大電力を供給し続けてきた松浦火力発電所
埋蔵量が豊富で安定した供給が望める資源「石炭」。石炭を用いた火力発電は今後も活用されていくものの一つだ。長崎県松浦市にある松浦火力発電所は、100万kWの大型発電機を2基運用する石炭火力発電所である。「離島を含む北松浦半島一帯で石炭の存在が確認され、明治時代から戦後にかけて石炭産業が栄えました」と語るのはJ-POWER 松浦火力発電所 発電グループの里野氏だ。
現在、この地域の炭鉱はすべて閉山となっているが、松浦市の主力産業である漁業とあわせて今でも大電力供給基地としてあり続けている。「電力事業とともに漁業も盛んで、松浦魚市場は日本8位という規模の一大市場です。特に当地産のアジ・サバは『旬アジ』『旬サバ』というブランド名で知られています」と里野氏。
燃料の石炭はオーストラリアやインドネシアなどから輸入されており、石炭船で揚炭桟橋に着岸。その後、貯炭場へ運び入れられる。「松浦火力発電所では木片や下水汚泥から製造されるバイオマス系燃料を石炭と混合して利用することで、石炭火力発電所から排出されるCO2を低減することが可能となっています」と里野氏は語る。
大電力を安定して作り続けるために
石炭を使い高い技術と最先端の施設で効率よく電気を作り続けている松浦火力発電所。引き続き里野氏に、現場の様子を語ってもらった。
――松浦火力発電所ではどのようなお仕事をされていますか?
里野氏:「燃料である石炭の運用を行っています。船で積んできた石炭を貯炭場に入れ、発電所に送る『受入れ・払出し』と灰の処理が主な業務です。石炭で真っ黒になるか、灰で真っ白になるとても大変な仕事でもありますね(笑)」
――ご苦労様です(笑)。仕事していく上で気をつけている点などはありますか?
里野氏:「石炭は火力発電を動かすための燃料ですから、何かあると電気がつくれなくなってしまいます。また、自分の指揮でグループ会社や協力会社など、多くの人に影響が出てしまいますから、そういった部分も考えながら良い意味で緊張感をもって仕事に取り組んでいます」
――具体的なエピソードはありますか?
里野氏:「例えば、台風シーズンや梅雨時期は予定通り石炭船が航行できないこともありますし、こちらに来ても揚炭桟橋に着岸できないなどの事態が生じることもあります。また、強風など気象条件が悪化すれば積んである石炭が崩れることも想定されます。そのような事態のすべてを想定しながら、計画をリバイスし、いつでも準備ができている状態にしなければなりません。
さらに、石炭は燃焼後、灰として残ります。灰は埋め立てるか有効活用をしなければならず、その処理が滞ると発電所が止まってしまうことも起こりえるので、効率の良い運搬方法を考え続けて工夫しながら処理していますね」
――お仕事をしている中でやりがいを感じるのはどんな時ですか?
里野氏:「電気を作るという公共性が高い仕事に携わっているので、社会の役に立てていると実感できるところですね。松浦火力発電所に来て、次の4月で丸4年。平成7年入社後すぐ、同じ長崎県の松島火力発電所で燃料を担当して以来ですが、自ら希望していた職場でもあるので毎日楽しく仕事をしています。
また、燃料の仕事は現場で手を動かすことが多く、電気がつくられていることを直接肌で感じることができるところも気に入っています。発電所でつくった電気の量がリアルタイムで表示されているのですが、『100(フル運転状態)』という数字が見えると、とてもうれしい気持ちになりますね。
だからといって、仕事のことばかり考えていると疲れがたまります。赴任先から家に帰った時には、家族とのんびり過ごしてリフレッシュするなど、気持ちの切り替えを上手にやっていくことも必要だと思います。また普段は単身赴任で寮生活なのですが、食堂が完備され腕のいい料理人がおり、朝夕バランスのとれた食事をしっかりとれています。同僚と松浦らしい美味しいものを食べて楽しく現場生活を満喫していますよ」
――今後、どのような目標をお持ちでしょうか?
引き続き、燃料の仕事で電気の安定供給に貢献していきたいと考えています。仕事上の意見や相談事をよく聞いてもらえるので、風通しの良い会社だと感じています。23年勤めてきましたが、非常にやりがいのある職場ですね。
――ありがとうございました。
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火力発電所を運用するために、きめ細かく気を配りながら仕事をしていくことの大切さがよく分かった。J-POWERで活躍する人々がいるからこそ、多くの人々が幸せに暮らしていけることが実感できた取材だった。
(取材時2018年1月)
[PR]提供:電源開発株式会社