックを1日1つ積み上げてオブジェを作ることができる「サスティナ ビルディング」キャンペーンを行っています。ブロック1個を積むごとに森や山、川、海を守る活動や団体に1円寄付されて、積んだブロック数に応じて抽選でサスティナビリティーにちなんだプレゼントも用意しています。
「い・ろ・は・す」を買うといいことがありそうとか、コンテンツがかわいいからとか、たくさんの人がやってみたい、参加したいと思えるようなものに今後も取り組んでいきたいと思っています。気合いと根性でサスティナブルに取り組むというより、自分の楽しいと思っていることが実はサスティナブルと近いところにあったんだ、という気付きをアプローチにしていきたいですね。
すごく楽しそうなキャンペーンですね! 自分が選んだことで、どれくらい貢献できているのかを見える化したいという声はあるんですけど、なかなか難しいじゃないですか。でも、このキャンペーンはまさにそういう感じですよね。みんなで取り組んでいる感じもするし、自分が貢献できている実感もあって、育成ゲームみたいでかわいくて楽しいと思いました。 |
8月末からは「みんなでつくる い・ろ・は・すの歌」というキャンペーンもスタートします。「幸せなら手をたたこう」という耳なじみのある曲をアレンジしたオリジナルキャンペーンソングに楽しく乗りながら、飲み終わったボトルをパタン! とたたんでリサイクルを促すような施策です。さらに、ボトルをたたんでいる動作をみなさんに動画にしていただいて、その動画がCMに採用されるかもしれない、というものになっています。たたむ動作をSNSなどで楽しく投稿してもらいたいので、いろんな方に参加していただきたいですね。
すごく楽しみです! やっぱり音楽やエンタメはみなさん大好きですし、動画でのコミュニケーションというのはZ世代には当たり前ですから。また、サスティナブルとは別の要素ですが、推しのプロジェクトに参加するということがモチベーションになるんですね。推しが参加していたら、そこが参加する理由になることもあるので、これからどう盛り上がっていくのかとても楽しみにしています。 |
気軽で楽しいことが入り口になっていれば、サスティナブルなことも苦じゃないし、続けようと思えるはずなので、そう感じていただけるような取り組みを今後もしていきたいと思います。
正しいことを楽しく見せて解決していく、ということが今後はすごく大切になってくると思うんですね。正しいだけだといわゆる”意識高い系”になっちゃうし、楽しいだけでも意識していないことに負い目を感じてしまう。だから、楽しいことだと思ったら正しいことでもあった、というストーリーがすごく大事になる。その正解って1つじゃないし、ユーザーと企業が一緒になって、話し合いながら作っていくような相互コミュニケーション型でやっていけるほうが、きっと楽しくなるんじゃないかと思います。 |
私たちも頑張るからあなたも頑張って、ではプレッシャーが強すぎるんですよね。生きていく上での生活の心地良さは絶対条件だと思うので、好きだからやっているとか、楽しいからやっているというのが巻き込んでいく上でとても大切なことだと考えています。
結局、本当に何かになっているの? と疑問を持たれてしまうと、少しずつ、今日はやらなくてもいいかも、と離れていってしまいますから。ボトルウォーター市場にエコという価値観を持ち込んだのは、「い・ろ・は・す」だと自負しています。これからも時代に合わせ、心地良さを選ぶこととサスティナブルが実はつながっていると実感していただけるよう、新しい風を吹かせるような取り組みをしていきたいと思います。
ボトルデザインをスタイリッシュに一新し、「ごくごく自然に未来を変える水」としてブランドテーマを生まれ変わらせた「い・ろ・は・す」。ぜひ店頭などで見かけたときには、手に取っておいしくお水を飲み、たたむことの心地良さとその価値を実感してみてはいかがだろうか。
「みんなでつくる い・ろ・は・すの歌」キャンペーン
「みんなでつくる い・ろ・は・すの歌」に楽しく乗りながら、飲み終わったボトルをパタン! みんなで楽しくリサイクルに参加しよう!
「みんなでつくる い・ろ・は・すの歌」は人気アーティスト岡崎体育さんが歌います。キャンペーン期間中にボトルをたたんでいる動作を撮影し、SNSなどで投稿していただくと、その動画がCMに採用されることも!
みんなで楽しくたたむ動画を撮影し、リサイクルに参加してみてくださいね。
[PR]提供:日本コカ・コーラ株式会社