次世代音楽シーンを担う才能をいち早く音楽ファンに紹介するSpotifyのプログラム「Early Noise」から躍進を遂げたアーティストたちが集結する、一夜限りのスペシャルライブイベント『Early Noise Special』が、3月28日(木)にEX THEATER ROPPONGIで開催される。(同イベントの詳細はコチラ)

【Early Noise Special プレイリスト】

このイベントに出演するアーティストのひとりであるラッパー、あっこゴリラ。出演を目前に控えた彼女にステージへの意気込みと、今の彼女が抱えるさまざまな想いについてお話を伺った。(あっこゴリラのSpotifyアーティストページはコチラ)

――あっこさんは昨年6月に大阪で行われた『Early Noise Night』にも出演されましたが、その時の思い出を振り返ってもらえますか?

あの時は骨折していたんですよね(笑)。松葉杖が思いのほか上半身に負荷がかかるって知って、デカいショッピングカートに乗って、ニルヴァーナをかけて「退廃的に出よう!」とステージに上がってライブをやったのを覚えています。

でも、すごく良いライブでしたよ。言葉に出来ないんですが、出演者もお客さんもみんなラフな雰囲気で楽しんでいて、大阪という街のバイブス※もあったと思いますけど、あの独特な空気感がめっちゃ良かったです。

※バイブス:雰囲気、フィーリングなどを意味する。

――今回出演される『Early Noise Special』ですが、どんなステージにしたいと思っていますか。

今は全然、何も考えてません(笑)。まぁ普通に楽しもうかなと。出演側としては、いつも本気で楽んでいます。あとは今回の出演する人たちの中には、まだ会ったことのない人もいるので楽しみ。こういったライブで出会った友達も多いので、仲良くなりたいですね。

――ところで、現在のあっこさんのテンション的にはどのような感じなんですか?

実は2019年はめっちゃ落ちてて「どん底」って感じです。どん底ナウ(笑)。だから今はパワー充電期。

――それは何か具体的な理由があったのでしょうか。

一気に全部きましたね。ボディもやられちゃって。でも、こんな今の自分だからこそ発信できることもあるので、この時期も大切にしようって思っています。いつも明るく「元気です」って 言ってるほうが違和感だし(笑)。

――確かに、人間、波があるし、常に明るく元気で振る舞うほうが不自然ですよね。

「落ちる」って決して悪いことだけじゃなくて、そこからさらに上がるための大事な時間で、「映画の主人公が落ちてるシーンだ! これは次のハッピーへの完全なるフリじゃん!」と思って。だから、意外と楽しい(笑)。落ちてる時も楽しめてるのは人生で初めてかもしれない。今しかできない曲もあるし、なにこれ最強じゃんって思っています(笑)。

■ラッパーは「社会の鏡」。一度きりの人生、叫び続けたい

――でも、多くの人の場合、ネガティブな心情をつい隠したり、抑えたりしてしまいますよね。

「感情はめんどくさいもの」という認識が一般的ですからね。でも毎日そんな綺麗になんて生きられない! それに、そこからはみ出るところからいろんなものがうまれるから、感情は最高だし、大切にしたいです。

――なかなかストレートにというのは難しいかもしれませんが、我々も自分自身についてもっと言えるようになるといいですよね。


ラフに言いやすい社会になったら良いですよね。でも実際は、組織のなかにいると、言いづらいですよね。

――そうですね。組織のなかにいると、つい「マイナスなことをいってはいけない」って思ってしまいます。

「マイナスなことをいうと、誰かが嫌な気持ちをする」って常識だけど、プラスなことを言っても嫌に思う人は嫌なんですよ。どちらにせよ誰も傷つけない言葉なんてないから。

平和な同調圧力だけだと息苦しくて死にたくなる人が溢れる世の中だからこそ、ガス抜きだって、落ちてたって、ポップに受け止め合いたいなって思ってる。そこから別の職がうまれたりする時代だし。なかなかこの感じって伝わらないけど。

――それに、悩みや苦労も自分ひとりで解消しようとしてしまいがちですよね。

「わたしが我慢すれば」「システムにそぐわない自分が悪いから」って、そうやって心が死んでいく。「そのシステム自体、本当に正しいの?」って。

私はラッパーは「社会の鏡」だなと思っていて。ラップって「現実」を突きつけるエンターテイメントだと思うんですよ。

お花畑じゃいられなくなる時代が来るし、今、私がいくら叫んだって、しかるべきタイミングが来ないと届かないのかもしれない。でも、ラッパーは叫び続けないといけないって思ってる。自分が勝手にそうしたいだけだけど。

てゆーか、そういうラッパー、かっこいいじゃないですか。1 度だけの人生、やっぱりかっこよく生きたいので。それはあくまで私のエゴなんですけど。